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case飯田敏夫.1

飯田敏夫視点

 2022年10月。夏が過ぎそろそろ寒くなってきたなと感じる日。そんなだれもが、もうすぐ冬がやってきて年が明けるなぁと漠然と感じる日。それは突然やってきた。


 飯田敏雄(いいだ としお)は大学の友達である下泉樹(しもいずみ たつき)と3連休を利用して白山(はくさん)市に訪れていた。日本三大霊山の一つにも数えられており、古くから信仰のあった山として有名だ。富士山にはいったことがあるから次はこっちにいってみたい、と樹に誘われた形だ。俺も登山は多少経験しているので了承した。そんな白山には日帰りコースを予定しており、そのあとは美味しいものでも食べて東京に帰ろう、などと相談していた。


 時刻は9時。いざ白山。と意気込みながら登ろうとしていた俺は体に異変を感じた。それはかなり短い時間でありながらも、確かな違和感であった。横をみると樹も変な顔をしていた。


「樹。お前も変な感じしたのか?」


「ああ。同じタイミングなんて変なこともあるんだな」


と樹は笑うが、周りを見るとほかの登山客も変な顔をしていた。周囲の人たちもそんな異常に気が付きザワザワとしだした。


 違和感が生じてから約2分後、唐突なまぶしい光がその場の全員を襲った。「うおっ」っと声を漏らし、樹も「うへっ」と声を上げ顔を腕で隠した。


 光の奔流がしばらくして収まり、恐々と腕をのける。そこには緑か白かよくわからぬ色を帯びた白山の姿があった。


「これは...なんだ。現実...なのか?」


 非現実的な体験と光景に圧倒される俺に対して樹はかなり興奮していた。


「とし!すごいぞ!やばい、やばすぎ!ここは霊山でありながら霊場でもあるんだ。こんなありえないことだって起こりえる!」


 俺には理解できないが靈とか不思議パワーの好きな樹は、目の前の光景に納得がいっている様子だ。そんな会話をしていれば、周囲の人の声が聞えてきた。


「シャベッター見てみろよ!他の場所でも光る場所があったみたいだぜ。」


「まじかよ。ここだけじゃないんだな」


 写真を撮ったり、SNSに今の状況を投稿したりと興奮している周囲を見渡していると、登山口のある方向に透明な扉のようなものがあることに気が付いた。目を凝らしてみれば、全長3mほどはありそうだ。隣で写真を撮っていた樹の肩を叩き呼びかける。


「おい。あの辺見てくれ。なんかみえないか?」


「ん?なんだよ。おーーんと、あーなんかあるな。よくわからんし近くにいってみるか。」


 俺と樹は透明な扉のような場所に近付いて行った。近くに行くと、その扉はゆらゆらと揺れており白山から感じる光と同じ感覚を覚えた。同じ感覚を得たのだろう。樹も神妙な顔をしながら提案してきた。


「とし。せーのでさわらないか?」


 そんな提案に非現実的にがらもなくワクワクとしていた俺はうなずいた。


「よし。せーので触るぞ!せーーーの!」


 樹の掛け声に合わせて俺と樹は右腕を扉の方に突き出した。扉に手が触れた瞬間、二人は扉の方に体を引っ張られ、透明な扉の奥に埋まっていってしまった。


 そんな場面を見ていた周りは悲鳴や興奮の声を上げ、動画や写真を撮っていた人はSNSにその光景を載せるのであった。



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