俺と君の出会い4
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俺達が驚いてる事に、ビックリした三結は、何事かと俺達をキョロキョロと視線を泳がせ見つめてた。
「ちょ! 三結何してんの!?」
「お、おい星児コレ食べるのか? 食べちゃうのか!?」
舞子は三結に、隆司は俺に、それぞれ驚き詰め寄ってた。三結は、なぜ舞子がそんな事言うのかわかってないらしく、困惑してる様子だった。まぁ、わかってたらこんな事しないよな……
「おい! 聞いてるのかよ? 食べないなら俺が貰うぞ?」
「食べないとは言ってないだろ!? てか、なんで俺が責められてんだよ!」
「う、うっさい! お前だけは……お前だけはそんな事起きないと思ってたのに! この裏切り者めぇ~!」
隆司はすごく悔しそうに俺に言ってくるが、そもそも俺ですら状況が理解出来てないんだからな?
それよりも……一体どんな意図でこんな事したんだ?俺はそれが気になって、三結達の方へ耳を傾けた。
「ど、どうしたの舞子? なんか凄く怖いんだけど?」
「当たり前でしょ! なんでアイツにあげたの!?」
舞子がそう言うと、三結はポカーンとして、そのクスッと笑いながら口を開いた。
「ふふっ♪ もしかして舞子が怒ってるのって、食べたかったからかな?」
「な、なんでそうなるのよ!」
「だいたい、食べれなかったのは舞子がいけないんだよ? あんなに笑うんだもん。 皆が仲良くなるには、あの人が食べたら丸く収まるかなと思ったんだよ?」
「いやいや、違う火種投下してるからね!?」
そう言って舞子は、俺たちの方を指さした。その指に釣られるように三結もコチラを見てきて、俺と視線が合った。その瞬間何故が恥ずかしさを感じ、サッと視線を逸らした。
「えっと、何が火種なのかな?」
「コイツが、食べるか食べないかで、男二人で言い合ってたでしょ!」
「もう!コイツとかアイツじゃ失礼だよ? 自己紹介まだだったね♪ 私は、弓宮 三結でこの子が神楽 舞子で、2人とも2年生だよ♪ それで貴方達は?」
視線を逸らした俺は、三結からの問いかけに答えずにいたら、隆司がすごく嬉しそうに自己紹介を始めた。
「はい! はい! 俺は五刀隆司で、さっきから愛想悪いコイツが八剣星児。俺達も2年なんだよな、てかクラス一緒なんだけど気づいてなかったのか。それにしても、舞子ちゃんすっごく綺麗だよな? いや三結ちゃんも可愛いけどね。 そうだ、今度皆でどっか遊びに……っ痛っ!?」
「なにどさくさに紛れてナンパみたいな事やってんだよ? 二人を見てみろよ? 引いてんぞ?」
「え? あっ、あはは……ごめんごめん。 少しテンパってはしゃぎすぎたな」
「なんか意外な組み合わせね……」
そう言って舞子は、俺と隆司を見比べてた。
確かに、チャラ男感のある隆司と無愛想な俺だと、どうしても違和感があるのは仕方ないし、俺自身何故こうなってるのか理解していない。
「よく言われるんだけどさ、意外とかってその人の価値観じゃん? そんなの俺は気にしないし、星児も普段こんなんだけど、実はめっちゃ優しいし頼りになるんだぜ?」
そう言って俺の肩をポンと叩く隆司の手を軽く払った。
「どうせ、勉強見てもらえるからって事だろ?」
「そうやってすぐ拗ねてクールを装おうとするんだから♪」
「そんなつもり無いし! てか、やめろそんなオネェみたいな喋り方!」
俺と隆司がそんなやり取りをしてたら、小さな笑い声が聞こえた。
「ふふっ♪ 五刀君も八剣君も仲がいいんだね♪」
「ちょ、星児にその呼び方は……」
三結が笑いながら、俺の事を苗字で呼んだ事に、隆司は慌てて訂正しようとしてた。だが、それを遮るように、何かを察した舞子が、ニヤニヤしながら俺に話しかけてきた。
「ねぇ八剣君。 なんで苗字で呼ばれたくないのかな? 普通仲良くないと下の名前で呼ばず、八剣君だよね? あれかな? 八剣って珍しい苗字が嫌なのかな? ねぇねぇ教えてよ八剣君。 無視しないでよ八剣……」
「その名前で呼ぶな!」
「え? ちょ、ちょっとなに本気でキレてんのよ!」
俺は思いっきり机を叩き立ち上がり大声で怒鳴ってしまった。
隆司は、ため息混じりに舞子の方を見てたが、突然怒鳴られた舞子は最初こそ驚いてた顔をしてたが、その顔をだんだん怒りに満ち激怒してた。 三結はビックリして瞳を大きく見開いて、ジッと俺の方を見ていた。
俺は、ハッと我に返り、そのままサーモンフライを口に入れ、残りのカレーを一気に食べ、席を立った。
トレーを戻しに行く前に、三結に一言だけ、「ありがとう。美味しかった」とだけ伝え、俺は隆司を置いて、教室へ戻った。
暫くして隆司が教室に戻ってきて、俺の肩に軽く手を置いて話しかけて来た。
「まぁ、さっきのはあの子も悪気があった訳じゃ無かったんだし、俺もそれとなくは、フォローしといたからさ」
「あぁ、すまなかった……」
「良いってことよ。 今度機会あれば、星児も謝っとけよ? それじゃ、授業始まるから席戻るわ」
「隆司本当にありがとな。今度機会あればそうするよ」
隆司は、俺の言葉を聞いて席に戻った。その後、三結と舞子も教室に戻ってきたが、舞子は一瞬俺の方を見て、申し訳なさそうな顔をしながら席に戻ってた。