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Mr.NO-GOOD´EX  作者: 慎之介
第十二章:闇の深淵と神々編
41/77

二話

やべ~よ。


【頑張って下さい】


いや、もう眠いよ。


だるいよ。


腹減った~……。


『そうじゃな』


【そう言えば、神は食事をとるのでしょうか?】


えっ?


『……あの女神達は、食べておったが』


そう言えば、師匠は食事なしでも死ななかったような……。


【ここは、神様だけの場所なんですよね?】


えっ?


何?


俺は、ここまで来て餓死?


無理やり連れて来られて、餓死?


ふっざけんなよ!


勘弁しろよ。


も~……。


やってらんね~……。


しっかし暇だ。


まだまだ話は続きそうだな~。


あ~……。


俺の視線は、自然とある場所に向けられる。


ほ……ほ~う!


バウン! バウン! っと……。


けしからんですな!


『アホ』


【しかし、本当に体と密着した服を着ていますね】


『服装は、世界が違えば文化や風土で違うものじゃろう』


「さあ……」


もう、挑発しているとしか思えないぴちぴちの服だな。


【ドレスと言うよりは、レオタードに近いですよね】


実にけしからん!


そして、いろんな意味でありがとうございます!


「そろそろ休憩を……」


あれを鷲掴みに……。


『本当に殺されてしまうぞ?』


そこは神様だし、価値観の違いに期待を……。


【死にますって】


しかし、この距離感で上下左右に暴れられると……。


『落ちつけ、犯罪者』


「そんなに興味が無かったかしら? レイ君?」


おおう!?


「それにしても、そこまで凝視されると……」


おっ! ふぉう!


ばれた!


【気を抜き過ぎました!】


『一度殴られてしまえ』


「そんなに興味がありますか? レイ君?」


ぬほうぉう!


興味二千パーセントだけど!


殺される!


誤魔化せ! 誤魔化すんだ!


生き残るために!


「私の胸がそんなに気になりますか? レイ君?」


んっ……無理ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!


【誤魔化し方すら思いつきませんね】


きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!


「ぼっ……僕も人間だったから、分かるんですが人間の男性は……その……興味がある人が多いと思います。メーヴェル様」


ヤニ!


やっぱりお前は分かってくれると、信じていた!


でも、今はやめろ! 馬鹿!


「なるほど。これは、好意的な事ととってもいいのですか? ヤニ君?」


おおう!?


「はい。僕は、レイ君がメーヴェル様を魅力的に感じていると思えます」


ちょ! おま!


ヤニィィィィィィィィィ!


この糸目野郎が!


「私は生まれついての神です。ですから、よくは分かりませんが……」


まずい!


この流れはまずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅい!


『回復の準備じゃな』


【では、復元も】


ノォォォォォォォォォォォォォ!!


「何かしたいのであれば、後ほど個別説明の時にしましょう」


えっ?


あれ?


いいんですか?


えっ?


がっつり鷲掴みたいんですが?


いいんですか?




オォォォォォォォォォォォォォウ!




イエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェス!!




目の前の神様にありがとう!


【これは……】


『意外じゃな』


恵まれなかった、過去の俺にごめんなさい!



そして、これからの俺にヒアァァウィィィゴォォォォォォォォォォォォォ!!



『帰って来い!』


ん?


袖を引っ張られたので、後ろを振り向くと……。


「あの……レイさんも、胸が大きな女性が好みですか?」


エルミラ?


あれ?


自分の小さな胸に手を押し当て、悲しそうに……。


あったらあったで大好きですが、無ければ無いで大好物です。


『口に出してみろ』


いぃぃぃぃぃぃぃぃやでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇす!


「私……人間だった時で、体の成長が止まってしまって……」


そう言えば、エルミラって十代に見えるな。


【神様ですから、気にしませんでしたが。確かに】


そういう目で見ると、ストライクゾーンギリギリだな。


「エルミラさん。先程説明した通り、元人間でも成長は可能ですよ」


「本当ですか! メーヴェル様!」


「はい」


なんだ? この流れ?


『胃に穴をあけるな! 馬鹿者!』


これは……。


【人間より、神様は正直な気持ちを表して……】


罠か!


殺される!


たま~とられる!


逝っちまう!


確実に!


【そうなっちゃいます?】


『お前は、軽率なのか慎重なのか……』


やらせん! やらせんよ!


俺の神をも凌ぐ、脳内高速処理により胃の動きが活性化された。


ぐぅ~と腹の虫が、騒ぐ。


おっ……おなかすいた。


「あら? そう言えば、レイ君は人間でしたね」


えっ?


忘れてたの? 馬鹿なの?


「では、食事をとりましょう」


あ! 忘れてた!


「メーヴェルさん? ここにも食料はあるんですか?」


「はい。食事が必要な神もいるんですよ?」


へ~……。


まあ! いいや!


【これで、餓死の危険は無くなりましたね】


うぅぅぅぅぅぅん!


「では、私達メーヴェル班は、食堂に向かいます」


「了解した」


メーヴェルさんがガイストに声をかけ、俺達は部屋を出る。


あのガイストっての……。


『蛇を思い出すのぅ』


虹彩が、人間のそれとは違うな。


まあ、人であるとは限らないもんな。


【爬虫類……リザードマンのような外見でしょうか?】


かもね。


****


うおう!


「さあ、ここです」


でっかいフロアだ。


【何百席あるのでしょうか?】


カウンターで仕切られた厨房も……。


えっ? 何?


ここで商売する気?


『しかし、調理をする者がおらんな』


だね~……。


「この棚の中が、食材です。全て腐食しない様に、特殊なフィールドで覆っています」


「あの……」


「なんですか? レイ君?」


「料理って……」


「残念ですが、担当していた神が戦死しました」


おおう……。


「ここの器具と食材は、自由に使って構いません。ですから……」


もういい。


わかった。


さて、やるか。


『パンじゃな』


【出来れば、パスタも】


ん!


「あ! 私も手伝うわ!」


「僕も……」


「私も、お手伝いします」


ローズ達も手伝ってくれるのか……。


てか、何気に五人分作らないといけない感じ?


『まあ、そうじゃろうな』


このフィールドは……。


『特殊な小規模結界の様じゃな』


核をつぶせば……うん! 使えるな!


よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!


****


メーヴェルさんに見つめられながら、料理を始めた。


「すごっ……」


「ローズさん? エルミラさん? 僕は料理って、ほとんどした事なんだけど……。こんなに激しいものなの?」


「いえ……レイさんは……特別だと思います」


しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!


「ローズ! その鍋三つに水入れて沸かしてくれ!」


「わ! わかった!」


らぁぁぁぁぁぁぁ!


「ヤニ! これの皮剥け!」


「あ……うん!」


おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!


「エルミラ! 皿!」


「はっ! はい!」


ふぉぉぉぉぉぉ!


「レイ君……やはり、個性的な子ね」


うし!


【あれ? 先にメーヴェルさんに?】


まあ、そこは最低限の礼儀だしね。


「これを先に貰っていいのかしら?」


「どうぞ」


そのかわり、後で見返りを……。


『煩悩……』


さて、下ごしらえも大体済んだし。


「お前等も、トレーをもってそこに並べ」


「先に僕達が食べていいのかい?」


おう!


お前は、イケメンじゃないから許す!


「うわ~! 美味しそうですね! ローズさん!」


「うん! いい香り!」


一皿……二皿……っと!


三皿……四皿……五皿……。


ん?


あれ?


「大盛りでお願い」


見た事もないSランクの女が並んで、声をかけてきた。


あれ?


「どうしたの?」


あれ~?


九皿……十皿……十一……。


あれ~?


「凄い! 美味しい!」


「今度の担当は、料理を司る神か?」


「これはなかなか……」


「素晴らしい味じゃ!」


おや~?


後、二十人……二十柱? 並んでる。


お~や~?


「私はお代りを頂こうかな」


「こんな料理、俺の世界には無かったな」


は……はめられた!


誰かにはめられた!


「あ……あの。レイさん?」


「なんでせう?」


「私、手伝います」


「あ! 私も!」


「僕も」


「はい……お願い」


あれ~?


****


俺が食事を済ませたのは、四十人の客? をさばいてからだった。


何でこうなるの?


「ありがとう、レイ君」


メーヴェルさん……。


この代価は、後で体【まあ、いいじゃないですか】


よくない!


『食料の代価じゃろう? 普通は』


ぬうう!


「レイさん……凄くよく食べますね」


俺が高速で口へ料理を運んでいるのを、皆が眺めている。


「こんなに……清々しく食べる人初めて!」


「僕も初めて見たよ」


「レイさんって……人間ですか?」


人間ですよ! エルミラ!


『流石は、焼きたてじゃ』


【食材がいいと美味しいですね~。特にパスタが】


あのさ~……。


『なんじゃ?』


なんで俺は、何時もこんな感じ?


『……諦めろ』


ええ~……。


返答もなし?


【神様なら、周りにいっぱいいるじゃないですか。恨みごとなら、そちらへどうぞ】


『まあ、命の保証は出来んがな』


で……ですよね~。


はぁ~……。


「では、先程の部屋へ帰りましょう」


洗い物を済ませた俺は、メーヴェルさんのあとをついて行く。


****


「あら? ガイスト?」


「こちらも少し休憩だ」


部屋から出てきた、ガイスト達四人とすれ違……!?


「きゃ!? レイさん?」


俺に向けられた殺気で、反射的に二本の剣を構えていた。


「すまないな」


「なるほどね。下手な神よりは、力になってくれそうね」


ああ?


青い髪のイケメンからとばされた殺気は、既に無くなっていた。


「先程魔眼で見せて貰った君の実力について話したんだが、この女神に信じて貰えなくてね。失礼した」


【試されたようですね】


喧嘩を売ら【れてません!】


もう、殺しても『駄目じゃ』


てか、イケメンは皆殺【駄目ですって!】


「お互いの紹介は後ほどだ」


ガイストを先頭に、四人がすれ違って行く。


『S×三クラスか?』


いや、S×二クラスだと思う。


でも……。


【魔眼の力が未知数ですね】


「私から、後ほど注意をしておきます。今は、戻りましょう」


メーヴェルさんに諭されて部屋へ戻る。


ちっ……。


『今回は、舐められると言うよりも評価されたんじゃ』


【落ちついて】


分かってるよ。


視線に、俺への軽蔑は無かった。


でも……。


イケメ『お前! もう! しつこいわ!』


【まあまあ】


ちっ……。


「レイってすごいんだ~! 私、ビックリした!」


ああ?


「レイ君……凄いんだね。人間なのに神様に認められるって」


ローズとヤニが、興味津津といった感じで……。


あれ?


エルミラは、逆に泣きそう?


えっ!?


何で!?


「どうかした? エルミラ?」


「レイさんの感じが、凄く変わって……。怖いです」


ええ~……。


お前のが魔力強いだろう?


怖いってお前……。


【怖がられて距離を……ですか?】


『なるほど! 今回はそれか!』


五月蝿い!


「戦う人の目でした……。レイさんは、人間ですよね?」


「えっ?ああ……」


「人間は、私達よりも簡単に死んでしまいます。死に急ぐような事は、しないでくださいね?」


「ああ……」


【あれ? 怖いって、こちらが死ぬ事ですか?】


そうみたい。


エルミラは、さっきから俺の袖を放さない。


『おかしい! 何故嫌われん!?』


ちょ! 五月蝿い!


おかしくない!


****


「さあ、説明を再開しましょう。時間に余裕がある、と言うわけではありません」


メーヴェルさんが、再び説明を開始する。


これは……。


『まあ、聞く必要があるじゃろうな』


俺が所属するのは、救護部隊らしい。


主に力が弱い元人間の神が多いらしいが、戦闘向きでない者や魔力の弱い者が所属する部隊。


「直接の戦闘が少ないとはいえ、重要である事に変わりはありません。敵との戦闘で重要になるのは、魔力により敵を消滅させる事です」


なるほど……。


そんな事が出来るのか。


【確かに狭間は、魔力の海と言えますからね】


侵入の際、世界に穴をあけるそうだが、その穴からエルミラ達は魔力を補給するらしい。


『まあ、神にしか出来んじゃろう』


神様でも、訓練が必要って言ってるもんね。


エルミラ達が補給した魔力を、他の戦っている部隊に補給するか。


【効率を考えてでしょうね】


まあ、最悪の脱出にも使うって言ってるしな。


「次元の穴は、私が固定します。そして、レイ君にはそれの護衛を」


なるほど。


「もちろん最前線の部隊以外にも、それをサポートする戦闘可能な部隊がいますので、戦う機会は少なくてすむでしょうが」


おいおい……。


分かって……言ってるっぽいな。


『サポート部隊も、強い敵を優先的に倒す予定じゃろうが……』


【止める事が出来ない強敵が、抜けてくる可能性もありますね】


えっ?


最悪の場合って……。


『作戦全体……ひいては、神全員の命をお前が背負う事になるじゃろう』


ええ~……。


もう!


勘弁してくれよ!


俺は人間だって言ってるじゃん!


****


それからは、再び神様が狭間から魔力を補給する方法や、訓練の説明。


あああ! もう!


聞いても意味無いじゃん!


またこれかよ!


その説明は、俺の体内時計で十時間続いた。


【多分、二時間かかってませんって】


だって!


暇なんだもの!


やる事って、メーヴェルさんの胸か、エルミラの顔を愛でるしかないもの!


『アホ』


違うわ! 馬鹿!


【まあまあ、しっかり魔力は練り込めましたし】


まあ、悪意相手じゃほとんど意味無いけどね。


『もともと、人間が戦える相手ではないからな』


はぁ~……。


「ガイストの班は、先程言ったサポートの部隊です。直接私達の警護をしてくれますので、挨拶をしましょう」


真っ先に近付いてきたガイストは、ガチャンと首元にあるマスクのロックを外す。


「では、こちらからしよう」


おおう!


ド……!


『トカゲじゃ!』

【ドラゴン!】


ドラゴンで!


身体こそ人型だが、マスクを外したガイストの顔は、完全にドラゴンだった。


意味のない角が四本も生えてる!


【いや、意味はあるんでしょう】


「ん? 珍しいか?」


でも、ドラゴンいっぱい見てるしな。


『似た様な種族は、おったじゃろうが』


「いや……」


「そうか。日頃は魔力を漏らさない様に鎧を着ているが、窮屈でな」


「へ……へぇ~……」


「私は人間が嫌いではない。よろしくな」


「はぁ……」


【人間より神様の方が、礼儀正しいじゃないですか】


こ……。


『こ?』


怖い!


その顔でニヤッ! って、されても怖い!


明らかに、手を出すと噛みつか……食いちぎられる!


【しませんよ】


パクッてされて、うまっ! って言われる!


【言いませんって】


噛まれた傷口からマヒ毒がまわって、保存食にされる!


【だから~……】


『相手にするな』


「さっきは、すまなかったな。俺は氷を司るザッファだ」


青髪のイケメンが、手を差し出してきた。


男と握手か……。


嫌だな~。


『いちいち喧嘩を売るな』


仕方ない……。


「レイだ」


「俺は、ルード。風の神だ」


こいつは……。


『【「普通」】』


五十点!

【五十点!】

『五十点!』


ザッ! 普通だな。


味方じゃないが、敵でも無い。


「レイだ。よろしく」


最後は、女……。


長髪のゴスロリ……。


「私は火のテリアナよ」


「よろしく……」


【あれ? 反応が薄いですね】


見た目が……。


『確かに、年齢と外見は神には関係ないからのぅ』


【若過ぎますか?】


ガキじゃん……。


これなら、まだローズがいい。


【はぁ~……】


「では、説明をしようと思いますが……」


他の皆が、挨拶以外にもいろいろ喋っている中、メーヴェルさんが俺に話しかけてきた。


「ここで聞きますか? それとも私の部……」


「部屋で!」


『はぁ~……』


おや?


笑ってくれてる。


あれ~?


「では、私の部屋へ行きましょう。ついて来て下さい」


こ……。


『こ?』


こんなにうまく行っていいんですか!?


だって!


【だって?】


俺ですよ?


俺なんですよ?


いいんですか?


いいんだよね?


『お前は、誰に聞いとるんじゃ?』


いや! プレイヤー!


いいの?


えっ!?


メーヴェルさんルートの為に、フラグへし折ってただけ?


マジで!?


えっ!?


本当にいいの!?


二十回は、頑張るよ!?


いいの?


【今回、相手の事は?】


あれだけ強い神様だよ!


死なないって!


いけるって!


あの……えっと!


いけるって!


『別に、止めはせん』


【同じく……】


えっ?


何? その感じ?


何で、好きにすればみたいな感じなの?


【『ノーコメント』】


なんだよそれ!


あ~あ!


折角、テンションが上がってきてたのに~!


****


「ここが、私の部屋です」


【『……』】


はぁ~……。


なんだよ~……。


祝ってよ~……。


はぁ~……。


やってらん……。



「さあ、中へどうぞ」


いや!


テンションが、あがって来たぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!


ヒャッ! ハァァァァァァァァァァァ!!


【『はぁ~……』】

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