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お前は、ヒロインではなくビッチです!  作者: もっけさん
エルブンガルド魔法学園 中等部
130/182

アルベルト攻略開始7

UPが遅れて済みません。予約しているものだと思ってました( ;∀;)

 安易な対決をして、約千七百万円の借金を背負ったコレット。

 デートだと思っていたのに、単に外出がしたいという理由で利用されていた。

「何なのよ! 平民服をプレゼントしてくれるのかと思えば全然違うし、貴族街で選んだドレスも結局のところ私にプレゼントしてくれない。あ~、もうっ!! まだデートする段階じゃなかったのかも? 相手のLOVEバロメーターが分かれば、幾らでも方法はあるのに」

 イライラしながら寮の自室でボスボスと枕を殴りつけて鬱憤を晴らそうとしたが、アルベルトから受けた様々な言動を思い出しコレットを更に苛立たせた。

「……ふー。アルベルトは、婚約者へのプレゼント選びでお忍びで出かけたって認識だったのよ。そうじゃなきゃ、あんな態度取るはずが無いわ。バロメーターは見えないけど、態度や言動から見てまだ私に落ちていないってことね。焦りは禁物! アルベルトと結婚出来れば賭けもチャラになるわ。婚約者が戻ってくる前に、何としてもアルベルトを落とさないと。でも、あそこまで服にこだわりがあるなんて思わなかった……」

 コレットから見れば地味なドレスに見えたけど、アルベルトはシンプルな装いが好きなのかもしれない。

「あの服が、全て婚約者行きだなんてクソ羨ましい!」

 平民街でも二十着以上購入していたし、貴族街でも結構買っているはず。

 あれだけあれば、全部着るのに一ヶ月以上はかかるだろう。

 不仲だと聞いていたのに、婚約者という立場だけであれだけ貢がれるのだ。

 結婚したら何不自由のない贅沢な暮らしが確約されたも同然だ。

「今まで子供だましのスキンシップしかしてこなかったけど。もう少し踏み込んで周囲にも仲睦まじい姿を見せつけてやらないと」

 外堀を埋めるのも大事だが、アルベルトの意識を変える方がもっと大事だ。

 今日みたいな体験は二度と御免だ。

 コレットは、次の段階へと作戦を移した。



 翌日、何事も無かったかのようにコレットはアルベルトに話しかけていた。

「アル様、昨日は楽しかったです。婚約者さん、喜んでましたか?」

「何のことだ?」

「ほら、婚約者さんのドレスを選びに行ったじゃないですか。渡してないんですか?」

 ドレスの話を持ち出すのは癪だが、話題の切っ掛けを造らないとアルベルトと会話が成立しない。

 我慢よ、コレット! と自分に言い聞かせながらアルベルトと婚約者の進捗を聞いてみた。

「渡していないぞ。あいつは、暫く学園に来ないからな」

 暫くがどれくらいかは分からないが、アルベルトの様子からすると数日というわけではなさそうだ。

 それは、こちらにとっても好都合である。

「そうなんですね。大量に買われていたので、お喜びになると思いますよ」

「そうなのか?」

「そうなんです」

 キョトンとしたアルベルトは、ギャップがあって可愛い。

 本当に顔だけは良いんだよなぁ。

「そういえば、アル様は耳かきって知ってますか?」

「何だそれは?」

「これで耳垢を取るんです。とっても癖になりますよ」

 ビリーも虜になった耳かきで、一気に攻めることにした。

 身体で落とした方が一番手っ取り早いのだが、年齢的にアウトなのでやらない。

 身体で落としても、処女性を重んじる貴族社会では非処女だと解れば正妻にはなれない。

 良くて愛妾程度で終わってしまう。

「そんな棒きれを耳の中に入れるのか?」

「先端が小さなスプーンっぽくなっているでしょう。それで耳垢を掻き出すんです。自分でするより人にされる方が、とっても気持ちいいんですよ。それとも耳かきが怖いとか?」

 少し煽ってみると、アルベルトはムッとした顔で言い返してきた。

「そんなもの怖がるわけないだろう! 受けて立つぞ」

「アル様、決闘じゃないんですから。中庭にベンチがありましたね。そこでしましょう」

 そう促すと、首を傾げられた。

「ここでも出来るだろう?」

 青薔薇の会で使用しているサロンでしてもいいが、もっと周囲の認知されなければ意味がない。

 アルベルトがコレットにぞっこんだという認知が必要なのだ。

「明るい場所でする方が、よく見えるのですよ」

「ふーん。じゃあ、移動するか」

 面倒臭そうに中庭へ向かって歩き出すアルベルトの隣を耳かきとティッシュを持って移動する。

 中庭のベンチに人はいなかったので、コレットがベンチの端に腰を下ろしアルベルトにベンチの上に寝転がるように指示を出した。

「アル様、頭を私の太ももに置いて下さい。そう、そんな感じです」

 アルベルトを誘導しながら微調整を加えて、日光が耳に当たるように調整する。

 目元はハンカチで覆い耳かきを持った。

「じゃあ、やりますね。痛かったら言って下さい」

「お、おう」

 若干腰が引けたような返事をするアルベルトを見て大丈夫かと思ったりもしたが、やり始めると借りた猫のように大人しくなった。

 耳かきなんてしたことがなかったのだろうか。

 耳垢が凄い。

 浅く掻いたり、少し深い所を掻いてみたりとアルベルトの様子を見ながら耳かきの棒を動かした。

 ある程度垢を取り除き、綺麗にしたところで手を止めてアルベルトに声を掛ける。

「アル様終わりましたよ」

 ハンカチを取ると、ボーッとした顔をしているアルベルトがいた。

「アル様? 終わりましたよ」

 肩を揺すると、ハッと我に返ったように慌てて顔を引き締めている。

「見て下さい。こんなに取れました」

 片耳だけで結構な大物がゴロゴロと取れている。

 これだけの大物が出てくると耳かきをして爽快な気分だ。

「……こんなに取れるものなのか」

「アル様の様子を見る限り耳かきをなさったことがないようなので、これくらい取れてもおかしくないですよ。反対の耳もしますか?」

「ああ、頼む」

 耳かきの虜になったのか、アルベルトはゴロンと反対の耳を素直に差し出してきた。

 両耳の掃除が終わった頃には耳かきの虜となり、「またしてほしい」とアルベルトから言われ、コレットは内心ガッツポーズを決めた。

 中庭で膝枕をしていたという噂が学園中に駆け回り、コレットは細く笑みを深めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] そういえば頑張ってアルベルト落としてももう継承権ないのか しかも弟が育った後は王籍すら失うかもしれないのか
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