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お前は、ヒロインではなくビッチです!  作者: もっけさん
幼少期
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アルベルト主催のパーティー2

 天気も味方してくれたのか、本日は晴天なり。

 ガーデンパーティーには、好都合だ。

 パーティーバッグに必要な物が入っているか確認し、アルベルトを見る。

「殿下、そろそろ来賓客が集まっておりますわ。心の準備は出来まして?」

「ああ、大丈夫だ」

 若干声が上ずっているが、私がフォローすれば大丈夫かと思っていた時がありました。

 部屋を出た瞬間、アルベルトの雰囲気が変わり私をしっかりエスコートしている。

「アルベルト王子だわ」

「あの噂はガセだったのか?」

 アルベルトの美貌に見惚れる者と、事前にアルベルトの情報を得ていた者はギャップに戸惑いを隠せない様子でる。

「本日は、延期になっていた私のパーティーにお越し頂き嬉しく思う。ゆっくりと歓談し、楽しい時間を過ごして欲しい。それと隣にいる女性は、私の婚約者だ」

「お初にお目にかかります。リリアン・アングロサクソンとお申します。以後お見知りおきを」

 スカートの裾を軽く持ち上げ、カエルスクワットで会釈した。

 パチパチと拍手が起こり、私とアルベルトは挨拶に押し寄せてくる人を一人一人捌いた。

 私は、一歩後ろに下がりパーティーバッグに入れていたサンキューカードをアルベルトに手渡す。

 アルベルトは、招待客の名前と好みそうな話題に少しだけ触れて切り取ったカードを手渡している、

 半分のカードは私が、回収して名前と触れた話題を日本語で書いてカード入れに仕舞い直す。

 少し心配したが、アルベルトは磨けば光る優秀な子なのかもしれない。

 挨拶は終わり大人たちは大人たちだけで楽しめるようにと、商会で作った酒を何種類か試飲用と称して置かせて貰った。

 子供組は、少し離れた場所にある薔薇園のテラスで優雅にお茶会という名の情報戦争をしている真っただ中である。

 テーブルは円卓を用意させた。

 親睦を深めるのに、序列が出やすい四角テーブルを使うのは宜しくないと判断したからだ。

 アルベルトの右隣りが私、左隣はオブシディアン公爵家の長女リズベットが陣取っている。

 中立派のジャスパー辺境伯の息子スピネルとロナウド侯爵の息子カルセドニーはアルベルトと対角線上に座っており、改革派有力者のモルガナイト伯爵の息子カエサルとコナルド男爵の息子ルークは、アルベルトとスピネルから見て斜め前に座っていた。

 アルク伯爵の息子ロンギヌスは、リズベットの隣に座っている。

 財政を牛耳るオブシディアン家、現宰相を務めているジャスパー家、法務大臣を多く輩出してきたロナウド家、国軍の現大総帥の座に就いているアルク家、商人から成り上がり経済界隈で影響力の高いコルナルド家。

 この五家は、押さえておく必要があるだろう。

「そう言えば、スピネル様の領地では薔薇祭りがあるそうですよ」

「城でも薔薇園はありますが、ジャスパー領で栽培されている薔薇は品種改良されて美しく良い香りがするそうですね。アンジェリカ様は薔薇がお好きで、本日のパーティーの為にと態々ジャスパー領から取り寄せて頂いたものなのです。あれほど見事な薔薇はお目にかかったことがありません。薔薇の香油も有名だったと思いますが、何か返礼の品で良い物はありませんか?」

 アルベルトが必死に猫を被っているのが、手に取るように分かる。

 言葉遣いに関しては、バーバリー伯爵夫人にしこたま躾直されたので目に目る成果に思わずホロリと涙が零れそうだ。零さないけど。

「よくご存じですね。我が領地では主に麦を栽培しているのですが、薔薇の品種改良や香油はあまり知られてません。どこでお知りになられたのでしょうか?」

「リリアンが、ジャスパー領の薔薇は素晴らしいと常々褒めていたのを覚えていただけですよ」

 謙遜しつつ婚約者をヨイショ出来るようになるとは立派になって……ムカつく!

 入れ知恵したのは私だけど、散々扱き下ろしてきたアルベルトにヨイショされるとイラッとくるのよね。

「わたくしとの会話を覚えて下さって嬉しいですわ。ジャスパー領の薔薇も素晴らしいですが、ロナウド領には大きな図書館があるそうですよ。本はとても貴重なもので御座いますが、民達が読める様にと解放されているとか。わたくしも一度は、その図書館を訪れてみたいわ」

「そうですね。最近、私も弟が出来てから本に興味を持ち始めたのです。弟に絵本を読むのが日課になってまして、カルセドニー殿は何かおススメの絵本などありますか?」

 この流れで話を振ってくるとは思ってなかったのか、一瞬表情が崩れたが直ぐに営業スマイルで対応してきた。

「殿下も本にご興味があるとは嬉しいです。最近、リリスという作家が書く本は面白いのですが、『星の銀貨』という絵本は大変面白かったです」

 それ私が絵師に書かせた奴です。

 アルベルトもその本は読んでいるので、内容は知っている。

 手で口元を隠しながら、小声で便乗して同じ作家の別の本を勧めろと指示を出す。

「私もリリス氏の本を読んでいますが、確かにあの方の書かれる話はとても面白い。『蟻とキリギリス』という絵本も面白かったです」

「それは、読んだことのない本です」

 よし、食いついた!

 チラッとアルベルトが視線を寄こしてきたので小さく頷くと、アルベルトは何事もなかったように快く本の貸し出しを申し出ている。

「良ければお貸ししますよ」

「ありがとう御座います。是非、お願いします」

 これで中立派に関しては、まずまずの手ごたえだろう。

 ロンギヌスは最後で良いとして、保守派と改革派どちらを先に落とそうかと考えていたら、リズベットがアルベルトにしな垂れかかってきた。

「アルベルト様、私とお話して下さい♡ つまらない話ばかりで退屈ですわ。今日は、アルベルト様のためにドレスも新調してきましたの」

 リズベットは、全身が見える様に席を立ちその場でくるりと一回転してみせる。

 ふんだんにつけられたフリルが、センスの無さを強調しているように演出している。

 最近、女装が板についてきたせいか美に関してシビアな一面を持つようになった。

 扱き下ろすようなことは言わないでくれと念を送ってみたが駄目だった。

 アルベルトは、リズベットを上から下まで眺めて一言。

「リズベット嬢の赤い髪に、ラベンダー色のドレスは膨張色なので実際よりもふくよかに見えてしまいます。フリルが多いので、輪をかけてふくよかに見えますね。全体的にゴテゴテした印象のドレスなので、アクセサリーは小さな一粒石のペンダントで抑えた方が良かったと思います。靴もドレスに合わせた色合いの物を選ばれた方が宜しいかと……」

 アルベルトの歯に衣を着せぬ酷評に、リズベットは顔を真っ赤にして彼に言葉を遮り怒鳴った。

「何て失礼な方なの!! 女性のドレスについて何も知らない癖に! 不愉快ですわ。帰りますっ」

 そう吐き捨ててドスドスと音を立てて帰ってしまった。

 オロオロするアルベルトに対し、私はニッコリと笑みを浮かべた。

「殿下、あのような場合は遠回しに褒めるだけに留めておくものですよ。リズベット様は怒って帰られましたが、後で謝罪のお手紙をお出しすれば問題ありませんわ」

「そうか……。皆、空気を悪くして済まなかった。君、例のものを持ってきてくれるかい」

 配膳係のメイドにアルベルトが指示を出すと、待ってましたと言わんばかりに円卓に座った者達の前にプリンが置かれた。

「殿下、これは?」

「カエサル殿も初めてかな? プリンという食べ物だ。リリアンの生家にお邪魔した時に振舞って貰ってね。あまりにも美味しかったので、今日のパーティーの為に出せないか打診したのです」

「殿下が、皆様と美味しい物を共有されたいと願われたので特別にレシピをお教えしましたの」

 レシピ一つで大げさなと思うなかれ。

 一つのレシピで歴史が変わることだってあるのだ。

 大貴族のお抱え料理人のレシピを王族といえども教えることは普通はない。

 私は、製菓店まで営む気はなかったので気前よく教えた。

 勿論、別の形でお代は頂いたけどな!

「冷たい内に食べるのが、一番美味しいのです。召し上がって下さいませ」

 恐る恐る口に運んで食べる姿が、初めてプリンを出した時のアルベルトにそっくりだ。

 反応も上々で、リズベットの途中退場はそっちのけでプリンが話題を掻っ攫っていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 若干のぎこちなさはあるものの アルベルトの教育が間に合って良かったですね。 というか劇的に変わり過ぎて、どれがアルベルトのセリフなのか全然わかりません(笑) こりゃ王妃が第二王子の教育も、…
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