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重み

 人間はそれぞれ異なる重みを感じて生きている。

 私は他者を理解しようと努めてきたが、その重みに触れようとはしてこなかった。

 その他者の表面的特徴、行動の傾向、理念、思考の経路、趣味や癖、そういったものについてはそれなりに深い理解がでてきると思う。様々な人間の奇妙な行動とその結果に対して、それぞれの人間の特性や特徴に応じて、ある程度その道筋を予測できるし、その原因も特定できる。

 でもそれは「その人間に対処する」ために必要な知識であって「その人間に寄り添う」ことや「その人間の身になる」ことの役に立つとは限らない。

 私はその人間の重みを知らない。何を信念にしているか、何を重視しているかは知っている。でも、その人間の、現実感覚、剥がすことのできない欠陥、欠点、複合感情のその肉体との相互反応について、私は軽視してきた。

 知らなかった、と言ってもいい。


 私の人生には私の重みがあるが、それは人にはわからないし、わからないものだと諦めてきた。別にそれはいい。だが、想像すること、想像させることはできる。

 重み。たとえば、外出先で傘を忘れた時。雨に打たれたときに、体と心がどう反応するか。

 別にそこで、コンビニで傘を買うとか、それとも走って帰るとか、そういう手段や傾向については、なんとなくわかる。人それぞれ違うのは当然、どういう人がどの行動に出るか、どう考えるかは知っている。

 でも、その雨に打たれたときの感触、靴下が濡れること、濡れてはいけない荷物があったとき、それをどう守るか。あぁ、そういう感覚。重み。たとえば、そういう重み。

 好きな人とのデートでの緊張。メニューを開いた時、自分の思考の配分がどうなるか。好物。気分。相手からの印象。あらゆる感覚、感情の、複雑で、息苦しささえある、選択の連続。

 つまり、そういう感覚の強弱と濃淡。重みは誰しもあるが、その強さも色もメカニズムも違う。

 私はもっと重みについて知らなくてはならない。頭だけでなく、感覚で。

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