カレー曜日(それ、商品名です)
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税理士事務所を舞台にした、ちょっとズレた所長と職員たちのゆる〜い日常コメディです。
息抜きに、スパイス多めなひとときをお楽しみください。
※所長の発言の9割は事実に基づいておりません
朝8時50分。
税理士事務所の駐車場に、どこかスパイシーな香りが漂っていた。
椎名「……なんか、カレーっぽい匂いしません?」
森「え、するする。ていうか、バターチキン系……?」
そこへ、所長のプリウスがガタンと音を立てて到着。
ドアが開いた瞬間、もわっと広がるスパイスの香りに、二人は自然と数歩下がった。
所長「事件だ……俺の車が、インドになった」
椎名「またですか」
森「助手席、黄色いですよ?てか、シートがパステルターメリック……」
所長「昨夜の渾身のカレーをな、タッパーに入れて持ってきたんだ。で、カーブで……斜めになって、そのまま、ズザーーーーッと」
椎名「何回目っすか」
森「もう助手席じゃなくて“給食室”ですね」
所長「しかも、朝のラジオで“カレー曜日”って単語が聞こえた瞬間、俺は悟ったね。……これは運命だって」
椎名「所長、それレトルトの名前ですよ」
所長「え?」
森「テレビCMでもやってます。“カレー曜日、今夜も一緒に”ってやつ」
所長「じゃあ……俺の人生、レトルトだったのか……」
(静まり返る駐車場)
所長(遠くを見る目で)
「中身は熱いのに、外から見えないタイプだったんだ、俺……」
「だから、この……燃えたぎった情熱が、誰にも伝わらない」
「……湯気は、心の中にしか立たないんだよ」
(沈黙)
椎名「……あの、栄田さん、換気“強”にしといてください」
森「なんか、スパイスより所長の言葉がこもってて重いっす……」
—
(事務所内)
換気扇の音がうなりを上げる中、栄田さんがボソッとひとこと。
栄田「今日も平和ですね……たぶん」