俺と君の出会い2
ヒロイン登場します!
昼休みになり、俺と隆司は学食を食べに急いで食堂へ向かった。パンとかもあるが、それじゃ食べ盛りな高校生男子には物足りなかった。学食のメニューは4種類しかない。Aセット、Bセット、カレー、ラーメンだ。セットは両方とも日替わりで、Aが肉Bが魚がメインになる。ただそれぞれ数量が決まっており、普段から学食ばかり食べてる俺達からしたら、是が非でも注文したい人気メニューで、早く行かないと、売り切れてしまうのだ。
でも今日は運がいいらしく、俺と隆司が着いた時にはまだそんなに人が並んでなく、俺と隆司は注文できるだろうと、安心した。
「俺はやっぱAだな! 星児は何にするんだ?」
「俺は魚の気分だからBだな。」
俺と隆司はそんな事を話しながら、進んでく列を見ながら、自分達の順番を待った。しかし、あと少しで俺達の番って時に、少し前の方に並んでる女子生徒2人が、なかなか決まれずにいた。なにかトラブルでもあったのかと、俺と隆司は列の横から顔を出し、様子を伺った。1人は黒髪のショートヘアで、少し目がつり上がってるが、全体的に整った顔立ちで眼鏡をかけた女性。もう1人は、栗色のロングヘアをポニーテールにしていて、クリっとした目で、少し幼さが残る可愛らしい顔立ちの女性だった
「私はAにするけど決まった?」
「う~ん、お肉も良いよね……でも魚も気になるし……」
「ならシェアしようよ。その方がお互いお得だし」
「それもいいけど、私焼き魚あんまり好きじゃないから、出てきたら困るんだよね……」
どうやら眼鏡の方は決まってて、ポニーテールのほうが迷ってるみたいだ。後ろを見ると、俺らみたいに、チラチラと前の方を覗き込んでる生徒がチラホラ居た。俺はもう一度2人に視線を向けたが、未だに悩んで決める様子じゃなかった。
「チッ!」
「お、おい星児、後で揉めたくなければ……って、やめとけって」
俺は、周りを気にせず何時までも決めかねてる事に苛立ち、舌打ちをして、隆司の忠告も聞かず、2人の方へ歩いていった。
「おい、遅いんだよ。まだ決まんないのか?」
「ふぇ!? あっ!す、すみません! す、すぐ決めますから!」
「はぁ……なんで最初に表のメニュー見てないんだよ……まだ並んでる人いるんだから、さっさと決めてくれよ。時間の無駄だろ?」
俺が決まらないのかと聞いたら、三結って子は驚き、こちらを振り向いて慌てて謝り、また注文する方へ振り向き、アワアワしながら選ぼうとしてた。
俺はその慌てっぶりに、イラッときてしまい、つい言わなくてもいい文句が、自然と口からこぼれていた。
「ちょっと!いくら何でも、言い過ぎでしょ!確かに三結が遅いのが悪いけど、もう少し言い方ってのがあるんじゃない?」
それを聞いた。もう1人の方が、俺にキレてきたから思わずムッとしてしまった。
「言い方ってな、結局同じこと言うんだから、わかりやすく言った方が良いだろ?」
「何よそれ!だいたい、貴方に言われる筋合いないし、そんな言い方したら三結が傷つくでしょ!」
「傷付くも何も、事実だろ? こうしてる間にも時間が過ぎてってるだろ!友達なら、決めるの手伝ってやれよ!」
「本当になんなのアンタ! もういいわよ! 三結Bセット頼も。無理なら交換してあげるから」
「え? それじゃ舞子に悪いよ……」
「良いの♪ 何時までもウザイ奴が消えないから、それでいいから早く行こ」
「でも……」
三結は、舞子の提案を決めかね、黙り込んでしまった。なんなんだよ……めんどくさい女だな。
「……サーモンフライ」
「え?」
「だから、今日のBセットはサーモンフライだって言ったんだ」
「あ、ありがとうございます!」
「お礼とかいらないから、わかったんならさっさと注文してくれ」
俺は、それだけ言って、隆司の所に戻った。後ろからBセットって言う三結の声が聞こえ、やっと列が進むと安堵した。
「おっ、星児大丈夫だったか? なんか大声聞こえてきたけど?」
「少し揉めそうになったけど、特に問題はなかったかな」
「てか、なんでBセットの内容覚えてたんだ?」
「それは、俺が食べたかったから……」
「それだけか?」
「他になにか理由あるか?」
「もしAセットで悩んでたらどうするつもりだったんだ?」
「……しらん」
「ぷっ!あはは、なんだそれ!」
隆司は俺の話を聞いて笑いだした。ったく、俺がそんなにBセット食べたいのが面白いのかよ。俺は、笑ってる隆司を呆れ顔で見て、ため息をついた。
「そんな事より、前進んでるから行ってくれ」
「え?一気に進んだな。 さっさと行かないとBセットが食べたい星児に怒られるからな……ぷぷっ」
「おいコラ!それ以上笑うなら、進んでも怒るからな?」
そう言って睨みつけた俺に、隆司は「わりぃわりぃ」と笑いながら列を詰めた。俺もさっきまでの事もあり、少しため息をついて、歩いた。
それにしても、腹減ったな……