俺と君の1つ目の願い2
校門を出た俺達は、そのまま電車に乗って隣駅のショッピングモールに向かってた。 電車に乗るまでは三結も急いでて説明してくれなかったが、電車に乗ってる間に1つ目の願いについて、説明してきてくれた。
「ふぅ~、どうにか間に合いそうだね♪」
「間に合いそうも何も、そもそもなんなんだよ?」
「えっとね、今から星児君は私と一緒に映画を見てもらいます」
「は? 映画? なんで?」
なんで、今日会ったばかりの俺と映画を見に行くってなるんだ? それこそ、一緒に居た……えっと……そう! 舞子って子と一緒に見に行けばよかったんじゃ?
俺は、そんな事を考えてたら、三結はムッとした顔で俺の方を見てきてた。
「なんで俺と? とか考えてるでしょ? そりゃ本当は舞子と見に行く予定だったんだよ? でも今日、舞子ったら急な用事で無理になっちゃって、流石に恋愛物を1人で見に行く勇気とか無かったんだよ。 公開日も今日までだったしね♪ そんな時に、さっきの出来事があって、ちょうどいいかなって思ったって訳♪」
「な、なるほどな……つまり一人で行くのが嫌だから、俺に付き添いを頼んだって事でいいんだな?」
なぜ俺の考えが三結にバレてたのかを、聞くのをやめて内容を確認する事にした。 それにしても、色々タイミング良すぎないか? 偶然今日公開の映画を見に行く約束してた、友達がドタキャンして、その代わりがすぐ見つかるって……考えすぎか……
「それで合ってるよ♪ だって周りはカップルとか友達同士の中1人なんだよ? 私JKだよ? それで、変な人に話しかけられて……そうなったら星児君も困るでしょ!?」
「いや、誰とも付き合ってな……」
「困るよね?」
俺の言葉を遮り、三結は圧をかけながら再確認してきた。
別に今日少し話しただけの仲なのにそんな圧をかけながら言わなくても……なんか凄く怖いんだけど……
「そうだな! 知り合ったばかりとはいえ、何かあったら俺は嫌だな!」
「……だよね♪ こんな可愛い子が変な人に捕まって、変な事されたら星児君困っちゃうよね♪」
俺が誤魔化すように言ったら、一瞬目を細めジッと見つめてきた三結は、嬉しそうな笑みを浮かべながら、上機嫌に話してた。
な……なんなんだよ一体。 もしかして今日の事、相当根に持ってるのか? 女性は根に持ちやすいって、隆司に聞いた事あるし……
「そ、それにしてもなんでそんなにギリギリで見に行くことになったんだ?」
「え? あ、あぁあれだよ、忙しくてなかなか予定が合わなかったんだよね……あはは」
俺が質問すると、三結はどこか誤魔化す感じに答えてきた。まぁ、これで1つ目の願いが終わるなら良いかと思い、それ以上は聞かなかった。
駅に着いた俺たちは、そのまま映画館へ向かった。映画館に着くと、三結は急いで上映時間を確認してた。戻ってきた三結は、残念そうに肩を落とし戻ってきた。
「星児君ごめん……見る予定だった時間すぎちゃってた……」
「いや、俺は気にしないけど……次の上映時間は何時なんだ?」
「次は……えっとね……」
はぁ……どうやら三結は次の時間を見てなかったらしく、俺に聞かれ必死に思い出そうとしてた。俺は三結を残し、黙ってスケジュール表を見に行った。なんだよ、30分後にやるじゃんか。
俺は三結の元に戻って教えることにした。
「30分後にやるけど、時間大丈夫なのか?」
「え、30分後!? ってそれ高画質の高いやつだよ……予算オーバーになっちゃう……」
三結は俺の言葉を聞いて、慌てて時間を確認してたが、どうやら当初の値段より、高くて画質が綺麗なヤツだったらしく、どうやら三結のお財布事情的に厳しいらしく、一瞬期待しただけに、余計にシュンと落ち込んでしまい、残念そうだった。なら、「このまま解散にするか?」 と聞こうとしたが、三結が余りにも落ち込んでる姿を見て、俺は胸がチクリとしてどうにかしてあげたくなった。
「まぁ、お願いだしな……俺が映画代だすよ」
「え? でも申し訳ないよ……」
「良いよこれぐらい。その代わり、ちゃんとお願い1つ消費だからな?」
「うん! ありがとう星児君!!」
俺はそれだけ言って、券売機でチケットを2枚買おうとした。
だが、いざ買おうとして席を選ぼうとした時、困った事になってしまった。……普通の席が埋まってる……
「な、なぁ弓宮さん。席がカップルシートしか空いてないんだけど……」
「それで良い! そっちの方が安くなるし、それにしよ!」
「いや、でもカップルじゃないだろ俺達」
「そんなの気にしてたらダメだよ!」
俺の疑問を他所に、三結はカップルシートを選択して会計画面まで進めた。 俺は、お金を入れ出てきたチケットを確認したら、はっきりとカップルシートと書かれてた。
三結はチケットが買えた事が嬉しかったらしく、凄く嬉しそうにニコニコしてた。……本当にコロコロ表情がよく変わるやなぁ……
「えへへ♪ ありがとう星児君。 代わりに飲み物とポップコーンは、私が払うから買いに行こ♪」
「そんなに引っ張らなくてもついて行くから」
俺はお礼を言ってきた三結に腕を引っ張られ、飲み物とかを買いに向かった。