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チョメディー第四話〜僕とメルトはこうして出会った


「…………」


『どうした、メルト?出だしからボーッとして』


メルトは二段ベットの下で朝からボーッとしている。


寝起きは良い奴だから頭が回らないって訳でもなさそうだし…。


ちなみに俺は二段ベットの上からメルトを見下ろす体制だ。


「いや…メディーと初めて会った時のコト思い出してた」


もう、メルちゃんったら☆


こうゆう恋人同士の雰囲気、嫌いじゃないわよ♪


「……キモっ」


素でヘコむから、つまらなくてもツッコミはくれ。


しかしまぁ、メルトとの出会いか…。


あの時の俺は魔界に来たばかりの右も左も分からない奴で、メルトがいないと大変だったのを覚えてる。



ーーーーーーー



「あ、回想シーン入るの?」


『うん』


「じゃあ俺視点ね」


『ダメ。コメディーじゃなくなる』


「アラームラディ…」


『好きにして下さい!』


ーーーーーーー



はい、入りました回想シーン。


俺にコメディーの視点は場違いだと思うが聞いてくれ。


幼い頃から成績優秀。難しい呪文も使いこなし、その中でも爆発系アラームなどの呪文をメインに使ってきた。


わずか7才にしてデビルAランク入り。


《天才》


いつしかそう呼ばれるコトにも慣れる。


その反面、努力をしなくても人並み以上なコトができてしまう俺は、周りから冷めた子だとも言われていた。


友情など、くだらない仲間意識は仕事上、命取りになると本で読んだため、他人との関わりを避けて来た。


18才を迎え、デビルAの頂点に立つ。もはや大人でさえも俺の実力を認めていたはずだ。


だが、無愛想な俺を祝福してくれる奴はいなく、むしろ妬まれる立場。


それは俺が望んだはずの事。なのに、なぜか淋しかった。


今日も仕事を終え、家に帰ろうとすると、目の前の人間界のワープゲートから一人の悪魔が出て来た。


最初見た時は冴えない奴だと悟ったし、不審な行動もとる。


まるで、初めて魔界に来た人間の様な動き…。


そいつがメディーだった。


『うひょぉ〜スゲェ!ここが魔界かぁ!…ん?』


(お…!やっと俺が出てきたか)


「…あ」


ここで目が会ってしまった。


『あんたもサターンなの?』


俺がサターン? こいつ、悪魔のくせに俺のコト知らんのか?


(いやぁ〜この時は階級があるなんて知らなくてさ)


「俺はデビルAのメルト。あんたは?」


『サターンのチョ・メディーだ』


…ハァ!?

こいつサターンなのか?


「じゃあ、ちょうどいい」


『おう、ちょうどいいだろ!……何が?』


ランクを昇格させるには、そのランクの相手の血を奪う事が条件だ。


デビルAからデーモンを飛ばし、一気にサターンになれるチャンス。


見たところ、コイツから魔力のかけらも感じない。



「奪血の礼、愚かなるデビルの愚行をお許し下さい」


『奪血の礼…?ちょ…お前何言って……うわぁ!?』


俺は補助呪文で、爪の長さと固さを強力に増すと、それでメディーに斬りに掛かった。


ギリギリで避けられたがな。


(この時はマジ死にかけたからなぁ〜)

(…スマン)



「呪文使わないんですか?あんまナメてるとマジで殺しますよ」


『何言ってんだって!待てよ!』


チッ…サターンクラスのくせに逃げ腰かよ。


って事は…


「サターンは嘘なんだな?今なら許す、正直に言え」


こういう輩がいるんだよ。

この前も俺はデーモンだとか言ってた奴に奪血の礼を交わしたら、デーモンは嘘でしたとか言われたしな。


あ、奪血の礼って言うのは、儀式みたいなもので、いわば挑戦状だ。


申し込まれたら必ず受けなくてはいけない。


そのかわり、申し込まれたら、相手を殺しても文句は言われないというもの。



ランク昇格は己の力と相手の力の差を見極められる能力。


命の損失の代償を背負うものだ。



『よくわかんね。でもケンカなら買うぜ?』


やっとやる気になったのか、目付きが変わった。


だが攻撃は、何の変哲もない、普通のパンチ。




…のはずだ。




拳から魔力が感じない。




これは普通のパンチ。




なのに…



なぜこの俺が避けられない!?




『オララララ!ダリァ!トリャァ!フゥ、疲れた!』


「グッ…どんなトリックを使った?」



(人間から悪魔になるによって、筋肉が増強して、体が軽くなった気がしたから強くなったんだね。解りやすく例えるなら、超クソ重たい重りが外れたって感じ)



くそ…さすがサターンだ。


『魔力?今のは普通のパンチだけど?お前弱くね?』


やはり普通のパンチか。

呪文を使わずにこの強さ。


だが、見たところ同年代。なのにこの差は…


負けたくない


「アラームラディー!」


アラームラディーは爆発系最大の呪文。


俺の使える呪文の中でも最強の呪文だ。




ドバーン…と周辺に巨大な爆発が起こる。


砂煙が晴れると…


「危ないじゃろ!バカモン」


なぜか閻魔様がいて、メディーをかばっていた。


「間一髪セーフじゃった…ん?あ、ヒーローは遅れて登場するもんだろ?」


今、閻魔様言い直した。


「説明が必要だな、メディー、メルト。ついてこい」


そして呼ばれた俺達は、メディーが人間界で育った事など、秘密事項を教えられ、こうして運命共同体になった。




ーーーーーーーー


『あ、終わった?』


「あぁ、まさにコメディーだったろ?」


『ドコが!?この話のドコに笑える要素があったの!?むしろバックボタンで戻った読者の方が多いよ?』


「ムッ!?じゃあメディーの人間時代の話してみろよ」


『フッ…お安い御用さ』



ーーーーーーー


あ、回想シーン入ります。

(分かってるよ)



目覚ましの音を一切無視。自然と目が覚めるまで寝る。


時計の針は午後4時。

遅刻どころか、帰りのHRが終わる時間である。


《お寝坊さん♪》


いつしかそう呼ばれる事にも萌える。


(お前バカにしてんのか?)


では次の日。

昨日は軽く15時間は寝たはずなのに、夜また寝る。


今日は彼女のモーニングコールで目を覚ます。


(ホゥ、メディーは彼女がいたのか)


「家が近ければ毎日起こしに行くのになぁ…」


そんな事で悩んでくれる彼女に、朝起きられない事に罪悪感。


(いい彼女じゃないか)


そして支度を整え、家を出ると、女が待ってる。


俺と一緒に駅まで行きたいらしい。


(え…?彼女の家は遠いんじゃ…)


『テメェわざわざ来んなって言っただろ!?』


(…あ、付き纏われてるのか)


「だって一緒に行きたいんだもん…」


『仕方ねぇな…ほら、手』


いじける女は俺と手を繋いで歩く事で機嫌を直してくれたようだ。


(…は?オマッ…)


そして女を駅まで見送る。


そして今日は地元の女子高で学園祭が行われている事を思い出す。


『フッ…あいつの為にも顔くらい出してやるか』


(お前何人彼女いんだよ!!ってか学校行けよ!)


女子高の学園祭が平日にやるのは、生徒だけの学園祭。つまり、一般公開はしないのだ。


その理由は女の子目当ての男を校内に入れないため。


しかし、生徒全員の署名運動のおかげで俺だけ入園が許可される。


そして、歩く度、目が合う度にメアドを聞かれてもう大変。


そんな俺を良く思わないのが幼なじみ。


独占力が激しいツンデレ系だ。


『よぉ』


俺が挨拶したにも関わらず…


「何しに来たの?」


と、冷たい扱い。


しかし、署名運動を立ち上げたのが、実はコイツなのだ。


さしずめ、演劇部でヒロイン役をやる姿を俺に見て欲しいのだろう。


さらに、この学校には俺の妹もいる。


クラスの出し物で《カレーそば》という前代未聞の挑戦クラス。


しかも食べに来てと言われたから質が悪い。


ま、普通の女からの誘いなら断っているが、妹のためなので仕方なく行ってやる。


ドアを開けると、女の子全員の視線が俺に注がれる。


「あ!お兄ちゃん♪」


俺に気付いた妹が駆け寄ってくる。


カレーそばを渡され、席に座り食べてみるが、案外うまい。


完食後、退室。教室からは《マジ格好イイー!》とか《超好き!明日告白するから!》など戯言が聞こえるがあえて無視。


しかし、どうやら教室に

携帯電話を落としてしまったみたいだ。


急いで取りに戻ると、妹が質問攻めにあっている。


《彼女いるの!?》とか《好きなタイプは!?》など、俺に関する事ばかりだ。


だが、当の本人がいるのに気付いていないみたいだ。


『あの…携帯忘れちゃって』


「…………!!」


やっと俺がいる事に気付いた女共は、《キャー、さっきの事聞こえちゃった?どうしよう…恥ずかしい…》とか思っているに違いない。


(あの…メディー?)


そして複数の女に引っ張り凧の俺。


(おい!メディー!)


しかし運悪く、現場にツンデレ幼なじみが登場。


(もういい。辞めろ)


泣きながら走り去る幼なじみを捕まえ二人はそのまま……


(アラームラディ…)



はいゴメンなさい。



ーーーーーーー


回想シーン強制終了。


「…で、どこから嘘?」


『次の日〜辺りかな』


「ほぼ全部嘘じゃねぇか!」

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