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お前は、ヒロインではなくビッチです!  作者: もっけさん
エルブンガルド魔法学園 中等部
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アルベルト攻略開始4

 何かにつけて一緒に行動するようになってから、周囲はアルベルトが私に心変わりしたと捉え始めた。

 外堀を埋めるのも時には必要だから手は抜かないわ。

 一番の収穫は、勉強を教わる段階で他の攻略者とも接点が持てたところだろうか。

 王妃の座は欲しいけれど、好みの男は囲っておきたいのよね。

 万が一王妃がダメでも、それなりに爵位もお金も持っていそうな相手ならキープしておきたい。

 放課後、青薔薇の会でアルベルトを中心とした勉強会をする。

 ガリオンは、リリアンっていう女が作ったヘリオトロープの会に所属しているため勉強会に参加する資格はないと言ってアルベルトが追い出してしまった。

 逆ハーを楽しみたかったのに余計な事すんなと思ったけど、青薔薇の会に所属するメンバーのスペックだけを見ればアルベルトに取り成すよりも現状を甘んじて受け入れる方が私にとって得だと言える。

 私の城と思えば、悪くない空間だ。

 勉強をするのはつまらないけど、玉の輿をゲットするためにも勉強は必須。

 やると決めたからには手は抜かないわ。

 カリカリとペンで課題をしながら、分からない場所を教科書を開いて確認する。

 前世で義務教育で散々勉強してきたけれど、やっぱり勉強って慣れないわ。

「アル様、これってどういう意味ですか?」

 マナーの授業で季節の唄遊びがある。

 どことなく俳句や短歌を彷彿させるのだが、私はそういうのは苦手で例文を短く纏めるように書かなければならないのだが、さっぱり分からない。

 例文は、『白露に風がしきりに吹きつけている秋の野のさまは、まるで糸に通してとめてない玉が美しく散り乱れているようですね』である。

「白露に 風吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける、が答えだ」

「アル様は、博識なんですね」

 アルベルトから答えを教えて貰いノートに書き写す。

 文脈からして百人一首が頭に浮かんだが、そんなわけないかと考えることを放棄した。

「この唄遊びって何が楽しいんでしょう」

「さあな。先人の考えることは分からん。ただ、大昔に召喚された聖女が故郷を恋しく思って綴った唄と言われているな」

「どれくらいあるんですか?」

「百くらいはあるぞ。唄遊びの解説本なら、確か図書室にあったと思う。参考になるかは分からんが、読んでおくといい」

 そう言われて、思わずウゲッと顔を顰めた。

「コレット嬢は、唄遊びは苦手なのかい?」

 カルセドニーに問われて、コレットは唇を尖らせて少しむくれた風を装って否定する。

「違いますよ。昔の人は、考えることがよく分からないと思っただけです」

「風流があって私は好きですけどね」

「カルセドニー様は、唄遊びがお好きなんですね。私は、魔法学が得意なんです。魔力量は少ないですが、発動の精密さと上級魔法が使えるので編入試験を通ることが出来ました」

 ラッキー、良い事聞いちゃった♡

 これは、覚えるっきゃない!

 好感度アップの試練だと思えば、乙女ゲームマスターの私に掛かれば選択肢を覚えるのと同じくらい簡単なことだ。

「マナーと歴史さえ良ければ、上級クラスに入れる逸材が編入してきたって噂が流れたっけ」

 ルークが、思い出したように私の噂を語ってくれた。

「そうなんですか? 少し恥ずかしいです。男爵家に引き取られたばかりなのでマナーは焼付け刃なので精進しないとダメなんですけども、歴史は人物の名前を覚えたりするのが苦手で……。どうしても苦戦してしまうんです」

 歴史を覚えて何の役に立つのかさっぱり分からないとは口に出さなかったが、あれほど意味のない教科はないと思っている。

「俺も昔は歴史が苦手だったな。あいつに貰った本で興味を持って調べるうちに自然と覚えるようになったが、あの本に出会わなかったら一生歴史に興味を持たない人生を歩んでいたと思う」

 アルベルトが、コレットの意見に深く同意した。

「アル様が歴史に興味を持ったきっかけの本ってどんな本ですか?」

「絵が沢山描かれた本だ。俺専用と言って態々お抱えの画家に描かせた代物だ」

「凄く興味があります」

 遠回しに貸してくれアピールをしてみるが、綺麗にスルーされてしまった。

 本当になんなの?

 上手く行っていると思っても、変なところでアルベルトのスルー技術に躓いてしまう。

「分からないことがあれば聞くと良い。俺が、教えてやる」

「ありがとう御座います。とっても頼りになります」

 教えるの下手過ぎて分からないから、結局教師に教わりにいく羽目になるのかと思うと溜息が出そう。

 でも、ここまでは順調にことが進んでいる。

 目指せ逆ハー!

 コレットは、愛想笑いを浮かべながら今度はどんな手で距離をもっと近づけようかと考えていた。

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