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チョメディー第六話〜父が残してくれたモノ・前編

いやぁ、前回は酷い目にあったぜ。あれからメルトは三日三晩、熱にうなされていた。


相当あのババアの相手がトラウマになったのだろう。



さて、メルトの体調も治ってきたし、今日は〈能力者対策〉に魔道具を買いにお買い物だ。


カマルト(大鎌)などは、呪文で〈作る〉のではなく、〈呼び出す〉のだ。


譲の破壊能力の巻き添いを喰らったカマルトは、跡形もなく吹っ飛んだので、代わりとなる武器の調達と言う訳だ。


そんな訳で、俺達は魔界の街に来ている。


もっぱらお気にの店はここ、処刑堂。カマルトも処刑道具だからここで買った。


店内に入ると昼なのに真っ暗で数少ない蝋燭の光だけが唯一の明かりとなっている。



「まだまだぁ!これからだぁー!」


店の奥からいきなり店長の極太い叫び声が聞こえてきた。


きっとまたやってるんだろうなぁ…


「特訓開始ー!まずは指立て伏せ!」


「押忍!!」


ここの店長はかなりのマッチョマニアだ。

店員さんも全員マッチョ。と、ゆうか…マッチョしか雇わないらしい。


『あの…店長さん?』


「おぉメディー!メルト!お前らもマッチョになりにきたのか?」


違います。


『カマルトが壊されちまってね。代わりの処刑道具を買いに来たんだ』


「何!?カマルトが壊されただと!?相手は誰だ!?そいつはマッチョか!?」


マッチョから離れろ。


「俺が鍛え上げたカマルトが壊されるなんて…まだまだ筋肉が足りないんだー!」


いや、そこは関係ないだろ。

ってか、そろそろ店員さんも辛そうだぞ?


「よし、ちょっと待ってろ。お前ら、指立て伏せは終わりだ」


ホッ…やっと仕事してくれるか。


「最後に俺に勝った奴から仕事に戻ってよし」


ゴクリ…と三人の店員が生唾を飲み込む。


「今日の勝負は…竹の子マッチョだ!」


何だそのゲームぁー!?

竹の子ニョッキじゃないのか?


「いくぞ!」

「「「押っ忍!!」」」


「せーの、竹の子竹の子マッチョッチョ!」


「1ニョキイィヤァ!!」


「ンん2ニョキィイィイヒヤァ!!」


「「3!ニョキイィ…うっ!」」


「気合いが足りん!」


どうやらルールは竹の子ニョッキと同じようだ。

1から順に数えていき、他人とかぶらないようにする心理戦ゲーム。


ただ、かなり気合いが空回りし過ぎてニョッキィヤァとか言っちゃってるよ…。


店員A、Bがかぶってしまいアウト。店長から激が飛ぶ。


「貴様らは心を無にできてない!読まれないようにするから駄目なんだ!こっちから読め!」


…読まれないようにするんじゃなくて…読む…?



そうか…俺達は読まれない様にする事に気を捕われすぎていた。


心を無にする…か。

あの店長さんも中々役立つ事を言う。



『店長!俺とメルトも混ぜてくれ!』


「メディー!?俺は…」



『もし大樹が漢字を読める様になったら困るだろ?』


「…かなりな」


『じゃあ心を無にする修業だと思って……な?』



やれやれ…とため息を吐いたメルトだが、仕方なく参戦する。


「竹の子竹の子マッチョッチョ!」×6


…………。


ゲームはスタートしたが、誰もカウントしない。


店員さんはデビルAくらいの魔力を感じたから、かなりの腕だと思う。


こんなくだらないゲームだと思っていたが、心が読まれている。


「くだらないなぁ…1ニョキ…」

「1ニョキイヤァ!」×4


メルトのカウントと同時に店長と店員三人がカウントを始めた。


『メルト、真剣にやれ』


「こんなゲームをか?くだらねぇ」


『バーカ、お前今読まれてたぞ?』


「…………!」


なるほど、皆して修業に付き合ってくれるわけね。


どうやら俺達は気を消し、店長と店員の道連れ攻撃を避けないといけないらしい。


「三回俺と攻撃がかぶったら…マッチョになるまで帰さないよ♪」


やべ、本気になろ。

この店長ゲ○って噂だからな。


もし店長が噂通り、○イだったとしたら…ひぃ!


メルトもそれを察知したのか、額から汗が垂れる。


前々回ヒドイ目にあったからね、今回も危ないよ、メルちゃん。


そして二回戦。


またしても硬直状態。


…読まれてる、確実に。


手の動き、口の動き。


身動きが取れない…。


間違いなく俺の動きに合わせてくるだろう。


…どうする…どうする?


………そうだ!


心を無にするんだ。

目を閉じ、俺の精神と場の空気を融合させるイメージを作る。


全員の呼吸が聞こえてくる。



……………。


(メディーの気配が…消えた?)


今だあーー!




『1ニョキ!』


「!!」×4


………。


メディー、クリアー。


さらに呆気を取られている隙に間髪入れずメルトが


「2ニョキ」


メルト、クリアー。


「ガハハ、やられたよ」


店長は手を額に当て、まいったとポーズを取っている。


「これで能力者にも読まれねぇな」


『知ってたのか店長?』


「あぁ、俺の仕事は鍛冶だぜ?鍛えるのは武器だけじゃなく、お前らみたいなガキもだ」



はは、おかげで良い修業になりましたよ。


「これは選別だ。持ってけ」


店長はカマルトよりも一回り大きいサイズの大鎌をくれた。


『いいのか!?』


「俺の負けだからな。特注品だぞ?」


スゲェ魔力が込められてる。それに軽いし握りごたえも抜群に良い。


「魔鎌、ガマルトだ」


『サンキュー店長!』


目的の品も手に入り、満足気に店を後にした。


よし、心を無にする事もできたし、負ける気がしねぇぜぇー!



ーーーーーー。


「いいんですか?店長。ガマルトをあげちゃって…」


「そうですよ!あれは店長が長年掛けて鍛えた名鎌じゃないっすか!」


「ククク、ガマルトはメディーの父親が鍛えてくれと持ってきたもんだったから、元はと言えばアイツの物だ。


それに…あれが軽いと思うか?」


「…?メディーは軽々と持ってましたが?」


「ガマルトには強力な潜在魔力が込められている。故にマッチョな俺でも持つのがやっとなのさ」


「……ってことは」


「…メディーって奴は」


「…実は超マッチョ?」



※違います! メディーの魔力が強すぎると言う事です。



ーーーーーー。


「ご機嫌だな、メディー」


『まぁな、こんなに魔力を感じる鎌は見た事がねぇよ』


ガマルトには凄まじい潜在魔力を感じる。


ここまで凄いと、鎌と言っても狩る以外に別の使い方があるんじゃないか…? と、期待してしまう。


「フォッフォッフォッ、そこの君達」


不意に声をかけられ、振り返ってみると白衣を着たオッサンが立ってた。

頭のてっぺんにハゲを作り、サイドの髪は全部白髪。


さらに鼻がでかい。


うん、コイツ博士だ。



『メルト…目を合わすなよ』


「え?あいつ知ってるのか?」


『いや、知らん。ただ、下手したら持ってかれるぞ』


「持ってかれる!?」


「おいおい、君達、何ブツブツ言ってるのさ」



『うるせぇ、お茶○水』



「お茶の○!?それはどうゆう意味だ!?」


『人間界では有名な博士だよ』


「フォッフォッ、悪くないのう」


どうやらあだ名を気に入ってくれたようだ。

いや〜良かった良かった。


「んで、博士が俺達に何の用だ?」


うん、さすがメルト。話進めるのが上手いね。


「フフフ、赤い目の挑戦者を確かめに来たんじゃよ」


ハァ…またそういう奴か。


最近は魔界にいる時も皆からの視線が冷たいんだよね。


たまに《コイツらを倒せば俺が赤い目に挑戦できる》なんて考えの馬鹿も現れるし。


ま、そうゆう馬鹿は全部返り討ちにしてやったけど。


「皆に馬鹿にされ悔しいか?」


『そうでもねぇよ。俺とメルトならできる』


「今の君らじゃ…無理だね!」


コイツむかつくな。

そろそろぶっ飛ばしていいか?


「アラーム!」


うぉ、今の言葉が釈に触ったのか、メルトが博士に呪文を唱えた。


「フォッフォッフォッ」


…効いてねぇ?

馬鹿な! メルトの呪文が直撃したんだぞ!?


「ただ呪文を唱えればいいってモンじゃないよ、デビルAトップのメルトくん」


「何者だ…アンタ」


「フォッフォッフォッ、通りすがりの博士さ」


『フン…ならこれでどうだ?……ガマルト!』


大鎌ガマルト。

そいつを一振りするが、あっさり博士に避けられた。


ガガガガ…


後ろに飛んだ博士にガマルトの衝撃波が飛ぶ。


「…フォッ!?」


これは予想外だったみたいだな。


何せ、俺自身が予想外だもん、こんなの。


「じゃが、甘いよ」


たった一本、右手を衝撃波に向けるだけで攻撃に耐えた。


いや、衝撃波を…消した?


「フォッフォッ」


憎たらしく笑う博士の手には小さなドクロ…?

なんだ、あれ?


ってか…何で効かねぇんだよ!


「気になるかね?何故効かないのか。…付いてきなさい。君達の魔力を上げてあげよう」


気が付くと俺達は、無意識のうちに博士に付いていった。



ーーーーーー。


俺達は人通りの少ない道を延々と移動。


木々に囲まれた白い建物。旗から見れば研究ラボとも言える場所に着いた。


「ここがワタシの研究室じゃ。入りなさい」


中に入ると、訳の分からない機械がズラリと並んでいる。


「まず、そのまえに確認したい事がある」


『勿体振らないでとっととしろよ』


「君達のチームワークを見させてもらおう」


そう言って博士は、俺達の目の前に三つの箱を持ってきた。


箱にはそれぞれ、A、B、Cのアルファベットが書いてある。


「Aの箱には魔力増強に必要な物。Bの箱には強力な魔道具。Cの箱の中身は秘密じゃ」


『…これをどうしろと?』


「相談なしで二人の意見を同時に言ってもらう。例えば、二人共Aと言えば、二人の魔力を上げてやろう。ただし、外した場合は駄目の一発勝負じゃ」


くだらねぇ心理ゲームか。


「フォッ、さぁ選びたまえ」


俺にはガマルトがあるからBという選択肢はない。


…が、メルトはと言うと、特別強力な魔道具はないわけだ。


パートナーを考えるならBが良いだろう。


いや、しかし魔力を上げてもらうのも悪くない。


個々のステータスが上がれば呪文も使える回数も増える。


そして、謎のCも選んでみたい。


…これ結構難しいな。


「頭脳明晰のメルト。魔力だけのメディー。凸凹コンビのお前らが、クリアーできるかのう?」


…よし、考えるの面倒だ。


「『全部』」


俺とメルトはほぼ同時に答えた。


「…フォッ!?」


『はい、俺達の勝ち。さぁ、全部もらおうか』


「待て待て!なんじゃお前達は!?」


「メディーなら考えるの面倒だとか言って、全部って答えそうだからな」


「…なら、メディーは失格じゃ。メルトがパートナーを考えても、お前は自己中心的な考えじゃからのう」


『馬鹿言え。メルトなら、゛俺の考えに合わせてくれる゛と信じてたのさ』


「フォッフォッ!なんて奴らじゃ!」


博士は参ったと言わんばかりに、額をペチーンと叩いた。


「約束は守ろう!さっ、箱を開けてみるがいい」


『やりぃ♪』


俺は早速Aの、魔力増強の箱に飛び掛かった。


『箱の中身はなんだろな〜♪』


パカッと開けてみると、小さいワープホールがあった。…うん、これ吸い込まれるね。


『てめぇ御茶○水ざけんなああぁ……』


そして、俺とメルトはワープゲートに吸い込まれていくのだった。

次回へ続きます。リプレイと交互で読み難くなってしまってゴメンなさい。

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