ナイチンゲールがさえずって
※ ナイチンゲール=よなきうぐいす
ナイチンゲールがさえずって
青のとばりはまっくろけ
蛙のつぶらな瞳と頬に
夜の女神は微笑する
昼間とびかう無邪気な鳥も
夜はすやすや夢のなか
ぽっかりあいた穴の内側
満たす明かりをもとめてる
バルコニーのその向こう
しろい指先ちらちらゆれて
寄るはふたりのからだごと
うるおい満ちたべにのいろ
寄ればよるほどはなれゆく
羽毛は床へ舞いおりて
きせきのしるし風ゆらす
喜劇のように狂いゆく
くれない触れたそのときに
生まれたものは蜜蝋の
青い炎とあいなって
二対の羽を溶かしゆく
くれない触れたその熱で
生まれて消えたこのきせき
変わることない永遠の
しるしは風に染みてゆく
撚ればよるほどほつれゆく
蔦をいくどもからませて
月の明かりが照らしだしてる
今宵は常に尽きぬよう
ナイチンゲールがさえずって
夜の女神が微笑する
くれない触れたそのときに
キスは生まれて消えてゆく
きせきのしるし風に吹かれて
今宵は常に尽きぬよう
床を離れたそのあとさえも
変わることない永遠よ
ヒバリとびたつその頃にはもう
見えることない蜜蝋の
青い炎は風をゆらして
たしかな夜を残してく