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お前は、ヒロインではなくビッチです!  作者: もっけさん
エルブンガルド魔法学園 中等部
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何とか飛び級できました

 スミス先生のお陰で、高等部の卒論と卒業試験をクリアすれば院生として飛び級が認められるという事になり、私はラッキーと喜んだ。

 スミス先生が帰るときに送ろうかと声を掛けたら、帰りもあのやり方で帰るのは御免だと断られてしまった。

 精霊達の中でスミス先生が好きな子もいて、加護を与えるまではしないが魔法詠唱している時に少し手伝っているみたいだ。

 精霊が見える私からすると微笑ましい光景だが、当人からすると調整が利かなくて有難迷惑になってしまっているのが非常に残念でもある。

 三人とも一ヶ月後に試験を控え、事前に実技試験と筆記試験、私に関しては卒論がプラスされる。

 どんな試験なのか分からないこともあり、事前に編入試験を受けた生徒から過去問とヘリオト商会の商品と物々交換して貰った。

 高等部の卒業試験もエマの人脈を使って、卒業試験の問題を横流しして貰った。

 勿論、対価は払いましたとも。

 まだあまり出回ってないクズ石で作ったアクセサリーを強請られるとは思わなかったが、背に腹は代えられぬと思い、ドド~ンとチョーカー、ブレスレット、イヤリング、指輪の豪華五点セットを送ったよ。

 彼女の瞳と同じアメジストをチョイスしたら喜ばれた。

 各々が試験に向けて勉強をし、万全の体制で挑んだら、私だけ内容が異様に高かった。

 過去問よりももっと難解な問題に首を捻ったが、解けない問題ではなかったのでサクサクと解答用紙に答えを記入した。

 エバンス兄妹の編入に関しては翌日に許可が下りたが、私の飛び級に関しては前例が無いという事で連日職員会議が開かれた。

 一度前例を作ってしまうと、それに習う者が後を絶たなくなるだろう。

 学校としては、長く居て貰ってお金を落として欲しいのは理解できる。

 慈善事業ではないし、ビジネスだからね。

 しかし、こちらもやむを得ない事情があるのだから特例でも何でも良いから、さっさと進級させろよと心の中で毒吐いた。

 二週間経っても音沙汰がないので、奥の手を使うことにした。

 最高権力者からの圧力である。

 王妃と父から圧力が掛かれば、流石に学園も頷かざる得ないだろう。

 父には、陛下代理のとしての顔とアングロサクソン家の顔と二つの意味で圧力をかけまくった。

 陛下代理は政治的な圧力、アングロサクソン家の圧力は寄付金のカットである。

 結構な額を寄付しているので、全額カットされては困るだろう。

 設備と称して色々と使い込んでいるのは知っているぞ。

 二人からの圧力に屈した学園は、漸く私の飛び級を認めた。

 私は、こうして晴れて院生となった。

 院生は、年に一度自分の研究した魔法や魔道具の発表を行う必要がある。

 私も途中編入と言う形で入って来たので、他の院生より時間は短いが研究を発表しなければならない。

 私の研究は、通信の傍受とハッキングをテーマにしたものにした。

 現在進行形で、私が研究している内容だしね。

 研究発表まで時間があるので、私はさっさと荷造りをして旧オブシディアン領へとフリックを連れて旅立った。


 改良しまくった馬車の中は、揺れが無くて快適です。

 馬車と言っても、車体を風魔法で数センチ浮かせているので、馬はただ走行するだけなので足の速い軍馬を使えば一週間もかからずに目的地に着いた。

 精霊魔法様様である。

 私の仕事が減ったわけではないので、車内で外を眺めることはせず書類と睨めっこしながら、時折掛かってくる電話の対応をしていた。

 一月に一回出版しているカタログとエロ本は看板商品の一つだ。

 アルベルトやその友人なくしては、成り立たない商売と言っても過言ではない。

 アルベルトに関しては抵抗せずにノリ気でしてくれるので助かっているが、問題は彼の友人達の方である。

 誓約書が私の手元にある以上、それに従わなければ高額な賠償請求が出来る。

 私的には、高額な賠償請求をするよりも出来るだけ長く働かせて金を巻き上げたい算段だ。

 その方が、私の懐が温かくなるからな。

「はい、リリアンです。え? また、ですか。本当に懲りませんね。契約を一方的な解除をするのであれば、わたくしの言い値で賠償請求出来るとお伝え下さい。勿論、大金貨千枚以上は請求するので親御さんにバレますよと伝えなさい。署名と血判を押した精霊魔法を使った正式な誓約書なのですから、踏み倒しは出来ませんし、させません。それでもグダグダ言うなら、親御さんにバラしてしまいなさい。女装癖のある跡継ぎなんて、あちら様も御免こうむりたいでしょう」

 社交シーズン用の写真を撮るのに、アルベルトの友人達が撮影を拒否しているようだ。

 身元がバレないように詐欺メイクもしているし、普通にしていればバレる要素は無い。

 まあ、勘のいい人がいれば話は別だがな。

「リリアン様、ロジャー・フェディーラ男爵からの報告書です」

 分厚い資料を手渡されて、顔を顰めながら受け取りパラパラとめくる。

 その内容に頭痛がしてきた。

 要約すると、犯罪の温床になっているとのこと。

 嫌な予感は的中した。

「このまま、トンボ帰りしたらダメかしら……」

「ダメです。着任早々、人事からテコ入れが必要になるかと思います」

「そうね。手元に残りそうな人ってどれくらい居るのかしら……」

 この資料を見る限り、特に上層部の人間は殆どが犯罪に手を貸したり、進んで犯したりしている。

「実際に見てみない事には判断が出来ませんが、使えそうな者は片っ端から教育して現場へ投入させれば宜しいかと思います」

 フリックの鬼のような教育に精神がやられる人が続出しないことを祈りたい。

 聖女と言われているが、お飾りで基本は事務仕事しかしていないので、メンタルケアなんて出来ない。

「フェディーラと合流して、当面の方針を決めましょう」

 私の提案にフリックは頷き、痛む頭を抱えながら旧オブシディアン領へと足を踏み入れた。

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