表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/100

花粉症再び



(別の日、午前10時すぎ。所長が電話応対中。事務所は静か)


所長「あ〜はいはい、大丈夫大丈夫。うちでちゃんと見てるから、安心してよ〜」


(所長の鼻が、また…ピクッ…ムズムズし始める)


森(机の向こうからチラッと見る)「……うわ、始まったかも」


栄田「またですか……?まさか、またくしゃみ……?」


椎名(手を止めて)「今、電話中でしょ!? さすがに、我慢してくれますよね…?」


所長「ええ〜そうそう、そちらの控除証明……あ”あっ……っぐ……」


(所長、鼻を押さえて耐えるが、耐えきれず)


所長「ハーーーーーーックショーーーーーーイ!!!!」


(ビッシャアアア!!!)


(受話器、直撃)


森「うわあああああ!!やったぁぁぁあ!!!」


栄田「やりましたよ! 完全に受話器にいった!!今、飛んだって音したもん!」


椎名「受話器で爆発音とか聞いたことないですよ!? なにあの破壊力!」


所長(拭きもせず、鼻をズビズビ鳴らしながら)「あーごめんごめん。くしゃみ出るのは仕方ないからな」


森「拭いてくださいってば!!!」


所長「まぁでもな、俺の声ってのは“腹から出してナンボ”なんだよ。電話越しでもパワー伝わったろ」


栄田「伝わったの、“腹”じゃなくて“鼻”からなんですけど!!」


椎名「てか、“飛沫で熱意を伝える”とかやめてくださいよマジで!!」


所長(腕組みしてドヤ顔)「昔の部下なんか、俺のくしゃみ聞いて“よっしゃ今月も頑張ろう”って言ってたんだぞ」


森「いやもうそれ、洗脳されてますって!!」


栄田「くしゃみでモチベーション上がる人、今どきいないです!!」


椎名(電話機にスプレーしながら)「てかもうこれ“伝染性やる気”でしょ。被害者の会つくりますよ」


所長「はっはっは。ま、春だからな。みんな花粉に負けんなよ〜」


全員「一番負けてるの、所長ですよ!!!!!」


(電話機がビニール袋に包まれて“立入禁止”のメモが貼られる午後――)

春の風物詩、所長のくしゃみ。


飛ぶのは花粉だけじゃない。

受話器、職員の我慢も飛んでいく。


でも今日も、事務所は笑いとツッコミでまわってる。

――たぶん、ね

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ