表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お前は、ヒロインではなくビッチです!  作者: もっけさん
幼少期
37/182

同郷の者とオタ話

 名前は、イグニスさん。

 まさか、アリスの雑貨屋の亭主がオトメンで同郷の者だとは思わなかった。

 ラフ画を描きながら、契約の話を進めつつ前世の話で盛り上がった。

「私の前世は女の子だったの。十七歳で死んだのよねぇ。身体も弱くて殆どがベッドの上だったわ。唯一の楽しみが本だったの。病室って精密機器がいっぱいでゲーム機とか持ち込めないから」

「そっか、頑張ったね。私は、過労死だったよ。いやー、中二病を拗らせまくって処女で、お独り様を爆走してたわ。男は、二次元のBLに限る」

「恋愛したいと思わなかったの?」

「いや、全然。仕事に忙殺されていたし、自分の時間を他人に奪われるのが嫌なのよね。恋愛は、見ている方が楽しいのよ。ああ、でも夢小説は好きだったかも」

「夢小説? どんなもの?」

「ほら、本を読んでるとキャラクターと疑似恋愛してみたくなるじゃない? その願望を叶えたのが、夢小説なのよ! 私の初恋は、鬼太郎だったわ。夢子ちゃんが羨ましかった」

 懐かしいなー。

 遠い目で、幼い自分を思い返すと腐る前兆は幼少からあったということだ。

「私は、りょう様よ! 毎回モッコリしてるけど、真剣な時はビシッとしててカッコイイの~」

「そうなんだ? その漫画、続編出てたよ」

「本当ですか!! 知らなかった……」

「私で良ければ教えるわよ! と言っても、連載中に死んだから途中までになるけど良い?」

「構いません! 是非、教えて下さい」

 漫画談議に花を咲かせるマッチョと幼女。

 はたから見たら異様な光景だろう。

 レースの手袋とドレスを頼んでいたら、カランカランとドアベルが鳴った。

「リリアン様、やっと見つけましたよ!」

「一番乗りは、アリーシャね」

「いきなり身体強化して護衛を撒かないで下さいよ」

 ゼーゼーと息を切らしているアリーシャに、私は鞄の中に入れていた水筒を取り出して渡した。

「取り合えず、これでも飲んで落ち着いて」

「……頂きます」

 水筒に口を付けてゴクゴクお茶を飲み干す姿が、何とも男らしい。

 一息ついた彼女は、空になった水筒を返して私にお小言を零している。

「リリアン様が私たちを撒いた後、ハチの巣を突いたような大騒ぎになったんですからね」

「ロイドの挑発に乗ってあげただけよ。それに、アリーシャ達なら私を見つけれると思ったからね」

「まあ、日頃の行いを間近で見てますからね」

 何か棘のある言い方だけど、気にしないでおこう。

 私の手元にあるラフ画を見て、アリーシャが首を傾げた。

「これは、新しいドレスですか? 幾何学的な模様ですが、そのような反物はありませんよ」

「ああ、これはレースというものよ。レース作家のイグニスさん。私と専属契約を結んだから、これでお洒落の幅が広がるわ」

 お店に飾ってあるレース作品を見せながらドヤ顔をする私に、アリーシャは感嘆しレースを眺めている。

「これは、綺麗ですね。確かにレースが加われば、ドレスの幅も広がりますね!」

「でしょう! 後、イグニスさんに弟子を取ってもらうの。うちで雇って量産するつもりよ。絹の染色も試験的に進めているから、それを融通して貰えば良い物が作れると思わない?」

「確かに。髪飾りにしても良いですね」

 マッチョなオトメンと私とアリーシャでレースのデザインに花を咲かせた。

 アリーシャがアリスの雑貨屋について三十分後にガリオンが到着し、その一時間後にロイドが到着した。

「リリアン様!! ここに居たんですね!」

「ロイド、遅かったわね。待ちくたびれて帰ろうかと思っていたところよ」

「護衛を撒いてどっかに行くのは止めて下さい!!」

「幼女に撒かれる無能な護衛」

 あれだけ大口叩いて自信満々にしていたのに、私に撒かれるなんてまだまだである。

 屋敷に戻ったら全員フリックとメアリーに扱かれるが良い。

「……そういう問題じゃありません」

「そういう問題よ。大口叩いていたのに、この為体。貴方が年齢の割に優秀なのは理解しているけど、曲がりなりにも主人の娘を侮るからこうなるのよ。貴方は、私を侮った。だから、簡単に見失ったの。アリーシャやガリオンたちの方が優秀ね」

「……」

 私は、ロイドの悔しい顔を見て留飲を下げた。

「じゃあ、イグニスさん。これ前金です。納品期日は1ヶ月後という事で。また、会いましょう」

 私は、契約書のみ持ってアリスの雑貨屋を後にした。

 私を挑発して撒かれたロイドは、再教育という名目でフリックにボコボコにされていた。

 故意に撒いた私もメアリーにお説教を食らい、再教育という名目で反省文を書かされた。

 小説風に書いたら、物凄く怒られたが出版する方向に何故か話が進んでしまいペンネーム『ルミナス』という名前で作家デビューした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ