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リプレイ第五話〜ブレイクショット


今日は、この前回来たボーリング場にまた来ている。


理由はビリヤードをやりにきた訳だ。


ま、同じフロアにビリヤード台を発見した愛は、どうしてもやりたいと駄々をこねたので連れて来た。


どこのボーリング場にも大体ビリヤードはあるからな。



それにしても、最近は愛のわがままに付き合うのが多くなってきたな…。


ちなみに今回は大樹も一緒だ。


何でもコイツは、あれから猛勉強のおかげで全国模試で五本指に入る程頭が良くなっていた。


本人いわく、読めない漢字はないらしい。


完璧だよ、大樹くん!


さらにさらに、看破能力に応用編と言うか、必殺技まで編み出したらしい。


ホント、頼もしい仲間だこと。




ビリヤード


ルールは簡単だ。

基本、球は白い球をキューと呼ばれる細長い棒で打ち、球に当て、四隅と長方形の台の真ん中に開いた、計六つの穴にボールを落としていくゲームだ。


今回俺達がやるのは、《ナインボール》と言って、1から順番に落としていき、最後の9番ボールを落とした人が勝ち。


俺もビリヤードは経験が少なく、愛はもちろん初めてやる。


大樹はやたら自信満々だ。


「じゃあいくよ。まずはブレイク・ショットから…」


ブレイク・ショットとは、最初に白い球で、指定の位置に定められた9個のボールを弾く事だ。


この役目は大樹が勤める。俺達がやっても、そんなに弾けそうにないからね…。


パァン!

快音と共にボールが弾け飛び、5、7番ボールがポケットに落ちた。


大樹キモいぐらい上手いんだけど…。


ボールを落とせたら、もう一回打つ事ができる。


最初は1番ボールからだ。


なんかもう普通に大樹は次々とボールを落としていく。


俺達に順番が回ってこねぇよ。


つかキモいよ。


「あぁー!大樹君能力使ってるぅー!インチキだインチキ!」


うわ…マジだ。目が赤い。


「フフフ、看破能力を使えば台にこの角度へボールを打ちなさいと光が浮き上がるのさ」


ズリィよテメェ。


「ハハハ、クッションボールを使えば僕は無敵だぁ!」


クッションボールとは、壁に当ててボールを跳ね返し、ターゲットボールに当てる事だ。


これが普通は難しい。

どの角度で当てれば良いのかが掴めないからだ。


しかし大樹は能力で入射角を看破している。


オマエ、ゲームで能力使うなよ。


「こんな難しい角度だって…ほら!」


クッションボールでボールに命中。吸い込まれる様にポケットへ向かう…が、


「シールド」


はい、愛のシールドでポケットが塞がれましたぁ!


「…なっ!」

「私も応用編でこんな事ができるのよ♪」


ポケットにはバリヤが張られている。これじゃ穴に入るわけがない。


つか、オマエら《能力》を何だと思ってんだよ…。




「もぉ〜、能力なんか使わないでね」


愛がプンプンという擬音が似合いそうな感じで大樹に説教している。いや、お前も能力使うなよ。


「ハハ、ゴメンゴメン。能力を使わなくてもビリヤードならやった事あるから、ある程度なら教えられるよ」


と、ゆーわけで。

大樹のビリヤード教習が始まった。



構え方、力の入れ具合など、基本的な事は教わった。


「その調子だよ愛ちゃん!」


愛はコツを掴んだのか、短時間で見事な成長を見せた。


「それに比べて…」


「譲君は…」


わーい、二人の視線が痛いよ♪


『仕方ねぇだろ、人には向き不向きがあるんだよ!』


止まっているボールを棒で突くだけのゲームなのに、なぜか上手くいかない。


手前の白い球を奥の球にすら当てる事ができない。


『くそ…ボールがもっと大きければなぁ』


「あ、じゃあ愛ちゃんの胸で練習してみれば?」


「やだぁ〜♪それセクハラよ大樹くん♪シールド♪」


人一人スッポリ収まる大きさの半球のシールドが大樹を閉じ込めた。


「出れねぇー!!」


『ハハ、変な事言うからだよ。それに愛の胸だって突きやすい程大きくな……』




……あ、

…………やべぇ。




「シールド♪」



………出れねぇーー!



ーーーーーー。


その後、何とか愛の機嫌を取り戻した俺達は、ようやくシールドから出られる事ができた。


うん、これは禁句にしとこ。


「さて、今日もたくさん遊んだし…」


グイッと愛が大きく背伸びをする。


「そろそろ修業しとこうか?」


いきなりか!


「え?僕ずっと勉強してたから今日はもっと遊びたいんだけど…」


「ダメ!いつ悪魔が来るか分からないんだよ!?」



まぁ…確かにそうだけど…ねぇ。


『修業っつったって、何やんだ?』


「譲君は破壊能力のコントロールね。大樹君は…自分で考えなさい」


適当…!


ま、能力のコントロールは大切だな。


力を抑えないと無駄に俺の体に負担がかかるからな。


「あ…じゃあ僕は能力に磨きかけてくるね」


そう言って大樹は帰ってしまった。


ま、真面目な大樹に限ってサボりはしないだろう。


残された俺と愛は近くの公園に来た。


「じゃあまずは、この空き缶の真ん中だけを破壊して」


公園のベンチに縦に並べられた三つの空き缶。


『真ん中だけ…か』


精神を集中…。力を抑え、ターゲットだけを黙視。


『能力発動』


みるみる俺の瞳は赤くなる。狙いは真ん中の空き缶!


〜パァン〜


アルミの缶があっという間に弾け飛ぶ。


…前の空き缶以外。


「まだ力をコントロールできてないね。もし後ろにいたのが私達だったら、巻き添いを喰らってるトコよ?」


失敗。

確かにこの能力は危険だ。愛や大樹に危害を及ぼす可能性だって充分にある。


『もう一回だ…!』



ーーーーーー。


すっかり日が暮れてきたな。もうクタクタだよ。


何とかコントロールはできるようになった。


あの後も、揺れたブランコの上に置いた空き缶で、動くターゲットの破壊など、公園にある遊具で効果的な実戦をさせてもらった。


そのおかげで今日は充実した一日だったのではないだろうか?


『もう10時過ぎか、そろそろ帰るか』


「そうだね、お疲れ様」


愛と公園を出ようとすると、向かいの店から大樹が出てきた。


…手に大量の景品を持って。


大樹が出てきた店…《パチスロ☆ジャンジャン♪バリバリ》。


「ハーハッハ!僕の看破能力を使えばどの台が出るか一瞬で分かるよ!……………………あ」


へぇ〜♪俺が修業してる間にパチスロかぁ〜♪


しかも、またくだらない事に能力使ったね君。


『破壊能力♪』


これで大樹の持っていた景品が木っ端みじん♪


「うん、コントロールできるようになったね」


『だろ?』


「だろ?…じゃないよ!あぁー今日の勝ち分がぁ…」


ハッ、高校生がパチスロなんかやるんじゃない!

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