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八月が終わった
八月が終わった
それに何の意味があるか
僕にはいつもわからない
毎年毎年
過ぎていく時間に気がついて
何かが失われたような気がして
でも変わらずに日々の生活を続けていく
八月が終わった
やるべきことはやっている
それなのに
小さな焦燥感が胸を締め付ける
暑さには慣れきったのに
心の痛みはいつまでも変わらない
八月が終わった
この夏にしか会えない人がいたかもしれない
どれだけ多くの機会を僕は逃したのだろう
この先も変わらないのに
なぜ八月がひとつの明確な区切りに思えてしまうのか
八月が過ぎ去って
僕らはその日々に思いを馳せながら
その延長線上を変わらず歩く
すべての計画が頓挫した代わりに
すべてのタスクを完了することができた
それぞれが偶然によってそうなったのだけれど
自らの選択であったような気がしなくもない