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5-4

 お互いを探り合うように視線を向けるディアスとアムドゥス。


 エミリアはディアスと肩のアムドゥスを交互に見ると、アーシュへと視線を向けて。


「けけけ、ここでアーくんの秘められた秘密を明かす時だよ! アーくん、ゴー!」


「えぇ?! そんな秘密ないよ!」


 アーシュはぶんぶんとかぶりを振った。


「えー。ホントは王族の血筋だとか、その紫色の目は伝説に出てくる妖精とか精霊の力が宿ってるー、とか」


「え、紫色の瞳ってなにかあるの? お母さんとおれ以外に見たことなかったけど、実は特別な力が……?」


「あたしは特別な目って魔人の赤く光るのしか知らないけどね」


「えー。……アムドゥスから視て、おれのステータスとかで変わってるなってとこあったりするの?」


 アーシュがたずねるとアムドゥスは首をかしげて。


「お前さんの他の人間との差異かぁ? 魔力無しなのと肉体の成長が平均より遅れてるくらいしか見当たらなかったがなぁ」


「けけけ、じゃあ好きな女の子のタイプとか暴露してみよー」


 エミリアが言うとアーシュは困ったように眉根を寄せる。


「うーん……? 明るくて面倒見がいい、年上のおねぇさん、とか?」


 アーシュが気恥ずかしそうに言うとエミリアは驚愕して。


「え、あたしじゃん」


「え」


「明るくて面倒見のいいおねぇさんって、あたし条件にぴったりじゃない。これはアーくんからの遠回しに告白! あたし困っちゃうなー」


「ち、違うよ! そもそもエミリアは年下でしょ」


 アーシュは頬を赤らめながら必死に否定する。


「え、おねぇさんって気質とか精神性の話じゃないの? まさかアーくん、わりとえっち…………」


「違うよー!」


 アーシュは耳まで真っ赤にしながら叫んだ。


「けけけけけ」


 その様子を見てエミリアがいたずらっぽく笑う。


「分かるぞ、アーシュ」


 ディアスは1人納得した様子でアーシュの肩にポンポンと手を置いた。


「ディアス兄ちゃんはわかってくれるよね!」


「ああ、もちろんだ」


 ディアスは大きくうなずく。


「ケケケ。おいクソガキ、念のため言っとくとブラザーは勘違いしてんぞ」


「そうなの」


「そうだぜぇ」


「勘違いもなにも、胸の大きさは大事な要素だろ」


 ディアスが真顔で言った。


「なぁ、アーシュ」


いでアーシュに同意を求める。


「え、あ……うん」

 

 アーシュが答えた。


「…………ケケ。んで嬢ちゃんが場を和ませてくれたとこで、今後についての話に戻ろうぜぇ」


 アムドゥスが言うとディアスはうなずいて。


「ひとまずはこの町の武器屋で剣の調達。それと周辺に手頃な魔宮がないかの聞き込みだ。C難度からB難度程度の魔宮をいくつか潜って装備を整えたらA難度の魔宮でさらに装備を整えたいところだな」


「あとはバッファーとかヒーラーができるパーティーもいい加減欲しいよね。今は前衛のあたしと前衛中衛を兼ねるディアスとアーくん。アムドゥスは編成の頭数に入れていいのか分かんないけど、サポートではないし」


 エミリアが言った。


「おれは魔力が無いからスペルアーツは使えないけど、ディアス兄ちゃんは魔人になって今は魔力があるし、エミリアとアムドゥスも習得すれば使えたりしないの?」


 アーシュがたずねるとディアスは首を左右に振って。


「いや、使えない。スペルアーツはそれを生み出した魔人を除いて人間にしか使えないようになっている」


「スペルアーツって魔人が作ったの!?」


 アーシュは驚きの声を漏らして。


「あと魔力があれば誰でも覚えて使えるものじゃないんだ」


「ああ。アーシュもスペルアーツを使う魔人や魔物を見たことないだろ? そして覚えるという表現がまず適切じゃない。あれは感染するものだ」


「感染?」


「スペルアーツはいわば知識を媒体にして伝染する、魔物だ」


「魔物?」


 アーシュが首をかしげる。


「そう。音節とその意味を知るだけでその者の記憶の中に巣食い、魔力を代価に事象として発現する魔物。ある意味では使い魔と関係性が近いな」


「それって、スペルアーツを使う人に問題はないの?」


「危惧はされているが現状はわからない。少なくとも今はそれによる健康被害だとかは報告されてはいないな」


「危ないから使うのをやめようとは思わなかったのかな」


「そう考えた奴はいただろうな。だがスペルアーツは戦闘において効果が高い。対峙する魔人や魔物は使えないものだからな。それまでは魔人と渡り合えるのは本当に一握りの人間だけだったが、スペルアーツの提供によって人類は大きく飛躍した。危険性に目をつむっても使わざるを得ないんだ」


「ケケケ、とにかくその辺のサポートには人間が必要だってことだなぁ」


 アムドゥスが言った。


「でも、あたし達に手を貸してくれる人っているかなぁ」


 エミリアはうーん、とうなって続ける。


「あたし達は魔人堕ち2人に魔物が1羽、人間1人のパーティーだからねぇ。けけけ」


 エミリアは困ったように笑うとディアスに視線を向けて。


「ディアスは昔の知り合いとかで思い当たる人いないの? 前のパーティーの人とかは?」

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