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お前は、ヒロインではなくビッチです!  作者: もっけさん
エルブンガルド魔法学園 中等部
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あれから三年、学園生活がスタートしました

 シルフに命じて不正に加担した連中を全員調べ上げさせ、それによって刑の重さによって裁く優先度の順番をつけた。

 裏付けまでしっかりと取ってくれているので、証人を呼んだりして刑が軽い者からサクサクと終わった。

 脅されたり、故意でなかったとしても、加担したことには変わりないので相応の罰は受けて貰う。

 精々期限付きの無償重労働をするくらいである。

 売られた者達への買い戻しや捜索、慰謝料などお金はかかる。

 私個人のお金は使う気はさらさらないので、教会から出して貰うつもりでいるが用意出来るとは到底思えない。

 その時は、有償で貸し付けするしかないだろう。

 私が死んでも取り立て出来るように手を回しておかないと、教会から暗殺者が送られてきそうだ。

「教会がこれでは、先が思いやられるわ。教会内でも刑部を設置しようかしら。不正を取り締まる第三者を組織に立てないと、私が居なくなったら直ぐにでも旧体制が息を吹き返してきそうだし。これは、法王に要相談な案件ね」

 書類を捌きながら、聖女と言う割には事務仕事ばかりしている気がする。

 法王と相談し、新体制を作り教会内部をドンドンとテコ入れして行った結果、約四年の月日が流れた。



 エルブンガルド魔法学園に入学が決定し、私も例に漏れず学園へ行くことになった。

 駄犬の躾と共に、未来の王太子ユスティーツィアを弟妹と同様に猫可愛がりしたさ。

 学園は中等部と高等部があり、中等部で一定の成績を収めた者が高等部への進学を許可される。

 それ以上勉強したい者には、院生という研究専門の学科があるが大学のようなものだ。

 学園は全寮制になっているのだが、聖女と次期王妃として最近は外交などもさせられるようになったので寮の規則に縛られると身動きが取れなくなると判断し、事前に自宅からの通学を許可して貰った。

 芋づる式に護衛の双子も、私と仲良く通学である。

 学園と目の鼻の先にある一軒家を買い取り、精霊魔法でガチガチに防犯して準備は万端だ。

 敷地が広いから、本校舎まで徒歩で行くと三十分はかかる。

 なので、急ごしらえではあるが自転車を作ったよ!

 ロードバイクなんて洒落たものではなく、The ママチャリ! を再現した。

 この三年で魔力操作の熟練度が上がり精霊達との意思疎通も容易くなったので、私のイメージしたものを興味を示した精霊達が作ってくれるので本当に助かっている。

 それを工房に持ち込んで、ママチャリを量産するという阿漕なことをしているが気にしない。

 商会で練習用の足漕ぎ自転車を用意して、感覚を掴み慣れた人から購入する形を取っている。

 人力なので魔石や魔力が要らないのが庶民の間で人気を博している。

 ただし、事故を起こす可能性もあるので保険の加入を勧めている。

 掛け捨ての保険だが、毎月銀貨一枚収めれば万が一事故を起こした時の賠償金を保証するというものだ。

 事故の内容にもよるが、保証の内容も多岐に渡り自転車保険部門も設置した。

 最初こそ登録者は居なかったが、とある大工が自転車を買い保険に加入した。

 職場との通勤に使うとの事で、通勤途中で不運にも飛び出してきた子供と接触事故を起こした。

 大工は、徐行運転していたこともあり子供の怪我は軽かったが自転車の前かごが凹み仕事道具は傷が付いて買い替える必要が出た。

 仕事道具が無くては仕事が出来なくなり干されてしまう。

 そんな経緯もあり、事前に入っていた保険で何とかならないかと相談窓口にきて相談した。

 事実確認の調査後に、保険が適用されるか判断すると一旦帰って貰ったが、その時は結構揉めたらしい。

 しかし、多くの目撃証言や精霊達からの裏も取れたので新品の自転車と交換・仕事道具の購入資金・相手の見舞金を出すと、瞬く間に保険の話が広がった。

 最初こそ大工は悪評を流していたが、保険が下りるとあっさりと手のひらを返したように保険の素晴らしさをアピールしていたのには苦笑いしか浮かばなかった。

 何はともあれ、保険という概念が民間では浸透しつつある。

 いずれは、保険という制度も導入していきたい。

 自転車に熱く語ってしまったが、大公令嬢とその従僕がママチャリを爆走させながら通学するのは異様な光景だっただろう。

 入学式は流石にママチャリは使わず馬車で移動した。

 祝辞は、首席入学した私がやりましたよ。

 アルベルトも中の上くらいの成績だったらしいが、実力主義の学園で権力は通じず私に負けて地団駄を踏んでいた。

 それでも彼にしては、よく頑張ったと褒めて良いと思ったので入学祝に最新のママチャリをプレゼントしてあげたら喜ばれた。

 奴曰く、月一恒例の城下へお忍びで出かける時に使うんだと。

 アルベルトには、自転車保険で一番高いプランに加入させておいた。

 毎月大銀貨一枚支払っているが、余程ママチャリが気に入ったのだろう。

 因みにアルベルトが死亡や怪我した場合の保険金受取人は私になっている。

 私も自転車保険を一番高いものに加入しているので、死亡または怪我した場合の受取人は私の可愛い天使たちの名前にしておいた。

 ママチャリが貴族間でもムーブになったら、ドレスも簡素化されて幅広い服が作れるかもしれないと、淡い期待を抱いている。

「待ってろよ、私の金蔓たち!」

 私は、拳を掲げお供を連れて学園の自転車置き場(無理を言って作って貰った)まで元気にママチャリを爆走させた。

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[一言] 3年なのか、4年なのか、どっちなんだ?
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