風の精霊
むかしむかしあるところに、二人のおじいさんが住んでいました。
ある日、おじいさんが山を登っていると、足をすべらせて転んでしまいます。
すると、風の精霊が現れて、おじいさんに二つの靴を見せました。
「あなたは、このままだと谷まで転がり落ちてしまいます。
落ちない靴と、空飛ぶ靴、どちらがほしいですか?」
おじいさんは、谷に落ちたら大変だと、落ちない靴をもらいました。
おじいさんは、谷まで転がってしまいましたが、靴のおかげで、麓まで帰ることができました。
帰ってきたおじいさんは、風の精霊に祀ろうと、もう一人のおじいさんに、山のできごとを伝えました。
しかし、欲張りなおじいさんは、反対しました。
「本当に優しい精霊なら、自分にも何かくれるはずだ!」
そういって、欲張りなおじいさんは、森ではなく山へ向かいました。
あまり山に登らないおじいさんは、夜の暗い足元が見えず、転んでしまいます。
すると、人影が現れて、おじいさんに二つの靴を見せました。
「欲張りなじいさん。
おまえは、このままだと谷まで真っ逆さまだ……です。
転んでもへいきな靴と、谷のうえまで飛べる靴、どちらが欲しい?」
「と、飛べる靴だ!」
間一髪、おじいさんは谷におちても、靴のおかげで、空を飛べました。
驚いたおじいさんは喜んで、日が明けるまで飛び続けました。
日が昇ると、見えてきた雲に、おじいさんは近づきたくなりました。
「邪神に憑かれた悪霊めっ!」
天使さまは、空に近づく不届きものを頭を撃ち落としました。
こうして、森で邪神に憑かれ、夜道を歩き、天に近づく悪い人はいなくなったのです。
それでも、悪霊ですから、泉や雀のそば、桜の山など、いろんな場所に現れるでしょう。
ですから、悪霊にならないよう、ものをもらっても、欲張ってはいけないのです。
めでたしめでたし。




