チョメディー第一話〜僕の仕事?赤い目を狩るの!
『なぁメルト、なんで閻魔様は赤い目を欲しがるんだ?』
「赤い目には能力があるらしい。譲って人間の能力は〈破壊能力〉だ。それでだろう」
『狩るって…言うと…やっぱり…』
「あぁ、スパッとな」
きゃー野蛮!
聞きました奥さん、目をスパッですって!
グロいグロい、俺には無理ですそんなの。
「この仕事が失敗したら閻魔パーク行きだとよ」
『マジで!?閻魔パークって言ったら、あの噂の美女に囲まれてウハハンな所か!?』
「いや、全く逆の生き地獄」
…やべ、怖ぇや。今回は真面目にやろ。
『でもさ、閻魔様が欲しがる程の破壊能力だろ?俺達じゃ危ないんじゃないの?』
「かなり危険だ。だから難易度MAXって言っただろ?」
…どっちにしろ危険か。
元人間の俺が人間の目を狩りに行くのかぁ〜。
なんか可哀相だし乗り気じゃないなぁ…。
「メディー!見つけたぞ!あいつが譲だ」
上空から目をこらして見ると、さっぱりした短髪のさわやかボーイがいた。
…女連れ?可愛いじゃねぇかちくしょう。
「ちっ、もう天使に先回りされていたか」
天使? あの女の子が天使なの。
『あれ?リューファじゃん』
譲の隣にいるのはエン・リューファだった。
「知ってるのか?」
『前作の最終話でちょっとな』
「良く分からんが、あの天使は譲のガードみてぇなもんだ。おそらく付きっきりだろう」
付きっきり…?
住み込み…?
夜の営み…?
許さん!!!
『メルト!本気で行くぞ!』
「お…おう。今回はやる気だな」
『あぁ!男性読者のためだ!』
「………??」
『作戦は!?』
「破壊能力…一体どんなものなのかがまだ分からない。ここは慎重に様子見だな…」
『分かった!とにかく突っ込むんだな!とりゃあぁーー!!』
「…判断力赤点野郎が…」
俺は勢い良く譲に突っ込んだ。
「譲君、悪魔よ!」
リューファが俺に気付く。
「明…?」
あぁ、俺…久しぶりに人間の名前呼ばれたよ。
「一年ぶりね」
『あぁ、だが今回は敵同士のようだな』
「…そうね」
こったも仕事だ。なりふり構っていられない。
相手は女だろうが本気で行くぜ。
くらえ…俺の最大の呪文。
『ディーメ!』
右手に黒い光が集まり、それが大きくなっていく。
集中…それさえできていれば俺だって操れるんだい!
どんな呪文か、どちらを狙っているのかが分からない二人は身構えている。
俺の狙いはもちろん譲だ。極力、女の子は傷付けたくない。
よし、出力最大パワーが貯まった。くらえ人間!!
「愛ちゃん!譲君と距離をとって!悪魔の狙いは譲君だ!」
黒い光の発射と同時に新しい人間が現れた。
俺の思考が読まれた…?
「譲君、一度右に回避した後、すぐ後ろに飛んで!」
なんてこった!
呪文の効力まで読まれている。
ディーメという呪文は単体の光線だが、一度地面に接するとターゲットの方にもう一度伸びる攻撃だった。
その第二の矢も後ろに飛ばれ避けられてしまった。
『ちっ…もう一度だ…』
「辞めろメディー!そんなの当たったらターゲットは木っ端みじんに吹き飛ぶぞ?」
そうだった。目的はターゲットの赤い目の剥奪。
跡形もなく消してしまっては無意味だ。
「それに見ろ。お前の呪文を読み切った人間の目も赤いぞ?あいつも能力者だ」
『能力者二人に天使か。人数的にも分が悪いな』
「あぁ、ここは一時退却だ」
悔しいがそうするしかないな。
『勝負はおあずけだ!それでは、さよならナ…』
「それはパクりだから怒られるぞ」