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なんで私が追放なのよ!はぁ。もういいわ。私は助けを求めてきた剣士様と、私を守ってくれる精霊たちと一緒に行くから、勇者様 あなたはどうぞご自由に。  作者: 蒼井星空
第1章 なんで私が追放なのよ!

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第22話 大精霊たちとの契約

side 精霊術師エメリア

 

 アホ勇者は国王陛下による謹慎の命令を無視して副騎士団長とスーメリア、ロヴィニエルとレーテというメンバーと共に出て行ったそうです。

 そして音信不通になりました。

 まったくもってアホですわね……。


 私はギルドカードでレオに連絡をしておきました。

 レオの村の人や、ロデリグ大陸の神殿の方々がイライラして爆発寸前のアホ勇者によって被害を受けるようなことがあってはいけません。


 レオからの連絡では、アホ勇者はラオベルグラッドの守り神であった木の精霊様の好意で設置された転移の魔道具によって木の精霊様がいた広場まで飛び、そこから無謀にも攻略を開始したそうです。その先は平原になっているとのことでしたが、その平原に足を踏み入れ、その後連絡が取れなくなったそうです。

 

 木の精霊様から、今は行くなと止められたレオは私に全て教えてくれました。

 どうやらヤバい相手が平原にいるようです。

 もし行くなら光の精霊ルクシオン様や、ワイトキングなど、強力な精霊たちを連れてくるようにと木の精霊様がおっしゃったとのこと。


 まだ、あの大陸はごくごく一部しか闇の魔力から解放していないのですが、それなのにそんなに強い魔族が出てくるのでしょうか?

 もちろん、人間と魔族の支配方法は違いますから、なにか重要なものがその平原にあるのかもしれませんが……。


 私は木の精霊様に答えるため、全力で行くことを決めました。

 夜ではありますが、自室ですし周囲を気にせず精霊様を呼びます。


 

「大精霊モルドゥカ様。お手伝いいただけますでしょうか?」


 そう、全力です。


『もちろんである、我が可愛い娘よ』


 そして大きな猫のような精霊にまとわりつかれています。もふもふです。心地よい毛皮です。暖かいです。

 モルドゥカ様は子供のような可愛いお声で、お茶目な性格なのですが、なぜか言葉遣いだけが偉そうでギャップが可愛い精霊様です。テンションが上がるとそのまま幼児化なさいますが……。


 実はモルドゥカ様はいつでも移動可能です。移動すると周囲の精霊たちが困ってしまうのであまりお願いしませんが、本人はお願いしたら大抵ノリノリでついてきてくれます。周囲の精霊たちには謝罪し、光の精霊ルクシオン様を置いてくることで納得してもらいました。


『エメリア! こら! なぜ私を置いていくのだ!? おいっ!?』

 なにかを叫ばれていましたが、モルドゥカ様の周囲の精霊に連れていかれました。


 そして……



「モルドゥカ様、もし可能なら強力かつ私がお願いできる精霊様はいらっしゃいますでしょうか? どうやら相当に強い敵がいるようなのですが」


『ふむ。エメリアは相変わらずいい匂いだし、撫で買いがある柔らかさだね~』


「モルドゥカ様?」


 あまり真面目に動かないモルドゥカ様は、なぜか私の手触り? 肌ざわり? を気に入っているので、好きなように触らせています。たまにくすぐったいのですが、もしかしたらレオは嫉妬してしまうでしょうか?



『ロデリグ大陸だったよね? そう言えば昨晩強い力を感じたが……そうじゃの。連れて行くなら、あれがいいの。ちょっと待っておれ。お茶でも用意しておいて』


 そう言うとモルドゥカ様は私から離れてどこかへ行ってしまいました。

 私は言われた通りに紅茶を用意します。

 お菓子もあったほうがいいでしょうか?


 控えていた執事に頼んで紅茶とお茶菓子を用意してもらいました。量を聞かれたので、50人分ほどお願いしておきました。


 レオにはルクシオン様よりもさらに強力な精霊様をお願いするつもりですとメッセージを送っておきました。

 わざわざメッセージに『!?』なんて入れてきたレオが可愛いすぎてつい我慢できずに通話していたらモルドゥカ様が戻っていらっしゃいました。



『戻ったのだ~お茶ある?』

「準備できておりますわ」

 私は名残惜しいですがレオとの通信をきって、執事にお茶を用意してもらいます。モルドゥカ様はご機嫌な様子です。


『ふむ……よい香りであるな』

 すると見たこともない、眩しい精霊様がお茶を飲まれています。


『あっ、お菓子もあるよ?ねぇねぇ、食べていい???』

 その隣には幼児のような見た目で明るい表情の精霊様が現れます。モルドゥカ様のお友達でしょうか?


「もちろんです。皆様に準備したものですから」

 どのような精霊様なのかはわかりませんが、好意には好意を返すのが基本です。精霊様とは仲良くならなくてはならないのですから。

 

『やった~!お姉ちゃん大好き』

 案の定喜んでくれた精霊様は万歳しながらお菓子を召し上がられます。


 私の魔力を気に入ってもらう必要があるはずなので、周囲に放ちます。


『ふむ……なかなかに魅力的な魔力だ』


 その声と共にまた新しい精霊様が現れ、私の魔力を食べています。



『みんな気に入ったようだの。よかったの、エメリア』


 そしてモルドゥカ様がまとわりついて……いえ、これは私を抱き枕にするつもりですね。もちろん抵抗はしません。むしろ気持ちいい。



『自己紹介くらいしたほうがよいのではないかの?』

 モルドゥカ様はひとしきり私を堪能された後で、連れて来られた精霊様達にそう促してくれました。


『ふむ。旨いお茶だった。礼を言おう。我はヴェルディアだ』

『お姉ちゃん、お菓子をたくさんありがとう。僕はファムトだよ』

『質の良い魔力だった。今後も食わせてくれるなら力になろう。私はグラニテだ』


 予想以上でしたわ。

 でも、ありがたいのです。


「えぇと、火と地の大精霊であるモルドゥカ様が連れて来てくださったのは、光と木の大精霊ヴェルディア様と、闇と風の大精霊ファムト様と、地と冥の大精霊グラニテ様ということでしょうか?」

 世界でこの部屋以上に強力な精霊様が集結している場所はないと断言できますわね。


 私はここに来てくださった精霊様方に感謝を示すために跪きました。


『エメリア!? 大丈夫だよ』

『そうだとも。そのようなことをする必要はない』

『そうだよ。お姉ちゃん。立って』

『いや、むしろその椅子に座ろうではないか』

 口々に言い募る大精霊様達。


 執事は……なんと4つの椅子を引いていますね。この場でも忠実な仕事っぷり……さすがですわ。



「皆さまありがとうございます。ここに来てくださったということは、私と契約いただけるということでしょうか?」

 私は念のため確認します。魔力保有量にはまだまだ余裕があるので、あとは皆様の条件次第でしょうか。


『問題ないよね?』

『すでに契約をしたが問題ない』

『僕も僕も~』

『魔力を頂いたので私も契約済みだな』

「えっ?」

 なんとすでに契約済みでした……。なんとお優しい精霊様方でしょうか。


『というかエメリア、魔力増えたよね? 前より良い匂いだし』

 モルドゥカ様が私の頭をクンクンしていますが、さすがにそれは恥ずかしいのですが……。


「ロデリグ大陸で活動している間にレベルは上がっていると思いますが……そのせいでしょうか?」

 あまり全力で戦う必要がなかったので意識していませんでしたが、ロデリグ大陸では大量の魔物が襲ってきますし、ロードウルフやプラチナトレントのような強力な魔物も倒しているので、レベルは相当上がったはずです。見てみたら、ルーディア大陸解放時に76だった私のレベルはなんと148……。魔力は倍以上になっています。


 おかげで皆様と契約できて、私は嬉しいです。

 レオ、待っていてくださいね♡

読んでいただいてありがとうございます!


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