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お前は、ヒロインではなくビッチです!  作者: もっけさん
エルブンガルド魔法学園 中等部
107/182

パパンにフリックの貸し出しを要請した

 父の書斎を訪ねると、私が何をしようとしているのか分かっていたのか、すんなりと通してくれた。

「お父様、そのご様子ですとわたくしが何を申し上げたいのか分かっていらっしゃるようですね」

「君の父だからね。領地経営と飛び級についてかな?」

「そうです。王妃様より学園に席を残しておくようにと命があったので、院生として席を置こうと思っておりますの」

 本当ならば席すら置きたくはないのだが、調教途中の駄目犬の飼い主である以上は仕方がないと割り切るしかないだろう。

「高等部の全教科の試験を受ける手配はしておこう。中高等部の卒業論文と院生へ進学する為のレポートが必要になるな。それで旧オブシディアン領へは、いつから就くつもりかな?」

「補佐官の腕次第になりますが、フェディーラが現地視察と並行してレポートを作成し提出するまでと言ったところでしょうか」

「具体的には?」

「最低三ヶ月。個人的には一ヶ月でやって頂きたいのですが、移動時間を含めての時間ですわ」

 ニコニコと当然のように話す私に対し、

「リリアン様、発言の許可を頂けますでしょうか?」

とフェディーラが挙手をした。

「どうぞ」

「三ヶ月では、到底無理です。王都からオブシディアン領まで片道一ヶ月は掛かります。そこから各地を巡りレポートを作成するとなれば、もっと時間がかかります」

「普通の馬車に乗ればそうでしょうね。ですが我が家の最新式の馬車で行けば、片道一週間もかかりませんわ。流石にナリスの魔鉄道よりは劣りますが、馬車での移動速度では国内随一ですわ。優秀な護衛もつけますから安心なさって。という事で、お父様にお願いがありますの」

「本音では聞きたくはないのだが、言ってみなさい」

「フリックを貸して頂けないかしら? 勿論、期限付きで良いので。流石に、わたくしも初対面の方に全てをお任せするほど馬鹿ではありません。ああ、王妃様を疑っているわけではなくてよ。わたくしは、フェディーラがどんな人物なのか知りません。信用も信頼も築けていないのに丸投げするのは些か不用心だとは思いませんか」

 不安材料は潰してから行動するに限るというは、私の信条の一つでもある。

 今回の領地経営の一番の目的と言えば、ユーフェリア教会が売買した者達の行方を捜すことである。

 ぶっちゃければ、領地経営など二の次だ。

「フリックは、アングロサクソン邸の筆頭執事だ。そのお願いは聞けないぞ」

「あら、ロイドを一時的に執事長補佐にすれば宜しいではありませんか? 出会った当初に比べれば、随分とマシな仕事をするようになりましたわよ」

 王都へ引っ越してきて、私の側近に負けたことが余程悔しかったのだろう。

 研鑽を重ねて、父であるフリックの右腕にまで上り詰めた。

 その成長は、アリーシャやガリオンがいなければ無かったことだろう。

「ロイドには荷が重すぎるのではないか?」

「そうでしょうか? フリックの右腕にまで上り詰めた研鑽は、正当に評価し褒めるべきではありませんか? それに、ロイドだけでなくメアリーもおりますので、不測の事態が起きても対処は可能でしょう」

 ロイドでは出来なくても、メアリーなら出来るだろう。

 あのツーカー夫婦なら、涼しい顔でなんでもこなしてしまう。

 本当はワンセットで欲しいところではあるが、流石にそんなことをすればロイドだけで屋敷を任せられるかと言えば否だ。

 ある程度のことは出来ても、予想外なことや突発的なことに対応できる能力が育っていない。

 これから育つかもしれないし、育たなければ突発的なことに対応できる者を育てれば良いだけの話だ。

「フリックを抜いても屋敷に何の問題もないという事はご理解頂けたでしょうか?」

「ああ、理解はした。フリックを貸し出すにあたって、その給与はどうするつもりかな?」

「わたくしのポケットマネーで払いますわ。わたくしの総資産がどれくらいあるか、お父様ならお判りでしょう? 勿論、貸し出している間もアングロサクソン家の執事長であることには変わりませんので、アングロサクソン家からも正当な賃金を支払って下さいませ」

 この数年で私の総資産は、思いのほか増えた。

 資産増加の一躍をになったのは、アルベルトの存在である。

 女装したカタログやエロ本は、私の想像以上に高値で売れる。

 転売しようと大量購入するアホもいるので転売出来ないように工夫したが、初期に発行されたものに関してはオークションで結構な値段がつけられているらしい。

 資金繰りに困ったときは、その手を使おうと思っていることは秘密である。

 さて話を戻すが、私の中でフリック・スーの同行は確定している。

 彼がいるといないとでは、仕事の処理速度も異なるからだ。

「我が家にある電話を使えば、家人は私と直通で話が出来ますから不測の事態が起きても大丈夫でしょう。定期連絡は、お父様の携帯に致します。書面に纏めて王妃様にお渡し頂けますか」

「直接、お前が王妃様に連絡を入れれば良いだろう」

「そんなことをしたら、色々雑用を押し付けられるではありませんか。わたくし、これでも多忙の身なのですよ。目先の事として、卒業論文と進級テストとレポート制作に時間を割かねばなりません。殿下の監視役も必要になってきますので、不本意ではありますがアリーシャを侍女科から魔法学科への編入を要請致しますわ」

 本人には言ってないので事後承諾になるが、多分滅茶苦茶文句を言われるだろうとは予想している。

「ガリオンは、どうするんだ?」

「あれは、あのままで結構ですわ。大総督を目指しているそうなので、彼が自ら希望するのであれば魔法科への編入を許可してあげて下さいな」

 ガリオンも学力的には問題ないだろう。

 アリーシャと違い、学力は中の下だが実力だけは上の上だ。

 アリーシャは、学力は上の上だが実力は中の上なのでバランスが取れている。

 駄犬が二人を受け入れるかどうかは分からないが、編入するとなれば学友という形で紹介して、アルベルトが粗相をした時に鉄拳制裁を二人にお願いしよう。

 勿論、その許可はきちんと取っておかないと色々と面倒なことになる。

 どうやって言い包めて取ろうかと考えた。

「フリックとロイドに辞令を出す書類を作るから少し待て。何か事を起こす前に、必ず事前に報告をしなさい」

「事後報告なんていままでしたことありませんわ」

「言葉を変えよう。直前になっての報告は止めなさい」

 私の性格を見抜いてか、釘を刺してくる父に思わずチッと舌打ちしそうになった。

「.....理解しましたわ」

「では、少し待て」

 書類が出来るまでの間、フェディーラと今後の打ち合わせを軽く行った。

 取り合えず彼にも、私と直通で話せるキッズ携帯を渡すことが決まった。

 書面での報告は勿論のことだが、定時連絡として決まった時間に連絡をすることも決めた。

 不測の事態には即連絡というのも決めて、一旦は落ち着いた。

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