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氷室長介  作者: メシア
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第2話【長介という名の由来】

 長介が親に『なんで長介なんて名前をつけたんだ!?』と詰問したことは数限りない。


 


 

 実際に名づけたのは父親で、長介がそのことを口にするたびに深い悲しみに襲われた。


 


 

 「なんで【長介】って名づけたかって?またその話か?」


 


 

 「ああ、またその話だよ。この名前のおかげでオレの人生はメチャクチャだ……」


 


 

 そういう長介に父はいった。


 


 

 「オレはな、子供の頃からドリフを見て育った世代なんだ。そのオレから見たいかりや長介さんというのは神のような存在なんだ」


 


 

 が、長介の耳にはほとんど入っていない。


 


 

 「あの個性豊かすぎるドリフの面々をだな、一喝するだけでぴしっとまとめられる人なんざ、いかりやさんしかいないだろ?」長介の父は続ける。「それから浅野温子主演のドラマ【サザエさん】では波平さんを演じたじゃねーか。あのあたたかい演技……オレは涙をおさえられなかったよ」


 


 

 毎度おなじみの話を聞き終えた長介はいった。


 


 

 「……それでなんなんだよ。オレの世代のやつはいかりや長介のすごさなんて誰もわかりゃしねーよ!氷室京介と一字ちがうこの名前をからかって終わるだけだ!」


 


 

 そういい捨てて長介は自分の部屋に戻った。そんな息子に父は小さくため息をつくだけだった。

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