第3話【長介の友人】
ある日の放課後のことだった。その日も長介は学校中の誰からも名前をからかわれ続け、長介の顔はどんどん憂鬱に暗くなっていき、ストレスや不眠症からか体調も悪くなる一方だった。
そんな長介の数少ない友人のひとりに釜田というやつがいた。彼だけは長介の名前をけっしてからかったりせず、心に傷を負い続ける長介の相談に常に乗ってあげていた。
「なあ、釜田。なんでオヤジはオレに長介なんて名前をつけたんだ?だいいち、なんで名前だけでこんなにもバカにされ、つらい日々をおくらないといけないんだ?」
か細い声で訊く長介に釜田はいった。
「なんでオヤジさんは長介と名づけたか?そんなことオレに訊かれてもな……」
「まあ、そうだよな……」
「でも、ふたつ目の質問にはかろうじて答えられる」釜田はいった。「人の名前をからかう、バカにする、つまりいじめの一種だよな?そのいじめの一種が法律に裁かれない社会がおかしい、要するに政治家が無能だということさ」
「政治家が無能?」長介はくり返した。「うん、そうかもしれないな。おまえのその考え方にちょっとだけ救われたよ。ありがとよ」
そういってから再び黙り込む長介。そんな彼を釜田は哀れんだ目で見つめ、友人のために自分にできることはなにかないかと模索するようになっていった。




