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Mr.NO-GOOD´EX  作者: 慎之介
第十一章:召喚の勇者達編
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十三話

師匠の奥義が、強大な敵を滅ぼした。


「ユーノ……私の神眼は、おかしくなったのか?」


「いいえ~。多分、私も同じものが見えたはずよ」


俺の使った奥義を見た女神達が、信じられないといった表情で自分の目を擦る。


「魔力の量が増えたわけでも無いのに……。あの力は何!?」


「一瞬だったけど、主神を殺せるほどの力だったわね~。あれが、最強の剣技って事? でも、あの男のそれとも違うし……」


女神達の持つ神眼には、俺の技が異質であることが映し出されていたらしい。


「うん!? あれ……何!?」


「お……おい! カテリーナ姫! レイだ! レイが落ちてくる!」


まだ泣き止んではいないが、笑顔を作ったアルベルトが姫さんの服を引っ張る。


「分かってるわよ。引っ張らないで! アルベルト!」


「あの、ユーノ様、アストレア様?」


「なに~? メイドさん?」


「どうなったのでしょうか? あの……その……」


「世界もレイも姫も、無事よ。見て分かるでしょ!」


恐る恐る問いかけたメイドさんに、先程までとは違う事で苛立つアストレアは強い言葉で返事をする。


「すっ! すみません!」


「あら~? 姫様を抱き締めるレイが気に入らない? アストレア?」


「ちっ! 違うわよ!」


「少しは、私の気持ちが分かった~? でも、大丈夫よ~。私達は二人なんだし。お得なこっちを選んでくれるわよ」


「違うったら! でも……本当にそうかな?」


頬を染めたアストレアは、期待を込めた目でユーノに問いかける。


「うふふっ。さ~あ、どうでしょう?」


笑っていたユーノの顔が、予想外の事態に強張る。


「えっ!? ちょ!」


「嘘! ブラックホールが!」


「えっ!? 申請が……おりた! 行くわよ! ユーノ!」


「空間固定を優先ね~……。アストレア! 私達のダーリンの事! 任せたわよ!」


「分かったわ!」


本来の力が出せるようになった女神達は、結界から信じられない速度で飛び出した。


****


「そんな……レイィィィィィィィ!」


「間に合ってよね!」


アストレアの願いは、叶わない。


俺はブラックホールの中に飲み込まれ、アナスタシアの悲痛な声が周囲に響く。


「いやああああああぁぁぁぁ!」


「くっそ! 体が!」


(落ちついて下さい! マスター! 回復まで……後、二分三十七秒です!)


「レイ! レイ! あああ!」


「くそ! あいつは魂が……くっそ!」


「は~い。レイの回収は、アストレアが向かうわ~」


師匠の前に到着したユーノが、ローブを鎧に換装させ両手に凄まじい魔力を込める。


「ユーノ?」


「私は、あの大穴を塞ぐわ~」


「なら……アストレア! あいつに、魂を……魔力を注いでくれ!」


まだ動く事の出来ない師匠は、ブラックホール内に向かおうとしたアストレアを引き留めた。


大事な事を伝える為だ。


「はっ!? そんな事……」


「それが、あいつを救う! 頼む!」


「わっ! 分かったわよ!」


「どう言う事~? 破壊神?」


「あいつは……」


****


暖かい……。


金色に輝く、これは何だ?


俺は……。


死んだんだよな?


魂が無くなったと思ったから、無に消えると思ったけど。


もしかして、俺も魂の故郷にこれたのか?


でも……。


なんだろう?


気持ちいい。


とても安らぐな……。


この感覚は、まるで……。


そうだ!


小さい時に、母さん達に抱かれた時の様に。


えっ!?


梓さん!?


もしかして、待っててくれたんですか?


嬉しいな。


えっ!?


なんで、そんな顔するんですか?


お願いです。


そんなに、辛そうな顔をしないでください。


お願いですから……。


俺……。


俺に出来るだけ、頑張ったつもりなんですが……。


駄目なんですね?


ああ!


ちくしょう!


死んじまったら、これ以上もうどうしようもない。


はぁ~……。


やってらんね~……。


俺は、梓さんを笑わせることすら出来ないのかよ。


あ~あ……。


なんて最後だよ。


童貞卒業できないだけでも、洒落にならないのに……。


救いすらないのかよ。


はぁ~……。


****


「あの……」


うん?


「すみません。申し訳ないんですが……」


なんだ?


「起きておられますか?」


え~……。


「なんですか?」


てか、あんた誰?


目の前には、濃いブラウンの髪と瞳の……。


おっ……。


結構可愛い女の子。


「私、ここに来るの初めてなんです」


そう何度もくる所じゃないだろう?


「それで?」


「お手数ですが、道を教えて頂けませんか?」


なるほど……。


「お安い御用だ」


俺は、寝そべっていた草むらで上半身を起こし……。


辺りを確認する。


ここは、庭……かな?


少し離れた場所に石畳があり、大きな建物へと続いている。


なるほど……。


何処!?


【さあ……】


ああ?


何処!?


『何処じゃろうな?』


え~……。


え~と……。


あれ?


【どうしました?】


俺……死んでなくね?


『バッチリ、生きとるな』


俺って、魂無くなったんじゃないの?


今回は、師匠に助けて貰えたとは思えないんだけど?


【私達も、魔力の枯渇で今意識を取り戻したんです】


えっ!?


これって、実は死んでなさそうに見えて死んでるとか?


『……いや、生きとるはずじゃ。魂に魔力もある』


は~い。


わけがわかりませ~ん!


あれ~?


【おかしいですね】


「あの……」


ああ!


忘れてた。


「えっとね~……」


「はい」


ここは何処ですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?


なんでこんなとこに、俺はいるんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?


誰か、助けてくださぁぁぁぁぁぁぁぁぁいぃ!


何処ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?


ここぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?


『落ちつけ! 変態!』


変態関係なぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!


何? これ!?


俺、生きてるの!?


何で!?


ここ何処!?


そしてこの娘、誰!?


えっ!?


何?


何のドッキリ!?


えっ!?


訳が分からない!


「あの~……もしかして、ヴァルハラの方ではないのでしょうか?」


ヴァルハラ?


なにそれ、食えるの?


【食べないでください。きっと、地名です】


ああ……。


どうしよう……。


『どうするかのぅ』


「あの?」


ああ!


どうしよう?


【ここは、素直に言いませんか?】


そうしようか?


『お前は、嘘をついてもろくな事にはならん』


ですよね~。


「はぁ、気が付いたらここに居ました」


「そうなんですか」


落ち込まないで……。


俺も、へこみそうだから!


「ああ、そうだ!」


なんですか?


「目的は一緒ですよね?」


いや……。


多分、違う様な気がします。


「一人で心細かったんです。一緒に行きませんか?」


どうする?


えっと……。


『どうするんじゃ?』


どうしよう?


【どうしましょう?】


えっと……。


よし!


この娘可愛いから、ついて行こう!


【いいんでしょうか?】


『今回は、全く見当がつかん』


「じゃあ、一緒に行く?」


「はい! 私は、エルミラです!」


「ああ……レイだ」


「宜しくお願いします」


「よろしく……」


あれ~?


この子……。


【そう言えば……】


『少し、焦り過ぎて気がつかなんだな』


え~……。


魂がぎらぎら光ってます。


「私は、五穀豊穣の神です。レイさんは、何を司る方なんですか?」


エルミラがニコニコと……。


えっ!?


「なんで、神限定なの?」


「えっ? だって、ここは神のみが来られる場所じゃないですか」


はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?


えっ!?


何の嫌がらせ!?


俺、神になったの?


『なっとらん』


何これ!?


どう言う事!?


【分かりません】


ああ! もう!


また、何かに巻き込まれるんじゃね!?


ええい!


くそ!


誰の嫌がらせだよ!


神か?


神なのか!?


言ってみろ!


ちくしょう……。


やってらんね~……。

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