チョメディー第二話〜能力の欠点発見!
赤い目…結構やっかいだな。完璧に俺の思考が読まれるとは…。
リューファの能力は慈悲だから、俺達が攻撃される事はないが、せっかく与えたダメージを回復されては堪ったもんじゃない。
こっちも呪文を使える回数は限られているんだ。
それに加えて、譲の破壊能力。
……一体どうすれば…。
「なぁ、メディー。一つ気付いたんだが…」
『なんだよメルト。戦闘に参加しなかったくせに』
「観察してたんだよ。それで気付いたんだが、おそらく譲は自分の能力に気付いていない」
…確かに、その可能性はあるかも。
俺とメルトが話していた時が、向こうの攻撃の最大のチャンスだったはずだ。
こっちが殺そうとしているのに抵抗の能力も使わなかった。
いや…使えなかった。
使い方を…知らないから?
何にせよ、メルトがそう言うんだ。あながち嘘でもないだろうな。
「譲が能力に気付いていない今がチャンスか…」
『だが、思考看破能力を持つ人間はどうする?こっちの攻撃は全て奴に筒抜けだぞ?』
「なぁ〜に、そんなのすでに手は討ってあるさ」
さすがデビル成績トップだ。頼りになるぜ。
『じゃあ早速…!』
「あぁ、リベンジ…いや今回が本当の戦いだ」
一時間も間が経ってないまま、再び能力者の元へ。
「嘘…もう来たの?譲君、気付かれないように…分かってるわね?」
リューファの表情が堅い所を見ると、討つ手なし。
やはり譲は能力に気付いていない!
『メルト、作戦は?』
「フフ、…ヒソヒソ」
『分かった!ヒソヒソだな!!』
「いや、小声の効果音を口にしただけなんだが…」
『メルトのキャラでボケは無理!ってか、あんたコメディーに場違い!』
っと、もめてる場合じゃないか。
メルトの作戦通り動くけど、思考は読み取られるんじゃないのか?
まぁいい、ここはメルトを信じるしかないか…。
「作戦開始!」
『おう!』
俺達は二手に別れ、まずは思考看破能力を持つ大樹狙いにした。
今の所、譲はただの人間だ。攻撃される心配はない。
「大樹君、能力発動して!」
「……………くっ」
「どうしたのよ?早く!」
「………読めない」
ハハハ! 聞いたかメルト。俺達の思考が読めないだとよ!
作戦は成功みたいだぜ!
「いいかメディー。思考に漢字を使え。大樹は学校に行ってなかったみたいだから、かなり頭が悪い」
ハハハ! まさかこんなバカな展開になるとはなぁ。
…いいのか、こんなオチで。
〈読めない〉って…思考じゃなくて漢字が読めないって事?
なんでチョメディーだと戦闘シーンもこんな緊張感ないんだろ…。
「メディー!お前は右から回り込め。挟み打ちで近距離まで詰めてから威力を抑えた呪文で攻撃だ!」
「メディー!お…は…から…り…め?」
平仮名だけ読まれたー!
もう良いや。勝負は早めに着けるか。
俺は右から、メルトは左から回り込み、距離を縮めていく。
大樹の弱点さえ分かれば、狙いは譲だ! メルトも同じ考えだろう。
俺達空を飛べる悪魔のスピードに人間が付いて来れる訳もなく、距離はもう一メートルもない。
俺とメルトは譲に手を向ける。
…これで終わりだ!!