ウンディーネにダイエットを厳命した
取り合えず、ウンディーネをどうやって痩せさせるかだ。
正直、人間式のダイエット法って効くんだろうか?
「あのさ、ウンディーネ。まずは、その間食を抜くところから始めない?」
「はぁ? 私の生きがいを奪うっていうの!!」
「間食を抜くだけでも痩せると思うけど」
「思うだけで、痩せなかったらどうするのよ!! 思うじゃダメなのよ!」
何かカッコイイぽい事を主張しているが、単に食べるのを止めたくないという我儘である。
ダイエットしない奴の常套句だ。
「あんた、本気で痩せる気あんの?」
「……あるわよ。一応」
「一応じゃ困るのよ! あんたが、押しかけて来たせいで物凄く今困っているの。現在進行形で!!」
館がこの状態だと、色々と困る。
ノームの奇行が噂になったら、アングロサクソン家の恥に繋がる。
「後は、地道に運動か…」
「何で私がしなくちゃいけないの。もっと手軽で簡単に痩せる方法を考えなさいよ」
「ウンディーネ、痩せる気ないでしょう?」
「あ、あるわよ」
「努力もしないで痩せる方法があるなら私の方こそ知りたいわ」
それで財産を築けるもの。
若干イライラしながらウンディーネを睨んだ。
「それを探すのが、人間の役目で……ヒィッ」
「……このブタが、どの口が言っている」
私の我慢は、限界突破してしまった。
ウンディーネの頭を鷲掴みギリギリと手に力を籠める。
「痛い痛いぃ」
「苦労しないダイエットが確立していたら、世の中細身の者ばかりだ! 四の五の言わずに従え」
「分かった。分かったから!! お願い手を放してぇぇえ」
ウンディーネの懇願に、私は手を離すとボトッと足元に落ちた。
スンッとした顔でウンディーネを見下ろすとヒィッとか細い声で悲鳴を上げられた。
しかし、どうするかなぁ。
「ウンディーネも何かに擬態してくれない? そうしないと、色々と周囲に勘繰られたりするし、ノームが奇行を起こして処分されるとかになったら困るでしょう。一応、地龍の幼体を擬態したものだし」
「……仕方がないわ。擬態するわよ」
ウンディーネは、そういうと猫に擬態した。
「……なんて目つきの悪いデブ猫」
可愛くない!!
猫の姿でも、これほど可愛くない猫は見たことがない。
愛嬌のかけらもない。
「ちょっと! 擬態させておいて感想がそれ? 失礼じゃない!!」
「ガン飛ばす猫なんて可愛くない。その上デブでしょう。せめて愛嬌のあるデブ猫の方が百倍可愛いわ」
「デブデブ失礼よ!」
「本当の事なんだから、嫌ならダイエット成功させてから言いなさい」
私は、ウンディーネに対しダイエットが終わるまでは擬態した猫の姿で過ごすように厳命した。
間食については猛抗議が入ったので、ダイエットフードを与えることで何とか落ち着いた。
その日からウンディーネのダメっぷりを目の当たりにし、ダイエット成功へ導けるのかと頭を抱えたのだった。




