懇親会、行ってませんけど?
(朝の事務所。所長がやたらと爽やかに入ってくる)
所長「おはようっ!いや〜、昨日は飲んだ飲んだ!懇親会、最高だったよ〜!」
(誰も聞いてないが、おかまいなし)
所長「あそこのホテル、料理がレベル違うんだよ。前菜からデザートまで、全部うまい!特にローストビーフ!舌が喜んでた!」
(所長のテンションに誰もついていけず)
栄田(パソコンを見たまま)「…ローストビーフ、いいですねぇ」
所長「しかもアルコール、飲み放題!ビールもワインも日本酒も、ぜーんぶ飲み放題!」
森「そこ、2回言いましたね」
所長「いや〜、楽しくてさ〜!旧知の仲間たちと、もう盛り上がっちゃって!昔話に花が咲いちゃってさ!」
椎名(低い声で栄田に)「今、ここで花咲かせられてもな…」
栄田「ていうか、これって“昨日のオレ自慢”コーナー?」
森「我々、聞き役にすら指名されてないですからね」
(所長、満足げに大きく頷き、自席へ)
所長「よし!じゃ、今日も気合い入れて頑張ろうか!」
(職員たち、しばし沈黙)
椎名「……で、業務連絡は?」
栄田「昨日のディナー実況で、朝の時間が終わった…」
森「懇親会って、懇親してない人たちにも報告必要でした?」
(3人、無言でため息)
懇親会の翌朝、なぜか一番テンションが高いのは所長だけ。
職員たちはいつも通りのデスクワーク。
この温度差、もはや風物詩です。