表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お前は、ヒロインではなくビッチです!  作者: もっけさん
幼少期
67/182

勉強を教えるのは大変です

 流石に三日連続で夕飯抜きとなると、アルベルトも観念したのか嫌々ながらも四則演算のやり方を頭を下げて教えを乞うてきた。

 して欲しいことや、欲しいものがあっても護衛達にぼったくられてしまっては直ぐにお金は底についてしまう。

 こども銀貨をもっと寄こせと言ってきたが、勿論却下に決まっている。

 あまりにしつこかったので、うっかりグーで殴ってしまった。

 この家にいる限り、アルベルトの要求は基本的に通らない。

 城に戻る許可も下りてないので、自分自身で待遇改善をするしかないのだ。

 やっとその事に気付き始め、私はソロバンを使った演算方法を教えた。

 最初は、足し算と引き算。

 億の桁まで出来るようになってから、掛け算と割り算へ移行した。

 一時間九九を間違わずに歌い続ければ、こども銅貨3枚を報酬として渡した。

 一から五までの九九は完璧に覚えたので、六から九までの九九を覚えさせるために一気に金額をこども銀貨1枚に増やしたら直ぐに覚えた。

 一週間もすれば、しっかり定着して九九で簡単な計算が出来るようになった。

 私の自作テスト問題の回答率も歴史と算数は徐々に上がってきている。

 とは言えいかんせん、それ以外は相変わらずの一桁だ。

「アルベルト様、少し息抜きにゲームをしませんか?」

「……どんな内容のものだ? 負けた時のデメリットは何だ?」

 私の事は相変わらず嫌いらしいが、お金の使い方を覚えのでお金の価値を理解したようだ。

 私から提示されるゲームで負ければ、必ずデメリットが付いてくるのでメリットとデメリットを考えるようになってきた。

「国コロというボードゲームです。まだ試作段階なので、王妃様も知りません。国を育てていくボードゲームですわ」

 王妃もやったことのない遊びということに、興味が引かれたらしい。

「フン、それならやってやらなくもない」

「では、まずはやりながら説明しますわ。自分の国を作ります。最初は、麦畑とパン屋しかありません。ランドマークカード4枚裏向きにして配置します。裏向きでシャッフルした施設カードの山札から、施設の種類が10種類になるまで中央に表向きに置きます。もし同じカードがでた場合は、同じカードの上に重ねて下さい。自分の手番が来たらダイスを振ります。出た目に一致した施設効果を受けて、施設購入かランドマークの建設をします。施設購入もランドマーク建設にもコストはかかりますわ。購入したカードは自分の街に並べて下さいませ。序盤はダイス一つだけ振りますが、ゲームが進みランドマークの『学園』を建てるとダイスを2個振れるようになります。ランドマークカードが四枚表向きになったプレイヤーの勝ちですわ」

 遊びながらアルベルトにルールを覚えさせる。

 このボードゲームの利点はルールが簡単なところ。

 国コロは、国を作るのに必要最低限の知識を伝えること。

 国土を広げるワクワク感やお金儲けの疑似体験が出来る遊びだ。

 運が絡むので、トランプのように不正は出来ない。

 小一時間ゲームで遊んでみたら、すっかり気に入ったようだ。

 放っておくとお金儲けに走るので、態と負けるのが面倒くさい。

 これが接待ゲームと言うのか。

「ゲームの時間は終わりです。次は、魔法の授業です」

「ずっと神言しんごん文字の書き取りばかりだろう。つまらん」

 アルベルトは魔力を吸収され続けているため、魔法を使うことが出来ない。

 魔法の原理や神言しんごんの意味を理解し、応用することでより豊かな生活を送れることを知ってもらわなければならない。

 アルベルトを有効活用するために、パッパラパーなお頭では困る。

「学園に入学して、落ちこぼれ王子と陰で言われたいんですか?」

「グッ……神言しんごんは難しいんだ」

 アメリカが世界一難しい言語に設定していたと何かの記事で見たことがある。

 それを考慮して母国語と日本語を比べると文法が違う。

 常用漢字が2136個もある。

 音読みと訓読みがある。

 必須語彙数が多すぎる。

 例えば英語における必須語彙数は約2700話に対し、日本語は約7000~10000語になる。

 これに読解力を加えれば難易度も上がる。

 言葉遊びや漢字の組み合わせなどで、どんどん語彙が無限増殖する鬼畜仕様。

 何より主語が略されて記述が曖昧過ぎる。

 そう考えると凶悪な言語だったわ。

 スミス先生は、よく日本語をマスターしたなと感心と同時に尊敬する。

 心が折れかけているアルベルトの為に、スッと本を取り出した。

「何だこれは?」

神言しんごんの教材ですわ」

 そう答えると、凄く嫌そうな顔になった。

 神言しんごんアレルギーでもあるのかって言うくらい嫌らしい。

「俺は、魔法も発動出来ているから問題ない」

「筆記テストで点数が取れるとお思いで? 確かに他に比べて出来る方ではありますが、学園に入ったら中の下でしてよ。そこで、まずは初級魔法の解説漫画を作ってみました。ストーリが進むと魔法の難易度も上がります。重要な台詞は神言しんごんで書かれていますので、頑張って調べて解いてみて下さい」

 アルベルトには漫画が有効と分かってからは、お抱えの画家や画家見習いに漫画を描かせている。

 前世で人気を博した漫画を片っ端から再現させている。

 絵のタッチやストーリは、概ね原作に沿っている…と思う。

「私は、仕事がありますの少し席を外しますわ。くれぐれも本に字を書きこまないようにして下さいませ。書き込んだり汚したら弁償させますからね」

 私は、護衛にアルベルトの監視を命じて部屋を退出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ