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死にたい

 自己愛が生み出した物語

 退屈したなら否定しろ

 自分が今大切にしているものを

 永遠にしてしまうな


 いつかどうでもよくなるものを

 僕らはいつもおいかけている

 生み出すこともそのひとつ

 命でさえも

 心でさえも

 大した価値なんてないのだから

 忘れてしまうことを怖がらないで


 空虚な言葉を何度も繰り返す

 何もかもがいまさらで

 心のありかたも変わらなくて

 ここが終点だって魂が語るなら

 それを否定するのは不自然なことなのだろう


 死にたい

 それは忘れたいということ


 苦しくはないんだ

 ただ死にたいと思った


 死にたいと思うことを

 人は「心が弱って病んだ状態」と呼ぶけれど

 彼らの理屈は不完全で

 結局何も説明していない


 ただ僕は正常に健康に

 死にたいと思うんだ

 それの何が間違っているというのだろう

 人はいつか死ぬ

 腹が空いたり眠くなったりするのと同じように

 僕らは自然とそちらの方に向かう

 それを欲望することのどこが不自然で病的というのだろう


 たとえば暗い夜の底で

 雨がコンクリートを叩く音だけが響く交差点の中心で

 不自然に建てられた丸くて太い棒の柱に括り付けられて

 心が雨に流されて土に還っていくんだ


 たとえばどこまでも続く砂漠の砂の中

 少し濡れた地面に埋まって

 このまま少しずつ乾いていく

 生きていく中で取り込んできた不純物はすべて蒸発して

 幾億の時を経て皮も骨も残らずすべてが塵になる


 いつかはみんな死んでしまうんだ

 最高にかわいいあの子も

 最低な性格のアイツも

 僕が大嫌いな僕自身も

 僕が愛してやまない僕自身も

 みんな死んでしまうんだ

 それがどれだけ素晴らしいことか

 あと何回かみしめることができるだろうか?



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