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お前は、ヒロインではなくビッチです!  作者: もっけさん
幼少期

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26/207

弟妹のためにピンホールカメラを作ってみた

 私の引っ越しと共に、ノームも付いて来ていた。

 主従契約を結んでいるからどこに居ても主の所在と生存確認は出来るらしいが、奴曰く私の傍は退屈しないそうだ。

 主人である私の言葉など聞くことなく、堂々とベッドでゴロゴロしている。

 野生はどこいった?

「ノーム、ハウス」

「何言ってるんじゃお前?」

 チッ、英語なんて通じるわけないか。

 後ろ足でガリガリと耳をかきながらクワッとあくびをする姿はおバカなトカゲのようだ。

「そこは、私のベッドなんだけど。大体、あんたを連れてくるつもりはなかったのよ! 可愛い可愛い可愛い弟妹たちを守らせようと命令したのに!! 主の言うことを聞きなさいよ」

「どこに居ても土とわしは繋がっておるんじゃ。じゃから、どこに居ても分かるぞ」

「ズルいわよ。そのチートな能力! 私に分けてよ」

 可愛い弟妹と離れて暮らす私に対する嫌味か?

 ダンダンと床を叩いて悔しがる私に、ノームは呆れた顔で溜息を吐いた。

「お前にその力を授けたらどうするつもりじゃ」

「可愛い弟妹の周囲に近付く羽虫を一掃する」

「物騒じゃな、オイ!」

「ツッコミだけは一人前なんだから。カメラがあれば写真に成長記録として収めてニマニマ出来るのに……」

 その技術が無いのが残念だ。

 クーッと悔しがっている私に、ノームが興味津々で聞いてきた。

「カメラとは何じゃ?」

「静止画像を撮影するための道具」

「? 意味が分からんぞ」

 私は部屋に飾ってあった絵を指でフレームを作りってノームに見せた。

「指の間に見える部分を寸分違わぬ姿を写す機械のことだよ。普通は絵師に姿絵を描かせるものだけど、大抵実物よりも美しく描くでしょう。カメラで撮影した物を写真というのだけど、それは実物と同じものが写る」

 心霊写真も写る事もあるけど、それは話さなくても良いだろう。

 ノームはカメラに興味を持ったようで、仕切りに再現出来ないのかと言って来た。

「鉱物を提供してやるから、そのカメラとやらを作ってくれ」

「知識が……いや、出来るかも! ピンホールカメラなら出来るかもしれない」

 ノームに必要な素材を用意してもらい、私は食事そっちのけで一心不乱に作業に没頭した。

 一度集中すると途切れるまでは何もかもそっちのけで没頭してしまうので、よくアリーシャに心配され母からお小言を言われたものだ。

 原理が分かれば簡単だ。

 三時間ほどでピンホールカメラが出来た。

「出来たー!」

「よし、じゃあ被験者一号はワシがしてやろう」

 私の返事を聞く前にどんなポーズが良いだろうと抜かして、色んなポージングを試しているが地龍の子供に擬態している姿では威厳もへったくれもないトカゲである。

 こんな可愛くないのを取りたくないが、実験体には丁度良いかもしれない。

「じゃあ、撮るから暫く動かないでね。動いたらブレッブレになるから」

「むっ、そうなのか。では、これでどうじゃ」

 ノームは、でれーんと全身の力を抜いてベッドに寝そべっている。

 あのポーズの数々はどうしたと突っ込みたいが、怖くて突っ込めない。

「撮るよー。はい、チーズ」

 見た目は厳ついFUJIフイルムのチェキのようなものを構えてノームを写した。

 ノームが土の大精霊で素材がタダで手に入るのは有難い。

 チェキもどきからペッと吐き出されたフィルムを暫く置くと、不細工なトカゲが私のベッドで寝そべっている姿が写っていた。

「成功したみたい。でも画質は悪いなぁ。要改良かも」

「どれどれ…ふむ、なかなかイケメンに写っておるではないか」

 写真を器用に前足でつまみ上げて自画自賛している。

 間抜けな恰好のトカゲがイケメンなら、世の中の大半がイケメンになってしまう。

「どうみてもグータラしているペットだよ」

「ペットという言葉は分からぬが、何故か不愉快な気がしたぞ」

「気のせいだよ。これがあれば、色んなものを写せる。早速、もう一つ作成して父様に渡そう。そして弟妹達の日々の成長記録を!」

 即席ピンホールカメラを掲げ高笑いしたのだった。

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