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お前は、ヒロインではなくビッチです!  作者: もっけさん
エルブンガルド魔法学園 中等部
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アルベルト攻略開始5

 学園に来てから二週間、コレットの(脳内での)計画は順調に進んでいた。

「アル様、次の休みの日お出かけしませか?」

「無理だな。俺は、基本的に学園の外には出られん」

 提案をバッサリと切り捨てられてしまったが、そんなことでめげるなんて有り得ない!

 コレットは、方向性を変えてみることにした。

「私達、変な噂が流れているじゃないですか。もし、婚約者様のお耳に入ったら問題になると思うんです。その為のご機嫌伺いの品を買いに行くという名目で出かけませんか? 私、王都に来たばかりなので観光もちょっとしたいなぁ~って思ってるんです」

 こそっと耳打ちすると、アルベルトは暫く黙り込んだ後に頷いた。

「それなら外出の許可が下りるかもしれない。確約は出来んが、許可が下りれば連れてってやるぞ。ついでだからな」

 婚約者をだしに使ったデート大作戦の第一段階は、思いのほか上手く行った。

 何が何でも許可を捥ぎ取ってきてよね!

 アルベルトに念を送っていたら、横を振り向いたので愛想笑いで胡麻化した。



 そして週末、アルベルトも無事に外出の許可が下りた。

 彼曰く、これは異例中の異例らしい。

「私はあまり詳しくはないので、アル様はどこから見回ります?」

 パッと見た感じ良いところのボンボンに見える格好をしているアルベルトに問いかけると、

「平民街のヘリオト商会支部」

と躊躇なく言ってのけた。

 一応、名目上は婚約者のプレゼント選びだよね?

 ヘリオト商会で扱っている平民服も可愛いが、普通は貴族街の方に行くだろう。

 私は、アルベルトの女友達で今回のプレゼントのプロデュースをする役目で同行しているのだ。

 下手な買い物をされては、私のセンスまで問われてしまう。

「あ、アル様……婚約者の方に平民が使うものを贈られるのはどうかと思いますよ」

「後で貴族街の方にも顔を出す。こっちは、私用だ」

 そう言われてしまっては、コレットは押し黙るしかなくヤキモキしながら平民街まで馬車で移動した。

 護衛二人が、アルベルトの斜め前と斜め後ろに一定の間隔を空けてピッタリと張り付いている。

 本当は二人っきりでデートしたかったんだけど、相手が一国の王子なら護衛込みのデートになっても仕方がないか。

 アルベルトは慣れた手つきでヘリオト商会王都平民街支店のドアを開けた。

「いらっしゃいませ」

 ビシッとカマーベストを着こなした初老のおじ様が立っていた。

「チラシに〇をつけた商品を全て買いたい」

「畏まりました。お色味とサイズは如何なさいますか?」

「ウルトラマリンはあるか? サイズはMだ」

「商品によってご用意できない物も御座います」

「ウルトラマリンに近い色ならそれで構わん」

「畏まりました。実物をお持ちしますので、こちらでお待ち下さい」

 案内されたのは、別室のいわゆるVIPルームと言われるところだった。

 流石、金持ち。

 派手なお金の使い方をする。

 数分待たされて二十着以上の服が掛けられ業務用のハンガーラックと一緒に鞄や靴、小物が乗ったワゴンを押して部屋に入ってくる従業員と初老のおじ様。

「こちらが、指定されたお品で御座います」

 アルベルトはスッと席を立ち、出された商品を検分している。

 そこにあるのは、全て女性物なのに気付きコレットはもしかして私へのプレゼントと勝手に脳内変換していた。

「やはりチラシだと細部まで分からないからな。実物を見るのが一番手っ取り早い。しかし、新作もなかなかの出来栄えだな」

「お褒めに預かり光栄で御座います」

「よし、全て買うぞ。後、一割引きのクーポンだ。全部で幾らだ?」

「金貨一枚と大銀貨二枚銀貨八枚になります」

 ナイスミドルなおじ様の言葉に、アルベルトは全ての商品の値札をチェックし、ぶつぶつと独り言を言っている。

「合っているな。じゃあ、これで」

 金貨一枚と大銀貨三枚を手渡している。

 一括払いで払われた金額は日本円に換算すると約十二万八千円だ。

 王子という割には、割引券を使う辺りなんだか庶民臭い。

 でも、平民服とはいえこれだけの量を買って貰えるのであれば悪い気はしない。

「コレットは、何も買わないのか?」

「私は、十分です。ありがとう御座います」

 私の謝意にアルベルトは首を傾げていたが、気を取り直して会計を済ませている。

 本当は、高級なドレスやアクセサリーが欲しいけど今日は婚約者へのプレゼントを買うのが目的なので、これ以上のお強請りはよそう。

「商品は、簡易包装で構わないが中身が分からないようにして学園のこの部屋まで届けてくれ」

「畏まりました。いつもお買い上げありがとう御座います」

「コレット、次は貴族街の店に行くぞ」

「は、はい! あの、失礼します」

 ナイスミドルなおじ様にお辞儀をして、さっさと店を出て行ったアルベルトの後をコレットは追いかけた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ……お前……一応女装に関しては秘密扱いだって理解していないのか? 物凄く部外者がいるのに、何で何の躊躇いもなく……コイツの頭のユルさは、もう色々とダメですネェ┐(-。ー;)┌ヤレヤレ
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