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戦場

 逃げることが悪いことになるのは戦場においてだ。

 動物たちの中で、逃げることが悪いことになるにも同様だ。子を捨てて逃げる親は、おそらく動物たちの間でも軽蔑の対象になるのではなかろうか。

 もっとも昆虫たちの事情は異なるだろうが。


 この世は戦場であろうか。おそらく戦場である。逃げ出すものはそれだけで軽蔑される。それゆえ恥とされる。

 それ自体を否定したって仕方なかろう。現実にそぐわなくなってしまうのだから。

 逃げ出した人間は、どうにかして逃げ出したことを正当化しようとする。必死に。恥の上塗りと見なされることがほとんどだが、その後の戦いで勝利すれば話は変わってきて、その逃走は戦略的撤退、あるいは出家と名前を変え、人々に教訓を与える。

 では勝たなかったら? 忘れ去られるだけ。戦わなかったら? 勝たなかった場合と同じ。

 勝者は賞賛される。敗者は、短い間のみ苦渋を味わう。

 意味があるか? それに。


 戦場で意味を問うものは狂人として扱われる。だが平時において、戦場はそれだけで狂気と見なされる側面もある。

 経済という場の戦場において、金銭的な価値や、働くことの意味を考えることはそれだけで狂気の沙汰である。だから、それについて正しく考え、語るには、そこからいったん離れる必要がある。

 それができるのは、もはや戦う必要のないものたちか、戦うことを拒否したものだけだ。つまるところ、もっとも成功したものたちと、もっとも逃げ続けた者たちだけが、この世のメインゲームのルールや構造について疑問符をつけることができるのだ。

 その中間のものたち、つまるところプレイヤーたちの話は、あまり聞く必要がない。きっとそのことは、彼ら自身が一番わかっている。彼らは、仲間たちのそれについての話を一番疎んでいるのだから。


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