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14話目


 裏へ急ぐと、ファオロは以前の待っていた様に少し寒そうにしながら、こちらをじっと見つめていたらしい。・・・本当犬みたいだな、と思いながら、寒そうにするファオロへ足早に近づく。


「ファオロ、悪い。待たせたか?」


 冷たくなっているであろう手を取ると、やはり冷たい。・・・寒いからというより、元々低体温か?と思いながら、ニギニギと手を握る。


「大丈夫、すぐだったしね。それより、レイイチお疲れ様。」


 ふふっと小さく笑みを零しつつ、手は俺に好きにさせたまま、それすら楽しそうに見つめている。


「・・・って、そのマフラー俺のだろ?」


 顔を埋めているそのマフラーを指しては、ニヤニヤとした笑みを浮かべ、「これはもう俺のにしたんだ。」と更に嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。・・・ほんっとに可愛いな、と思わず、ギュッと抱き締める。


「とりあえず、俺の家、来る?それともファオロの家がいいか?」


 寒そうにしているファオロと外では話せないと思い、そう提案すると、「・・・レイイチの家に行きたいな。」と嬉しそうに笑みを浮かべる彼に良かった、と少し安心した。


「じゃあ、行こうか。」


 抱き締めていたのを離すと、離し難いと感じるこの熱を少しでも感じていたくて、手を取り、ギュッと強く握る。・・・本当、考えることが中学生みたいだな、と余裕のない自分に自嘲が零れた。



――― それから、すぐに二人で俺の家へと向かった。俺の家はホテルから歩くと、程良い場所にあるマンションで、階数は八階立ての七階、角部屋。俺には勿体ないくらいの部屋だが、学生の頃、心配性の母親が知り合いに頼んで借りたものだ。

 最初は面倒くさいと思っていたが、今では有難く思っている。

 インテリアは白と黒でまとめてみたが、この何年と模様替えしてないな、とどうでもいいことを考えながら、ファオロを連れてリビングへ進む。

 ファオロはキョロキョロと部屋を見回しては、こちらへ視線を向けた。

 ・・・何かあったか?と軽く首を傾げつつも、何か言うのを待った。


「レイイチの部屋・・・っぽくないかも?」


 ・・・そんなこと、疑問形で言われても・・・と内心思いながら、自分でも良く分かっていなさそうなファオロへツッコむことなんて出来ず、「そうか。」とだけ返した。

 

「えっと・・・、コーヒーとホットミルクどっちがいい?」


 あたたかい飲み物・・・と考えて出た二つを口に出しては、ホットミルクは微妙か?と小さく後悔をした。

 すると、彼は少し目線を下に落とし、「・・・ホットミルク、がいい。できれば、ハチミツ入り、がいいな。」と少し赤い耳に可愛いと思いながら、「分かった、すぐ持ってくる。」と小さく笑みが零れた。


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