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Mr.NO-GOOD´EX  作者: 慎之介
第十章:銀河と相棒編
15/77

二話

「積荷を駄目にした事と、勝手に乗り込んだ事! まずは、謝るとかってないの?」


あわわわ。


『落ちつけ、馬鹿』


馬鹿じゃありませ~ん!


「何? 喋れないの?」


あの……。


あれ……。


その……。


あばばばば。


【情けない】


「聞いてるの!」


(あの……ごめんなさい)


「うん? あんたもしかして、エスパー?」


エスパー……。


(はい! そうです!)


『また、この馬鹿は……』


【嘘が嘘を呼ぶ、最悪の雪だるまにならないといいんですがね】


ちょ! もう!


なんでお前等は、不吉なことばっかり言うの!?


ばっかじゃね~の!


『馬鹿はお前じゃ』


もう、嫌だ。


こいつ等、最悪。


はぁ~……。


やってらんね~……。


「分かった! テレポートに失敗したのね!」


テレポ……。


うん!


そう! もう、それでいい!


(はい)


「なるほどね……。で?」


(で?)


「名前とか、状況説明をするんじゃないの?」


えっと……。


何をどう喋ればいいの?


状況が、全く分からない。


何を説明すればいいの?


俺は、どうすればいいのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


誰か助けて下さぁぁぁぁぁぁぁぁい!


「う~ん……」


えっと……。


もう、適当になんか言っとく?


『やめておけ』


どうしようかな~。


港の近くにある倉庫で、テレポーテーションの練習してて……。


しくじった!


うん!


これだ!


【自分が、ことごとく選択ミスするって覚えてます?】


じゃあ!


港じゃなくて、平原で!


【違うと思いますが……】


「あんた、もしかして記憶が混乱してる? 確か、エスパーって記憶が混乱したりするんでしょ?」


うぉん!


(はぁ……。ちょっと、記憶がとんでるみたいです)


「なるほどね。で? 名前も覚えてないの?」


(あっ……レイです)


「じゃあ、レイ。それ以外は?」


(それが、全く覚えてません……)


「う~ん……。テレポートって、どれだけの距離が移動できるか分からないけど……」


セーフ?


【多分】


余計な事喋らなくてよかった……。


「惑星間は移動できないわよね? てことは、あの星から来たの?」


はい?


惑星? 星?


はい?


俺は、女が指差す丸い窓に目を移す。


おおぅ!?


はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?


動転した俺は、窓に顔をべたりと吸いつける。


あの!


これ……。


え?


【ちょっと……これは……】


『予測と対策を、考えておくべきじゃった……。絶対無いとは言い切れん……』


目の前には……。


はい?


宇宙空間らしき場所が見えますが、何か?


てか! 俺はどこにきてるの!


馬鹿なの!?


「あんたもしかして、ここが宇宙船の中だって分かってなかったの?」


分かってませんでした!


てか!


宇宙船!?


普通の船だと思ってました!


宇宙って! 馬鹿ですか!


こんな場所、人間の来ていい場所じゃないよ!


何してんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


「何を呆然としてるの? もしかして、本当に何も理解できてない?」


俺は、必死で頭を上下に振った。


目の前にいる女は、呆れたように大きくため息をつく。


てか! よく宇宙船の中に出られたな!


ちょっとでもずれれば、宇宙の真ん中に一人ぼっちですよ!


空気がありませんよ!


流石に死んでしまうわ!


なんだかんだで、狭間の中って呼吸出来ますからね!


【流石の悪運……】


「母星や、連絡できる相手は?」


(分かりまてん……)


「何か、覚えてる事は?」


(名前だけ……)


「たく……どうするの! この水!」


ひぃ!


怒ってらっしゃる!


【今回は、逃げる事も出来ませんね】


「手間もかかるし、値段もそこそこするのよ? もう!」


ひぃ!


ごめんなさい!


「仕方ないわね……。体で、払って貰おうかしら!」


体……。


体ぁぁぁぁぁぁぁぁ!?


えっ!?


えっ!?


いいんですか!?


罰じゃなくて、御褒美になりますが!


いいんですか!


【これは、あれでしょうね】


『多分そうじゃろうな』


ちょ! あの!


すぐにでも、脱ぎますが?


「いいわね!」


(喜んで)


「じゃあ、あのロッカーにモップが入ってるから! 排水出来てない水を、拭きとって!」


はは~ん。


「さあ! 駄目にした水の分、きっちり働いてもらいますからね!」


はいはい。


分かってました!


はいはい!


体って! 労働力ですよねぇぇぇぇぇぇぇ!


分かってましたぁぁぁぁぁぁぁぁ!


『【予想通り】』


そうですねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!


「じゃあ、私は別の仕事があるから、終わったら操舵室にきて」


(へ~い)


「あ! そうだ! 私は、キール! この船の船長で、この会社の社長! 宜しくね!」


「ウィーン……パシュ」


自己紹介を背中越しにして、社長はそのまま部屋を出た。


てか、あの扉かっけぇ。


金属の自動ドアかな?


『宇宙船だけに、あんな何でもない扉でも、密閉性が高いようじゃな』


【ただ、壁のスイッチで開きましたから、自動ドアではないと思いますよ?】


うっさい。


さて、掃除をするか……。


ロッカーへ向かおうとした俺の耳に、ゴツ、ゴツと規則的な音が届く。


足音? にしては、やけに大きいなぁ。


おう?


うおう!


モッモッモ! モンスター!


何?


ここは、宇宙船って言うダンジョンですか?


何? 何?


倒せばいいの?


【いえ……。何か喋りかけてきてますよ?】


『魔力も、人間より少し強い程度じゃ。落ちつかんか』


えっと……。


「端末に情報が流れた、新入りのレイってのはお前だな?」


……。


(はい)


目の前の三メートルほどのムキムキ一つ目巨人が、話しかけてきた。


ごく普通に……。


「俺は、デンケル。主に、整備をやっている。宜しくな」


(はい。宜しくお願いします)


挨拶をしてくれた、ムキムキ巨人はそのまま工具らしきものを持って、部屋を出て行った。


あれ?


亜人種?


【多分……】


斬りかからなくて、よかった~。


ふぅ~……。


****


掃除を済ませた俺は、その倉庫らしい部屋の出口へと向かう。


ドキドキ。


俺がボタンを押すと、プシュンと気密が破れ、ウィィィンと音を出して扉が横方向へ開かれる。


おお!


この扉かっけぇぇ!


何これ?


かっけぇぇぇ!


『ほれ! 早くいくぞ! 状況を確認するんじゃ!』


へいへい。


十回ほど開閉をした後、通路を進む。


おお……。


全面金属の通路……。


只の船とは一味違うな。


な!?


なんだ? あれ?


マネキン?


アンドロイド!?


何か、ちょ!


エロいけど、怖い!


通路の先から、つるっつるの女性らしき物が歩いてきます。


女性の輪郭と、ルビーのような目だけがついた、マネキンらしきものが……。


はっ! 話しかけられた!


繋ぐか?


『アンドロイドでは繋がらんぞ?』


「貴方がレイね? 私は、アルマ。宜しくね」


(は……はい。宜しく)


「あら? 貴方は、アニ星の人間を見るのは初めて?」


アニ星?


……。


『よく、漫画で読んでおったじゃろうが』


あああああ!


そうだよ! ここ宇宙!


宇宙人!


宇宙人じゃん!


(はい。初めてでして)


「私達は、毛が生えてないし、皮膚が銀色なの」


へぇ~……。


「それ以外は、みんなと同じなのよ?」


ほほぅ。


「だから……そんなに、ジロジロ見ないで。さすがに恥ずかしいわ」


(あ! ごめんなさい)


「次は勘弁してね。じゃあ、また後で」


まさか、宇宙まで来てしまうとは……。


****


なんだか、計器やらモニターがたくさんある部屋に、社長と、普通の人間に見える男と……。


両生類?


【こういう、種族の方では? リザード族もいるくらいですから……】


何かを喋りかけている社長に、念話を繋ぐ。


正直、繋がないと何を言っているか全く分からん!


なんだか、三人が同時に話しかけて来てる……。


(あの……俺、一人一人しか話が出来ないっす)


「ああ、なるほど。じゃあ、一人ずつ挨拶してくれる? 後、そこにある船内服を着なさい。酷い格好よ?」


まあ、毎度ながら爆発に巻き込まれましたんで……。


でも、これは宇宙服かな?


ピチピチだけど、白地にブルーのライン……。


結構、格好がいいな。


『お前のそのセンスは、わしにはわからん』


「多分、サイズは問題ないはずだから、先に着替えて来て」


(ありがとうございます)


「ああ。もちろん、その服のお金もツケだから」


この守銭奴が。


【まあ、ここは素直に従いましょう】


ちぃ……。


服を着替えた俺は、残り二人……。


操舵士のヨハンと、通信士の両生る……ハンスに挨拶をする。


「宜しく」


(お願いします)


「宜しくゲロ」


(宜しくお願いします)


ゲロって言った!


このカエル! ゲロって!


『いちいち反応するな』


だって!


うん? 社長?


「いいな! 今日から、こいつが私達の新しい……」


なんだかんだで、雇ってもらえたのか……。


「奴隷だ!」


おや?


『落ちる所まで落ちたな』


「何でも言いつけるんだ。こいつに拒否権はないからね」


無いんですか?


【まあ、美味い話なんて無いんですよね……】


それも無いの!?


何でこうなるの!?


毎回毎回毎回……。


ええい!


コンチクショォォォォォォォォ!


****


「うん! 今日の料理も中々だったゲロ」


(どうも)


食事の速度が遅い、ハンスの皿を下げる……。


また、これかよ……。


宇宙船から逃げられなくなって二日目から、俺は食事を作る係をしています。


『お前……海賊船でも、同じことをしておったな』


やってましたよ。


てか……。


なんだよ、これ?


あの時は、陸地まで走れないから仕方なくだった……。


【そうなんですか】


今なら、海のど真ん中でも走って逃げる事が出来るよ。


『まあ、そうじゃろうな』


でもね……。


宇宙なんて無理だから!


絶対無理!


【まあ、諦めましょう】


何で!?


何で、こんな事になるの!?


無理に閉じ込める事ないじゃん!


馬鹿か!


てか、宇宙の星間戦争って何!?


そこまで行くと、もうどうしようもないからね!


俺にも、不可能って結構あるからね!


あ~……もう。


この世界は、師匠の管轄だって……。


宇宙怪獣とか出てきても、流石に勝てないって。


無理だって。


うん? デンケルが……。


(なんですか?)


「さっき揺れただろ? 岩に外装を擦ったようだ。修理を手伝え」


(へ~い)


とても、動きが制限された宇宙服を着用し、デンケルと外出用の部屋に向かう。


部屋の赤いランプが消えるのを待つ。


何でも、空気を抜いて真空にしてるそうです。


もう、何をしているか俺にはよく分かりません。


****


宇宙船の外に張り付いた俺は……。


命綱を繋いで、デンケルの指示に従って金属板や、工具を渡すだけ……。


はははっ……。


そうですよ!


役立たずですよ!


わっけが分かりませぇぇぇぇぇぇん!


『魔法ならば、一日の長があるんじゃがな……』


科学怖い……。


【私達の手が出せるのは、せいぜいテレビ……くらいでしょうかね?】


科学嫌い……。


ふと、振り向くと……。


そこは、何処までも続く暗黒の世界……。


あの瞬く星の一つ一つに、物語があるんだろうな……。


俺のかぶっているヘルメット内に、ゴンという音が響く。


おおう!


何するんだ! デンケル!


宇宙空間で、人を殴るな!


「集中しろ。宇宙空間は危険だと教えただろうが」


念話を繋いでみたら、怒らりた……。


「次は、そこの溶剤だ」


(へ~い)


なんだよ、この状況……。


俺は、これからどうなるんだろう……。


もう、敵とか言ってる状況でもないよ……。


勘弁して下さいよ~!


ぷひぃ~……。


やってらんね~……。

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