外伝:某月某日某所にて
ザァァザァァっと、波の音。
ふぅ~……。
気持ちいいな。
【そうですね~】
空を見上げると、海鳥が群れで旋回している。
魚の群れでもいるのかな?
『はぁぁぁ……』
快晴の空に、適度な潮風……。
【波も穏やかですね】
ああ。
船の甲板で、座ったまま壁に体重を預けて、ただ空を眺めていた。
こんなにのんびりするのは、久しぶりだな。
【そうですね~】
『ふぅ~……』
てか、船旅自体がかなり久しぶりだよ。
【私は、人間だった時以来ですね】
そうなのか~……。
あ~……。
何もやる気がしね~……。
【まぁ、たまにはこれ位のんびりも、許されますよ】
許可などいらん!
俺は、俺の為に生きるんだ!
邪魔する奴は、ガンってしてゴスってしてやる。
【何をするかは、さっぱりですが、やめましょうね】
諭すな!
『ふぅ~……』
あの……あれだね。
【なんですか?】
今回、通貨がすぐに手に入って助かったよな。
【ええ。それも、平和的に手に入ったのは、喜ばしい事です】
毎回こうだと楽なんだけどな~……。
【無理でしょうね~】
はははっ……。
死ねよ! 神様!
『はぁ~あ~』
てか、俺は何時になれば元の世界に帰れるんだよ!
くそっ!
【さぁ?】
もう、ゴミ捨て場で寝るのは嫌だぁぁ!
コーンチーク……ショォォォォォォ!
はぁ……。
やってらんね~……。
『ふ~……』
【まあ、久しぶりにのんびり出来るんですから、体を休めましょうよ】
確かにね~……。
言葉も通じるし、楽できるといいな~。
【あっ! ダメですよ?】
何が?
【それ、フラグですって……】
なるほど……。
俺が、楽したいと言えば、苦労すると?
【毎度ですけどね】
ふっざけんな!
馬鹿か!
なんで、行く世界行く世界で、苦労しないといけないんだよ! チクショウ!
誰だ!
誰の差し金なんだ!
『あ~……』
神か!
神なのか!
言ってみろ!
【いや……誰のせいかは、分かっていますけどね】
なんですとぉぉぉぉぉぉ!
誰!?
そいつ、殺す!
【えっ? 自殺するんですか?】
えっと……。
【ほぼ、貴方のせいです】
ですよね~……。
もう嫌だぁぁぁぁぁ!
こんな人生、もう勘弁!
俺の何が悪いんだよぉぉぉぉぉぉぉ!
【自分の胸に聞きましょうね? 毎回毎回、女性を見てはフラグだのと……】
だってぇぇぇぇぇぇぇ!
卒業したいもん!
てか、その為だけに生きてるもん!
【全否定するつもりはありませんが、たかだかそれだけの事で……】
邪神とか!
陰謀とか!
美人局とか!
爆発とか!
誰か……助けて下さぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!
【情けない……】
あの……。
あれ……。
えと……。
困ってまぁぁぁぁぁぁぁす!
すんごい迷惑でぇぇぇぇぇぇぇぇす!
【はぁ~……】
誰か!
【はい?】
誰か殴る!
『あ~あ~……』
うん!
きっと、許される!
【やめましょうね、クズの人】
ちょ!
【何よりも、そんな事すれば、余計に巻き込まれますって】
あ~……。
【もう、何もしないのが一番じゃないですか?】
うぅぅぅぅぅぅん!
俺も、そう思う!
はぁ~あ……。
『ふぅ~……』
なあ、若造?
【はい?】
俺達は、この世界にいる間中、この気持ち悪い溜息を聞き続けないといけないのか?
『はぁ~……』
【た……たぶん……】
もう!
『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ……』
うざい!
超うざい!
馬鹿か! お前!
『しかし……』
諦めなさいよぉぉぉって!
頭の中で、延々溜息を聞き続ける、こっちの身にもなれよ!
馬鹿か!
【まぁまぁ】
若造! お前も、うざいだろうが!
【ははっ……多少】
『パン……』
あああああ!
もう!
いい加減にしろ!
この世界には、イースト菌が無いんだよ!
仕方ないだろうが!
『ああ……パン……』
お前!
日頃、人に我慢しろだの、仕方ないだの言ってるくせに!
お前こそ我慢しろよ!
小麦粉練って焼いたのは、食べたじゃんか!
この世界では、あれが限界なんだよ!
小麦粉あっただけマシじゃん!
『あれは、パンではない! わしは、認めん!』
俺だって、材料ないと作れないの!
どうしようもないの!
そして、お前は馬鹿なの!
『神よぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
おいって!
『こいつが、何かに巻き込まれても構いません!じゃから、わしにパンをぉぉぉぉぉぉ!』
何願ってんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
馬鹿かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
てか、馬鹿だぁぁぁぁぁぁぁぁ!
『お前の不運を犠牲に、わしはパンを得るんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
アホかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
勝手に、人を賭けるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
叩きおるぞ! クソジジィ!
『神よぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
止めろよ!
本気で祈るな!
人を代価にするな!
それ叶うと、俺がえらいことになる!
『お前の苦労よりも、パンじゃぁぁぁぁぁぁぁ!』
マジでやめろよぉぉぉぉぉぉぉぉ!
本気で、叶いそうな気がする!
『神よぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
神様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
キャンセルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!
今のなしでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
『我にパンを与えたまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』
何を、召喚するつもりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
また、巻き込まれたらどうすんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!
止めなさいよ! クソジジィ!
『パンのない世界など、この世から消えてしまえぇぇぇぇぇぇぇぇ!』
邪悪な賢者が、恐ろしい事言い始めたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
馬鹿なのか!
てか、最低だ! こいつ!
『はぁ~……どうにも、ならんのは分かっておるがな……』
じゃあ、物騒な事考えるなよ!
怖いわ!
『はぁ~……』
【まぁまぁ、落ち着いて】
『……おい、馬鹿』
ああ?
なんだ? クソ?
『わしは今、お前よりも若造にイラッとするんじゃがな』
【えっ?】
まあ、分かるような気がする。
【ちょっと!】
この世界に、パンは無いけど麺類は豊富にあるもんね……。
【まぁ……】
『食事のたびに、こいつのパスタに近いだの、パスタよりも美味いだの……』
基本的に、パスタ基準でしか会話出来ないからな。
この、エセ聖人は。
『うむ! 気分が悪い!』
【いいじゃないですか! パンや肉よりも、パスタは遭遇率が低いんですから!】
『黙れ! 若造!』
まぁ……。
肉が無い世界は、ほぼないから俺には関係ない。
【もぉ~……】
『……やっぱり……』
ああ?
『神よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
止めなさいよぉぉぉって!
****
「兄ちゃん?」
ああ?
いつの間にか目の前には、笑顔のガキが立っていた。
「なんだ?」
「へへっ。なんか、嫌な事でもあったのかい?」
ああ?
「すんげ~眉間のしわだぜ?」
「なんでもない」
俺は再び目を閉じたが、目の前から気配は移動しない。
それどころか、座り込んだらしい。
「はぁ~……なんだ?」
「へへへっ。おいらと、勝負しないか?」
ああ?
ガキは、三つのカップと……。
宝石らしき物を、目の前に出した。
振ら返しに並べた、三つのカップの一つに、宝石を入れると……。
『ほう……』
【なかなか、速いですね】
「さあ、どれだ?」
カップをそのままシャッフルしたガキは、両掌を俺に向ける。
賭けね~……。
「右端……」
「お! やるじゃん! 兄ちゃん!」
右端のカップを持ち上げ、笑いながらガキは宝石を俺に見せる。
「どうだい? 暇つぶしにいいだろ?」
はぁ~……。
「兄ちゃん、結構金持ってただろ?」
「俺が勝ったら、その宝石でもくれるのか?」
「分かってるじゃん。三回連続で当てたら、これをやるよ」
う~ん……。
別にいらん。
【まあ、宝石よりは通貨のほうが使いやすいですよね】
飯と衣服以外は、価値ないもんな……。
「いや……俺は……」
「じゃあ! いくぜ!」
って! おい!
『強引な小僧じゃな』
身なりは、裕福とも言えないし……。
まあ、少しは付き合ってやるか……。
【くくくっ……】
なんだよ?
【お人よし】
五月蝿い……。
俺は、懐からこの世界の通貨を取り出すと、小僧の前に投げ捨てた。
「こんなに……へへっ! 自信があるんだな? 兄ちゃん!」
カップを動かしていた、ガキの手が速度を上がる。
「右」
片目だけ開いた俺の答えに、ガキは伏せたカップを持ち上げる。
「じゃあ、速度を上げるぜ!」
「真ん中」
遅すぎて、話にもならん。
「へへっ……流石だな。兄ちゃん」
お前が俺の何を知ってるんだよ……。
【どうするんですか?】
『間違えてやるのか?』
さぁな……。
ガキに大人の厳しさを……。
って、おいおい。
【これは、いけませんね】
宝石は、カップからガキの右手の中に移動して……。
「さあ、どれだ!」
はぁ~……。
『折角、負けてやるつもりじゃったがな……』
仕方ない。
【そうですね……】
「今、ポケットにいれてる右手の中……」
「えっ!? あの……」
ガキは真っ青になり、狼狽え始めた。
ばれるとは思ってなかったか……。
『馬鹿な小僧じゃ』
「なっ! 何言ってんだよ! 兄ちゃん!」
ガキは、ポケットから手をだし、俺に見せる。
「ほら!」
【ポケットが膨らんでますね……】
俺は、何も言わずにガキを見つめた。
耐えられなくなったガキが、ポケットから出した宝石を床に置いて立ち去ろうとする。
はぁ~……。
「待て」
「なんだよ……」
「食料は持ってないか?」
「えっ?」
「無いのか?」
航海は、後半日ほどだが、持ち込んだ食料は尽きていた。
そして、この船に食堂はない。
【そんなに言い訳しなくても……】
五月蝿い!
ガキは、鞄から紙の袋を出してきた。
「ぜっ! 全部はやらないぞ!」
いかさまの負い目……。
これは……。
なに?
【さぁ】
丸い三センチほどの……。
何か……。
匂いは……。
【お菓子か何かでしょうか? 甘い感じですね】
まあ、死にはしないだろう。
俺は、それを口に含んだ。
んん!?
『キタァァァァァァァァァァ!』
ちょ……五月蝿い……。
【乾パンみたいですね】
ああ。
ちょっと違うけど、それっぽいな。
『もう、これでいい! もっと! もっとじゃ!』
うぜ……。
「おい」
「なんだよ?」
俺は、床から宝石と、さっき投げ捨てたこの世界の通貨を、ガキに投げ渡す。
「えっ!?」
「全部もらうぞ」
脳内の、イースト菌ジャンキーがうるさいからな。
【そうですね】
『早く! 早く食べるんじゃ!』
ちょ! 本気で五月蝿い!
いろいろ葛藤していたガキが、軽く頭を下げて船室へ帰っていく。
****
『早く! 早ぁぁぁぁぁぁぁぁく!』
黙んなさいよぉぉぉ!
食うから!
てか、死ねよ! クソジジィ!
『お前が死ね! パンじゃぁぁぁぁぁぁ! ギリギリパンじゃぁぁぁぁぁぁ!』
はぁ~……。
【まぁまぁ】
俺は、袋に入った丸い何かを、食べながら考える。
法則って、本当にあるのかな?
【分からないですよね】
『そうじゃな』
ジャンキーが、正気に戻ったか……。
『五月蝿い』
【でも、時間も切っ掛けも分かりませんよね】
だな~……。
『魔力の量に左右されておるか?』
俺の?
それとも、世界側の?
【両方のバランスでしょうか?】
おいおい……。
世界の魔力なんて、俺じゃあ測定できないぞ?
【ですよね……】
『う~ん……』
う~ん……。
〔う~ん……〕
【う~ん……】
何か、切っ掛けは無いのかな?
【そうですよね……】
『時間も、決まっておらんようじゃしな』
『う~ん……』
{う~ん……}
う~ん……。
〔う~ん……〕
【う~……あれ?】
爆発しても、はじき出されない時もあるんだよな~……。
【いや、あの……】
『そうじゃな。今までの事を、分類するか?』
そこから、共通点を探すか?
〔それしか、今は出来ないでしょうね〕
『ぬう!?』
共通点か~。
【いやいや!】
『お前!』
ああ?
何?
『今、何か変だったじゃろうが!』
はぁ?
何言ってんの?
【今、確かに何かが!】
何かってなんだよ?
ついにぼけ始めたか?
【いや! でも!】
なんだよ……。
『気のせい……か?』
知るか。
真面目に考えろ。
【あれ~……】
共通点以前に、分類方法ってどうするんだ?
分類方法が多すぎるぞ?
『文明? 敵の強さに……』
【魔法があるか無いかもありますよね】
{生息モンスターの強さなんかもあるな}
【!?】
現地住民の強さもそうかな……。
『おった! おったぞぉぉぉぉぉ!』
ん?
【今、確かに何かがいました! 間違いありません!】
あ……ああ。
『お前は、何故落ち着いておる!』
だって……。
『【だって?】』
何時もいるじゃん。
【『!?』】
小人さんと、妖精さん。
【それ、電波ぁぁぁぁぁぁぁぁ!】
ええ~……。
『おかしいおかしいとは思っとったが!』
【この人! 本気で病気です!】
人聞きの悪い。
『そんなレベルではないわ! アホか!』
アホって言うな! クソジジィ!
【病院! 病院に行きましょう!】
誰が行くか!
俺は!
{俺達は!}
〔正常!〕
[です!]
『ぬおう! 増えおった!』
【病院! 早く治療を!】
病気じゃありませ~ん。
【しかし……】
{病気はお前らだ}
『よし! 狩り立てるぞ! 若造!』
【はい!】
止めて!
止めたげて!
みんないい子だから!
『知るか!』
悪さはしないからぁぁぁぁぁぁぁぁ!
【一匹一匹ひねりつぶします!】
怖いわ!
[そうだよ!]
〔皆で仲良くしましょうよ〕
{野蛮な猿どもが}
『よし! 拷問じゃ!』
【根絶やしにしましょう!】
止めろよ!
てか、発想が怖いわ!
よく、それで人にいろいろ言えるよな……。
お前ら……。
『そっちじゃ! そっちに行ったぞ!』
【待ぁぁぁぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!】
ちょ!
止めて!
何!?
俺の体内で、何が起こってるの!?
何してんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
[ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!]
逃げてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
逃げ延びてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
よく分からない、多分小人か妖精さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
【自分でも、分かってないじゃないですか!】
だって~……。
『見つけた!』
〔きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!〕
止めて!
やぁぁめぇぇぇてぇぇぇぇぇ!
{こっちだ、ば~か!}
【捻り潰す!】
こうして、俺の第三万二百十七回脳内会議は……。
変態二人対謎の何かのせいで、大惨事になった。
やれやれ……。
【見つけたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!】
{ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!}
まだやってるの!?
『はぁ~……』
【最近、真面目に会議してませんね】
それは、否めない。
『久方ぶりのパンで、悪のりが過ぎたな』
【まあ、私達は魂を共有してますから、一人芝居ですよね……】
基本、俺達って……。
【戦う、仕事をする、食べる以外は……】
『暇じゃからな』
巻き込まれてる以外に、目標なしの人生か……。
『【不憫な……】』
あれ?
目頭が……。
何かの液体が滴りそうだ。
****
「あの……」
ああ?
質素な服装の女が二人……。
おおう!?
【また、始まった】
二人とも、なかなかじゃないですか。
『はぁ~、アホ』
五月蝿いな!
「弟が、悪さを……」
「違うよ! ちゃんと売ったお金だってば!」
ああ……。
さっきのガキか。
『姉のようじゃな』
【少し多めに渡し過ぎましかたかね?】
かもな。
「あの……お返ししますから、どうか……」
警察とかに突き出すなと?
【でしょうね】
「そいつの言ってる事は、間違いじゃない」
「えっ? でも……」
「こんな大金……」
「なんだ? いらないのか?」
姉二人は、少し悩んで……。
「やはり、これほどの大金は頂けません」
喉から手が出るほど欲しいって、顔に書いてあるんだがな。
『まあ、良識があるんじゃろう。誰かと違って』
誰!?
「姉ちゃん! 兄ちゃんも、いいって言ってるじゃん!」
「黙ってなさい!」
「そうよ! もらい過ぎだわ!」
う~ん……。
俺は懐から、さらに価値のある通貨を投げ捨てた。
「あの……」
「ふ……ふざけないで!」
『全く、不器用な』
姉の一人がそれを拾うと、俺に投げつけてきた。
キャァァァッチ!
「私達が……私達が貧乏だから、馬鹿にしたいの!? ふざけないでよ! 私達にも、誇りぐらいあるんだから!」
ふぅ~……。
「俺の国では、落とし物を相手に届けてもらうと、一割渡すのが礼儀だ」
「はぁ?」
「あ……姉さん。この金額って……」
「その礼を受け取らないのは、失礼になる……。お前らは、そんなに不躾か?」
それだけ言うと、俺は投げ返された通貨をしまう。
【相変わらず……】
『素直とは縁遠い馬鹿じゃ』
バカっていうな!
「ぷっ! あははっ!」
「変な人!」
「なっ! この兄ちゃんこんななんだって!」
誰が、変人だ!
『そうじゃ! こいつは、変態じゃ!』
【それも、どうしようもないレベルの!】
ちょ!
どこに乗っかってるの!
馬鹿か!
「ふふっ……あ~……。こんなに笑ったのは、久しぶり」
「ねえ? 貴方は、どこまで行くの? 私達は……」
何故か、三人は俺の前に座り込んでいた。
変人二人と喋るよりは、女の子と喋るほうがましか……。
****
などと、その時は思ってました。
『またか……』
ただ……。
皆さんは、覚えていますか?
【はぁ~……】
どこかの変人で邪悪なクソジジィが、ある事を犠牲に神に祈りを捧げた事を。
はい!
正解!
パンっぽい物を手に入れたジジィ。
そして、巻き込まれた俺……。
ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁ!
なんだこれ!
馬鹿なんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
三人の旅に同行した俺は、千年ほど眠ってた気持ちの悪い敵と……。
『今回の邪神も手強かったのぅ』
うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!
ばっかじゃないのぉぉぉぉぉぉぉ!
気が付いたら、次元の狭間ですよ……。
【法則が分かりませんね~】
うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!
ジジィ!
『なんじゃ?』
謝って下さぁぁぁぁぁぁぁぁい!
俺をサクリファイスした事を、謝って下さぁぁぁぁぁぁぁぁい!
『蒸しパンも食べられた』
で?
『本望じゃ!』
最悪だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
ああ~……。
やってらんね~……。




