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Mr.NO-GOOD´EX  作者: 慎之介
第十章:銀河と相棒編
14/77

一話

「貴様!」


「よう。クソったれ」


自分の部下達を犠牲に、この空中要塞から地上へ落としたはずの俺を見て、馬鹿がビビってる。


死んだのは、お前の部下だけだ。馬鹿。


てか、魔力を込めた人形だから、死んだとは言わないか。


【まあ、壊れたでしょうか? 正確には】


「何故ここに居る! 何故生きている!」


誰が死ぬか。


「レイ!」


「よかった!」


あらら。


あっさり掌を返してくれるね。


『今まで散々、神に選ばれた自分達以外は、ここで戦う資格はないと言っておったのにのぅ』


まあ、ここの神が決めた選ばれた子供達ってのは、間違えてないけど。


【その神が、敵だなんて、夢にも思わなかったんでしょうね】


おかしいと思いなさいよ~。


馬鹿なの?


「ありがたいぜ! あんたがいてくれれば、百人力だ!」


百って……。


俺はそんなに弱くないわ! クソガキC!


「四つの神具と、レイの力を合わせれば! 必ず勝てる!」


その神具が、曲者なんだぞ~?


お前達に出来るだけ多く敵を倒して魂を吸収させて、最終的にはお前達の魂も取り込んで完成する、神様用の武器なんだぞ?


だから、神具って名前じゃないの!


頭弱いのか! クソガキA!


「目の前のいるのは、間違いなく最強の魔王! でも! 私達も、最強のパーティー!負けるわけにはいかない!」


最強って……。


そりゃ、神だもん。


魔王ってか、魔力の塊で出来た体しかない神が、自分用に作った乗り物だよ? あれ。


実は、魔王ですらないんだってぇ。


自分達も、神器を完成させるために作られた子供だって、分かってる?


勝てない様になってるんだよ! クソガキB!


「わざわざ、地獄の一丁目に増援とは……。あんたも物好きだな。だが、来た以上!最後まで付き合ってもらうぜ!」


俺は、お前が一番嫌いだ!


何、格好いいセリフ言って決まった! みたいな顔してやがんだ!


なんだ? クールか!


クールなライバルキャラ的な存在の、自分に酔ってるのか?


お前だけ、見殺すぞ! クソガキD!


【嫌いなのは、一番顔がいいからじゃないですか?】


自分が格好いいとか、鼻にかける奴嫌い!


せめて、心の中にしまっとけ!


『子供に本気でキレるな、馬鹿』


五月蝿い! クソジジィ!


「予定外ではあるが……。貴様等の終りに変わりはない!」


おっと……。


魔王のコスプレした神様の相手しないとな……。


じゃあ、まずは……回収!


「なっ!?」


「レイ! お前!」


「何をしているんだ! 貴様は!」


ははっ。


ここで、魔王役のお前が怒るって……。


本気で騙す気あるのか? 馬鹿?


ガキから奪い取った神具四つを、俺は海の彼方へ放り投げる。


「貴様ぁぁぁぁぁぁ!」


あっけにとられるガキどもと、怒り狂う魔王。


バーカ!


「これで、ガキ共から魂は奪えないなぁ……。神様よ~」


「何を言っているの? レイ?」


「お前は! 人類の希望を!」


あ~もう。


「ガキ共、五月蝿い。黙って見てろ。ここからは、大人の時間だ」


とはいえ……。


『魔力は、十分過ぎるほど神じゃな』


楽が出来るなんて思ってなかったけど……。


こいつは、やっかいだよな……。


【神具がなければ、完全な力を発揮は出来ませんが……】


それでも人類なんて、五回くらい滅ぼせそうな魔力があるな。


また、命懸けか……。


やってらんね~……。


でも、まあ……。


これが、俺の進む道だ!


酒場の女共が笑えるように!


目の前の馬鹿は!


俺が殺す!


行くぞ!


『うむ!』【はい!】


****


<バーストインパクト>!


敵のコアを、粉砕した俺は爆発の勢いで空中要塞から吹っ飛ばされた。


ガキ共が魔法で浮遊しながら、要塞の最後を見つめている。


普通に暮らせ、クソガキ共。


そして、何時も通り時空の狭間へと流された。


****


『フィールドを張る!』


【障害物は、障壁でどうにかします!】


くっそ……。


合成魔力を使うと、しばらく体が言う事を聞いてくれない。


どうすれば、この灰色の魔力を使いこなせるんだ?


発作も、合成魔力でおこっているのは分かるけど……。


くる時と、こない時があるし……。


何とか、使いこなさないと……。


次に、あいつ等と戦う時までに……。


【まずいです! まずいです! まずいです!】


うん?


あ!?


ヤバい!


『体は!?』


まだだ! 後、最低五分は無理!


『障壁だけでは、回避できん!』


目の前に、巨大な魔力の渦が出来ている。


以前、体が動く状態でも、命からがら抜けだしたくらい危険だ。


障壁で、流れていく体の軌道を変更するが、巻き込まれる!


【駄目です!】


いだだだだだっ!


体が、ブチって引きちぎれる!


てか……。


ふざけてる場合じゃない!


マジで、引きちぎれる!


腕も……。


くっそ!


ヤバい……。


(フィールドを対流させろ!)


この声は……。


(早くしろ!)


ジジィ!


『うむ!』


体の表面に定着させたフィールドを、回転させる。


ジジィが四散しない様に魔力を押さえて、俺が魔力を回転させる。


これは……。


『少々コントロールに難儀するが、これほど強固になるとは……』


若造!


【はい!】


障壁を何度も展開して、魔力の渦にのみ込まれない様に抵抗する。


体が動くようになり、何とか脱出できた。


助かった~……。


(それでいい。何も言わなくても、魔力の流れに合わせる事が出来るとは思わなかったが)


師匠!


何処です?


(多分、かなり近くの世界に居る。お前の魔力が見えたからコンタクトをとったが、正解だったな)


はい! 助かりました。


【ありがとうございます】


『すみません』


(ああ。今、この世界から俺は動けないが……)


何してるんだろう?


(敵と戦っている)


敵?


(お前が今戦っている奴らだ)


世界の汚れ……ですか?


(ああ。悪魔、汚れ、ドミネーター……呼び方は様々だが、世界を破壊しようとする力だ)


やっぱり、師匠は知ってたんだ。


敵がいる……。


行く世界、行く世界……滅びかけてるのは、異常だ。


まあ、俺が持ち前の不幸で、そう言う世界に行きやすいのもあるだろうけど。


(元の世界に誘導してやる)


師匠……。


いえ! 遠慮させていただきます。


(お前……)


俺も、その敵と戦います。


(人間のお前には、荷が勝ち過ぎる。死ぬ可能性が……)


それは、どうでもいいんです。


俺も、戦います!


(馬鹿が……。また、何かを背負ったな?)


何時もの事ですよ。


俺は、こういう生き方しか出来ないようです。


(しかし、お前の世界で記憶は……)


なにより、このまま世界を壊され続ければ、人ごとじゃない。


何を言われても、戦います!


(そうか……。ならば、悪意をたどれ)


悪意?


(奴らは、別の世界から入り込む異物だ。巧妙に、人の心のすき間に入り込み、自分達が自由に活動する為に動く)


なるほど……。


悪だくみしている奴等を、重点的に探るって事ですね?


(ああ。それが、奴等にたどり着く近道だ)


了解です!


(マスター!)


(すまないが、こっちも……)


はい、御武運を。


そこで、師匠とのリンクが切れた。


きっと……。


【私たちでは太刀打ちできないほどの敵と、戦っておられるのでしょうね】


『そうじゃな』


次に会ったら、もっと鍛えて貰おう……。


今の俺なら以前の俺より、いろいろ覚えられるはずだ。


【まあ、基本は大事ですし、あの方からなら成果は期待できますしね】


ああ……。


師匠の足元になんて……。


もう、甘えていられない。


師匠に追いつくんだ。


『うむ』


ちょっと壮大で夢みたいな、目標だけどな……。


【そうですね……】


でも……。


もう、諦めるなんてごめんなんでな!


****


それから三日ほど、狭間を漂った。


ごぼっ!?


「ごぼぼぼっ!」


呼吸!


あの! えっ!?


はぁ!?


ごぼぼ!


【おちついて下さい!】


水!?


水の中!?


ヤバい!


いきなり水中かよ!


海?


『いや! 真水じゃ!』


真っ暗! 夜!?


「がぼぼぼっ!」


てか! 死ぬ!


こんな死にかた、やだ!


ちょ!


何で水面に、ゴムみたいな蓋が!?


空気!


ヤバい! ヤバい! ヤバい!


うお! まぶしい!


真っ暗な水中でもがいていた俺に、光が差し込んできた。


周囲のゴムを裂いたせいで、俺を包んでいた水がバシャリと周囲へ広がる。


「ごぼっ! ごほっ! ごほっ! ごほっ! おえぇ……。はぁはぁはぁ……」


し……死ぬかと思った。


うん?


褐色の肌をした、バンダナ+眼帯女が何かを言っている。


『言葉は、全く理解できんな』


えっと……。


念話を繋ごう!


「あんた! 聞いてるの?」


よし……。


「どうやって入ったのよ? 運送用の三百リットルパックから出てくるなんて……」


後ろを向くと、自分が入ったであろう、ゴムっぽい袋が水浸しになっていた。


「これって、真空パックなのよ? 穴も開いてないし」


実は、いきなりその中に放り出されました。


「分かった! 最初から、この中に隠れてて、空気ボンベが壊れたのね!」


空気ボンベ?


「でも、こんな間抜けな奴初めて……」


あれ?


これって……。


「こんな間抜けた、密航者はね!」


いきなりピンチかよ……。


この世界の事も分かってないのに……。


勘弁してくれよ。


も~……。


やってらんね~……。

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