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最終話〜チョメリプ!!

…ん。


どこだココは。



手足が鎖で縛られてる。



身動きできねぇ。




『くそ!…くそ!!』



あがいてみるが、手足を繋いだ鎖は音を立てるだけでビクともしなかった。


「ほう、やっと起きたか」


明かりを照らされ目が眩む。


かろうじて声の主の正体を確認すると、見た事もない悪魔だった。


『アンタ誰?』


「違法者を裁く者さ」


違法者…?


あぁそうか。俺はリョータを助けるためにメルトの呪文を封じたんだっけ。



その行為が以前関わった人間との接触に繋がるために俺は捕まったんだった。


「蛙の子は蛙。父親に続いて息子まで違法者か」


『父さんの悪口言うなテメェ。ぶっ飛ばすぞ』


「黙れ!」


身動きをとれないにも関係なしに、そいつの拳が腹に直撃した。


「ったく、まぁお前を裁くのはこれが終わった後だ」


さっきからソイツはモニターを見て楽しんでいる。



腹に走る衝撃に耐えながらも、俺もモニターを見る事にした。


「ーー続いての相手はー!」


何だ? このスタジアムは。


しかも大勢の観客に囲まれながら二人が戦っているのが見えた。


見間違えるはずがない。


あれはメルトだ。



体中ボロボロになりながらも戦っている…!



「…アラーム!」


〜プスン〜


何やってんだメルト!

もう魔力が残ってねぇじゃんかよ!


そんな事にも気付かない程疲れ切っているのか?


「ヒヒヒ、バカな奴」


対戦相手の死神みたいな奴が呪文を唱え始めた。


やべぇってメルト!


「喰らえ…デスアトライ」


黒い光の光線がメルトに向かって一直線に伸びる。



「う…うあぁあぁ!」


有り得ない程の素早い動きでかわしたメルトは死神の元へ突っ走る。


「らあぁああぁ!」


振り切った拳は死神の頭をもぎ取った。


「ーー勝者メルト。これで49戦全勝!残るはあと一試合となりましたぁ!」


49戦!? 何やってんだメルト!!


「メディー、ここは違法者を助けるコロシアムだ」


何すかそれ?


「観客は金を払って殺し合いを楽しんでいるのさ。挑戦者が50戦勝ち抜けば、メディーは助かる」


『マジで!?ウッヒョォ〜、やったぜ!!』


……なぁ〜んて言う訳ねぇだろうがぁ!!


メルトを開放しやがれぇ!


俺は力いっぱい鎖を契ろうとした。


しかしそれも虚しく、鎖は切れない。


「無駄だ。その鎖は魔力を封じる。それにメルトは自分からここに来たんだ。メディーが辞めろなんて言ったら、メルトの努力が無駄になるぞ?」


ちくしょう…体に力が入らねぇ…。


「ちなみに…マルトがマディーを殺した…と言われたらしいな」


父さん…の事か。


「マディーもお前と同じ、ここに連れてこられたんだ。同じ様にマルトが助けにきたが…マルトは」


「ーー最後の相手は…」



モニターに映ったのは、メルトの身長の軽く十倍はある、ばかでかい化け物だった。


「マルトはコイツに勝てずに殺された。そして…マディーもな」



そっか…そういう事か…。

ゴメン、メルト。一瞬でもお前を怨んじまった自分が情けねぇよ。


「親が越えられないのを時代を越えて今度は息子が…ねぇ。本当に貴様らは馬鹿だ!所詮は蛙の子は…」


〜ガシャン〜


鎖が外れた…。


「誰だ!?」

「ーー破壊能力!!」


一瞬にして鎖と違法者を裁く者を破壊した。


こんな事ができるのは…


『…譲?』

「大丈夫か?」


なんで…譲が俺を助ける?

俺はお前を殺そうとしたんだぞ?


「リョータの事、助けてくれた礼だ」


『リョータは俺の友達だからな』


「フッ、早くメルトのトコ行くぞ」


俺は部屋を後にし、コロシアム場へ向かった。



それにしても人間がこんな所に入って来れるなんて…な。


どうせメルトが連れて来たんだろう。


譲だって体中傷だらけだ。


『…ありがとう』


「まさか悪魔に礼を言われるなんてな」


笑った譲。やっぱ人間の心って暖かいんだなぁ。



ーーーーーー


コロシアムに駆け付けた俺達だったが、すでにメルトは地面に倒れていた。


『メルトぉー!寝てんじゃねぇよ!マルトさんは…そいつに殺されたんだぞ!!』


俺はメルトの心に話しかけた。テレパシーってやつだ。


「マジかぁ…じゃあコイツに勝たなきゃ…な」

『そうだ、立て』

「でもよぉ…体が動かないんだ。メディーも助かった事だし…もういいかな」



「そんなのダメ!ーー慈悲能力!」


光がメルトを包み込む。


体の傷が回復したメルト。


『…リューファ』

「愛!それに大樹!お前らは待ってるって」


「そんなの出来る訳ないじゃない!」


全く…俺なんかのために…どいつもこいつもお人よしな連中ばっかりだぜ。


「ーーウィークポイント看破能力!メルト君、そいつの弱点は角だ。そこが魔力の源になってる」



沢田 大樹…人の思考や弱点を読む男。

その能力の複合として先読みなどの技も編み出すバトルセンスの持ち主。



「ーー慈悲能力!私の魔力をメルト君へ!!」


エン・リューファ…傷を癒す天使。

天使なのに能力を持ち天界を追い出される。その能力だけでなく、心もまた温かい。


「メディー、大人しくしろ」


騒ぎを聞き付けた追ってが俺の体を押さえ込む。



「ーー破壊能力!」


木之下 譲…何でも破壊する能力を持つ男。

それも悪用はせずに人の心を持ち通す男。



「サンキュ、みんな。待ってろ。今…コイツを」



メルトからのテレパシーはそこで途切れた。


「アラームラディー!魔力フルパワー!!」


さらに博士から教えてもらった魔力一点集中により、凄まじい光線爆発が化け物の角どころか、体ごと大爆発。



「…しょ…勝者メルト!これで50戦勝ち抜き達成ーーー!!!」


巻き上がる歓声。腐った観客も、さすがにメルトのこの努力には関心したみたいだ。


そして俺達は無事に地上に帰る事ができた…。



ーーーーーー


『無茶しやがるなぁメルトは』

「まぁ何とかなったじゃん」


…メルトも俺の性格に似てきたな。


「父の仇も討てたし、良かったぜ」


晴れやかな笑顔を見せるメルト。


…あれ? こいつ、笑うんだっけ?



おっと、それより譲に礼を言っとかなきゃな。


『ありがと…な。その…助けてもらって』


「別に…アンタら良い奴みたいだし…。天使と一緒に暮らしてんだから、悪魔だって仲良くなれっかな〜思ってさ」


譲…コイツは本当に人間がよく出来ている。


過去の両親の話を聞いた時、どことなく俺と同じ雰囲気を感じた。


両親から愛を受けずに育った人間。


「メディー…その……一つ、聞いてもイィか?」


『なんじゃい?遠慮なく言ってみなさい?俺達はもうブラザーさ』



「メディーは…人間と悪魔の子供なんだよな?辛い事とかあったか?」



『う〜ん…ねぇな!』


俺の回答が意外だったのか、譲は『えっ?』って顔をする。


『つか自覚なかったし。人間として普通に育ったし…それがどうかしたのか?』


「愛と…人間と天使が結ばれると思うか?」



・・・・・。


『ほえぇぇ!?マジかよ譲っち!愛と…ええぇ!?』


「うっせぇな!好きなんだから仕方ねぇだろ!」



照れちゃってるよ、カワイィねぇ。



『俺は良いと思うぜ』


「……え?」


『天使と人間の子供なんて…カッコイィじゃん?』



俺は譲に笑ってみせた。


『もしお前らが捕まった時…今度は俺が助けに行ってやるよ』


「…メディー」




『お前らに子供ができて、事実を知ったら、そりゃ子供だってビックリするだろうな。…でもな、水が入れ物で形が変わるみたいに、その子がどうなるかは、譲と愛次第じゃねぇの?』



「…らしくねぇ事言うな」


『うっせぇょ変態』


「変態じゃねぇ!」


『天使に惚れちゃったヘンタ〜イ!』


「じゃあお前の両親も変態じゃねぇか!」


『父さんと母さんの悪口言うなー!てめぇ目ぇ狩るぞ!』


「やってみろやコラぁ!」


『んだとコラぁ!』




ーーーーーーー。


「ったく、メディーの奴……あんな楽しそうに笑いやがって」


「あれ?メルト君ヤキモチ?」


「変な事言うよ大樹。お前こそ、譲があんな楽しそうだぞ?」


「ほんとに…想像つかないよ…あの暗かった譲君が…あんなに…」


「あ…!メディーの奴、呪文使う気だ…!」


「やばい…!譲君の目が赤く…!」


「止めるぞ大樹!」


「わかった!」



「男って馬鹿ね…。でも私の予想は当たったみたい。人間も悪魔も天使も…仲良くなれたのは明くんのおかげね。



さぁて…皆仲良くなっちゃったけど…閻魔様と神様はこの後どうするのかな?」


悪魔、天使、人間。

姿形は似てるものの、性質は全く違う者が集まった時、波乱は起こる。

ただそれを乗りきった時、至福とも言える日々が待っているだろう。



その者達によって…今日も世界は成り立つ。

完結しました〜。どーも、作者のタンポポです。 いやー、今作も前作同様、微妙な終わり方ですね☆ はい、反省します。 実は今、新作の小説を二つも書いてるので、チョメリプとっとと終わしたい気持ちでいっぱいでした(笑)このサイトのコメディーで『ヤクザの学校』・『死んじゃうんだって』 というタイトルを見つけたら、ぜひ読んでやって下さい。 チョメリプ、お付き合いして下さってありがとうございましたー!

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