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序章

※本編後の話ですが、この話の前にバレンタインデーの話が入ります。

 今回は(今まで一度もやらなかった)晴樹視点からどうぞ。

三月になって、少し寒さが和らいだと思ったら急に寒くなったとある日の昼。

自室で少し休憩しながら、荷物等を片付ける準備を続ける。


朝葉は無事に進路を決めた上で卒業してみせてくれた。

本当に、この半年間は大変だった。

とにかく勉強漬けで、あっという間に過ぎてしまった気がする。


しかし、一段落付いた今ならばゆっくりと色々な事が考えられる。


例えば……

バレンタインデーに貰ったチョコレートのお返し。


手作りだったのは間違いなく千佳さんが何か言ったからだろう。

似たような事を智樹も言っていた事を考えると、

大体の場合で予想が付いてしまうのは……仕方ない。


とはいえ、それだけの物を貰っているのだから、

ホワイトデーには何かをプレゼントしなければならないだろう。


そうは思ったものの……

今まで誰かの為にプレゼントを買うなどの経験が一切無いので、

結局何を選べば良いのか全く判らなかった。


(とりあえず、お菓子でも買ってくれば良いのだろうか……)


それならば、智樹辺りに相談した方が良さそうだと思ったので、

早速連絡を入れてみる事にした……のだが、電話がなかなか繋がらない。

仕方ないので後ほど直接出向く事にして、片付けを進める方に集中したのだった。



夕方になる。


「兄さん、何か用事でも?」


どうやら直接用事を聞きに来てくれたらしい。


「いや、あまり大した事ではないのだが……」

「この時期で、わざわざ連絡をしてくると言う事は、

 大体バレンタインデーのお返しくらいしか思い当たらない」


そこで最初にバレンタインデーのお返しの話が出てくるという事は、

今日出かけていたのが関係していても不思議ではない。


「もしかして千佳さん辺りに呼び出されたのでは?」

「それだけでどうしてそこまで結び付くのか未だに理解できません、兄さん」


不思議だと言わんばかりの顔を智樹はしていた。


まあ、あえて口では言わないのだが……

千佳さんの発案が智樹もしくは朝葉に伝わり、

そこからこちらに伝わるという形になる場合が多い。


故に、大体智樹が恋人の小織ちゃんの事を最初に話さない時点で、

今回は明らかに千佳さんが絡んでいる……となる。


「まあ、色々と理由があると言う事だ。

 で、本題なのだが……」

「千佳さんが準備しているので、買わずとも良いとの事です。

 内容はコンビニスイーツになるか、

 もしくは千佳さんの特製お菓子になるか……」


それは喜んで良いのか、疑った方が良いのか微妙な所だ。


「自分で探す気は無かったのか?」

「その前に手を打たれていた」


ああ、なるほど。

それならば下手な事は出来ないだろうな、仕方ない。


「まあ、あまり人の事を言えないな。

 最初から智樹を頼ろうとしていたのは俺の方だから」

「兄さんの場合はそれでも問題ないですよ」


何か反論されなくて良かったと思うと同時に、

今回は一緒に巻き込まれてくれと言っているのだろう……


「何にせよ、当日が楽しみだな。

 追って、千佳さんから連絡は来るのだろう?」

「多分、そうだと思います。

 無ければこちらからでも連絡しておきます。

 なるべくなら、義姉さんや小織ちゃんには知られたくないので」

「確かにそうだな」


普段からよく朝葉と行動を共にしているので、

こんな感じで話す機会もそこまで多くは取れない。


「あと、兄さんは……

 引越しの準備の方は順調ですか?」

「何とかなりそうだ。

 その辺は、抜かりなくやっておくさ」


まあ、時折朝葉が手伝ってくれるから大丈夫だろう。


「それでは、また」

「ああ、またな」


別れの挨拶をして、智樹は自分の部屋へと帰っていった。



智樹が帰った後、日が暮れたところで先程の件をもう一度考えてみた。


(色々と聞いておくべきだったか……)


今後の為に何を選ぶかなどを勉強しなければならない。

なので、今回はそれの手本として考える事にしよう……


(智樹も同じ事を考えているかもしれないな)


互いに恋人を作った事どころか、

女の子と親しくしていなかったのだから……


千佳さんと割と頻繁に会う事で、

色々と学んでいる智樹にその辺の事は教えてもらう事にしようと思った。


無論、千佳さんに直接聞いた方が良いのだが、

何を教え込まれるか判らないので気をつけたい。

ホワイトデーの件含めて、警戒に警戒を重ねたいが……

同時に、それなりに楽しみだとも思っていた。



そして、数日後。

運命の日はあっという間にやってきてしまったのだった。

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