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猫の哲学者
狂気を一通り通り過ぎて
間違ったこともあえて言ってみた
生きることは難しくて
生きる意味は見つかんなくて
笑っちゃうようなハンディキャップ
別に誰が悪いわけじゃないけど
やっぱり生きることは難しいよなって
神妙な顔で言ったら笑われたんだ
間違っているのは僕の人生
成功も失敗もない だって挑まなかったから
価値のない人生 意味のない人生
挑まないことそれ自体が失敗だったって
みんなそう言ってる
挑んで失敗した人を慰めるために
挑まないことにした人を土の下に埋めたんだ
後悔なんてないけれど
後悔したことにされてる
尊厳なんてとうのむかしに捨ててしまったし
猫は優しい
私が乞食でもどこかの王様でも
餌をあげたら変わらず懐いてくれる
餌をあげなかったら近寄っても来ない
猫は平等だ
もし猫に哲学者がいたらきっとこういう
人間の価値は餌をやる能力によって決定される、と




