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お前は、ヒロインではなくビッチです!  作者: もっけさん
エルブンガルド魔法学園 中等部
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エンバス兄妹の受難

 リリアンが学園から離れたことを良いことに、コレットがアルベルトにベッタリくっつき白昼堂々と浮気している現場を学園に通う大勢の人間が目にしている。

 リリアンから体罰の許可を得ているが、流石に王族に手を上げるのは躊躇してしまう。

 ガリオンがアルベルトの傍に張り付いて注意をしていたが、放課後になると青薔薇の会に逃げ込んでしまうため、八方ふさがりの状態である。

 授業中はクラスが違うので、アリーシャがアルベルトの見張りをしている。

 授業態度は可もなく不可もなくと言ったところで、アルベルトの生活態度だけが問題として浮き彫りになっている状態だ。

 流石に中庭で膝枕したりキスしたりの場面を見たと、学園中にコレットとアルベルトの仲が噂されている。

 更に頭の痛いことに、ヘリオト商会からアルベルトが変装せずにコレットを連れて来て大量に女性服と小物を購入していったと報告が上がっていた。

「兄さん、これは流石に不味いのでは?」

「ああ、いくら躾と称して殴ることは出来るけど従者の俺達がやると色々と不味いだろう」

「そうよね。アレが出来るのは、リリーだけよ。躾と言い切っちゃうくらいだし」

 アリーシャは、ハァと大きな溜息を吐いた。

「あの尻軽に幾度も注意しているんだが、全然効いてないしよぉ。しかも、俺を見る目が凄くキモイんだ。こう、ゾワゾワして鳥肌が立つ」

 ガリオンは、コレットの甘ったるい声と視線を思い出して全身鳥肌になっている。

「一回相談した方が良いんじゃない?」

「そうなんだが、証拠が揃ってない状態で報告は不味くないか?」

「あ…」

 ガリオンの言葉に、アリーシャはしまったという顔をしている。

「俺もできるだけ馬鹿ベルトから尻軽を引き離すようにするから、お前は証拠固めしてくれねぇか?」

「そうね。噂の出所や真偽を形に残しておかないと、シラを切られては元も子もないものね」

 リリアンの事だ。

 慰謝料増額の為に証拠固めを徹底的にやらせるだろう。

 側近としてそれくらいの事をあらかじめ出来てなければ、フリックやメアリーから再教育を言い渡されてしまう。

 再教育の文字が頭に浮かんだ二人は、ザッと顔を青ざめさせた。

「兄さん、コレットとかいう女に靡かないようにね」

「いや、あんな尻軽願い下げだから。何か、俺のこと知ってるっぽい話し方してきて怖いんだよ」

 心底嫌そうな顔をするガリオンを見て、アリーシャはこの分だとコレットに誑かされることはないかもしれないとホッと安堵した。

「私は証拠集めに専念するわ。ガリオンは、苦言を呈し続けて頂戴」

「呈し続けて、逃げられているけどな」

「そこを何とか捕まえて、逃げないようにしなさいよ」

「それが出来たら苦労しない!」

 不毛な言い合いをして、結論は『糞ベルトと尻軽を(物理的に)潰したい』に至った。



 アルベルトの監視を弱め、アリーシャが噂の出所を調べたり浮気の証拠写真を収める為にコレットを尾行して掴んだ証拠は凄い数に膨れ上がっていた。

 コレットとは違うクラスのため、彼女の身辺を調査するのに難航した。

 侍女科に居た頃のツテを使って、Cクラスの情報を横流しして貰ったところ、典型的なぶりっ子女と言うことが判明した。

 男に媚びを売るのが上手く、女に対し態度がガラッと変わるわけではないが、かなり天然キャラを作り込んだ痛々しさがあると女子から相当嫌われているようだ。

 表立ってコレットを非難すれば、彼女のシンパが黙っておらず逆に非難した令嬢を泣かすまで暴言を吐き続ける。

「コレットって馬鹿だけでなく、他の男にまで手を伸ばしてるの? 信じられない……」

 コレットの普段の行動を調べる為にヘリオト商会から取り寄せた小型ボイスレコーダーをCクラスの教室の至るところに取り付けた。

 勿論、クラスが違うアリーシャがやれば不信がられるのでヘリオトロープの会に所属するCクラスの女子に依頼して頼んだら二つ返事で了承してくれた。

 どれだけ嫌われているんだ、あの女は。

 一週間に一回、取り付けたボイスレコーダーを回収しては、新しいものを取り付けるを繰り返した。

 中身を確認すると聞くに堪えない独り言や女子と言い争う声、男子に媚びを売る声などがハッキリと録音されていた。

「衣擦れの音も聞こえてくるんだけど。教室で何してんのよ。気持ち悪い」

 思わず途中で止めてしまったが、これを最後まで聞いて報告書に纏めてリリアンに報告しなければならないのかと思うと気が滅入る。

 特別手当を貰わないと割に合わない。

 いや、貰っても馬鹿のお守りは御免被りたい!

 ザクザクと取れる浮気証拠。

 それもアルベルト一人だけでなく、婚約者がいる男子生徒にまでちょっかいを掛けている。

 音声だけでは証拠不十分になりかねないので、他の男子との浮気現場も写真に収めれば事は有利に運ぶだろう。

 メアリーなら遣って退けそうだが、アリーシャにそこまでの技術はない。

「馬鹿以外の男に関しては、情報を相手の婚約者に流して恩を売って協力をして貰うのもありかもしれないけど。私一人で決められないのが歯がゆいわ」

 アルベルトに関してお目付け役の任に就いているので、それ以外の事に関してはノータッチでもリリアンは何も言わないだろう。

 だが、リリアンの性格から考えれば弱みを握れる情報があれば根こそぎ集めろと言ってきそうである。

 利用できるものは利用する。

 それが彼女の信条だ。

「……やっぱり集めよう」

 アリーシャは、大きな溜息を吐きながらどうやってコレットがアルベルト以外の男とも浮気している現場を写真に収めることが出来るか考えた。

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