王の城へ!?ー3
「す……凄い……」
琴子は城内の明るさに、つい声を漏らす。
城内は、大量に壁に設置された丸いガラスの中に入った炎のお陰で、昼間の様に明るかった。
壁の明るい黄金色、床にしかれた絨毯の赤色も、明るく見えるのに影響しているのかも知れない。
「闇と言うのは性質的に「魔」を引き付けます。だから城内は、昼夜問わず明るくしているのです」
一番前で琴子達を先導しているホオジロが言う。
「確かにちょっとだけ力が弱くなってる感じがするな……。」
ガイムが自分の手を眺めながら……自分の魔力を見ながら言った。
コツ、コツと階段を上り二階に上がると、まず目に飛び込んで来たのは、琴子の身長の3倍程度ある、豪華な装飾がなされた巨大な扉だった。
「この扉の先に王がおられます。……くれぐれも、節操の無いように……。特にガイム!!」
「へいへい、わかっとりますよ~」
ガイムはホオジロの言葉にヒラヒラと手を振った。
どうやらマトモに聞く気がないらしい。
「はぁ……、それでは、いきますよ」
ギィ、と言う音が鳴り、ホオジロが扉を開けた。
瞬間、とんでもない圧力が扉の中から放出され、大量の目が琴子達を一斉に見る。
(おーおー、国の幹部クラスが勢揃いか、ったく、中々良いお出迎えしてくれんじゃねぇの)
「……なんでそんなに余裕なのぉぉ……」
あまりの圧力に、琴子の足はガクガクともの凄い勢いで震えていた。
「琴子様!さすがに震え過ぎです!頑張って!頑張って押さえてください!」
琴子の耳元でスズナが小さく耳打ちする。
しかし、スズナもそう言ったが、心の中では、
(でも……この圧力をこんな子供が耐えられるわけない……)
そうスズナが思い、琴子の足がもう立たなくなりそうになっていたとき、
「皆の衆、そんなに殺気立たんでもええわい」
優しい、老人のしわがれた声。
その声が発せられた瞬間、琴子達にかけられていた圧力がスウゥと、空気の中に霧散し、消えた。
琴子が顔を上げ、前を向くと、これまた宝石が嵌め込まれた豪華で巨大な椅子に、丸い卵のような体に、立派な髭を蓄えた老人が座っていた。
「ほれ、こっちによれい」
その言葉に、ザザッ!と琴子達の前に立っていた人の壁が割れ、琴子達と椅子に座っている王との間に、道が出来た。
その道を琴子が恐る恐る通り、王の前に到達した。
「ははっ!王の側近の奴等が俺らの為に道を開けてると思うと爽快だなぁ!おい!」
ガイムは道を開けた幹部達を挑発するように言う。
……よく見ると、琴子以外は全く恐る恐るではなかった……。
「ふぉふぉふぉ!元気がいいのう!のう勇者!」
「ははは……そうですね、国王様……」
王が隣に控えていた、黒髪で中肉中背の、普通そうな男性に楽しそうに、そう言った。
「でも……罰にあんな小さな子が選ばれちゃうとは……。ちょっといけない事しちゃったな……」
その普通そうな男は琴子を見ると、少し肩を落として何か小さな声で言った。
「まぁ……とりあえず、ようこそ魔王!我が城へ!わしの名前は「ヴァノウ」!んでこっちのひょろい男が「勇者アサ」じゃ!よろしく頼むぞ!はっはっは!!」
ヴァノウは小さく丸い体を揺らして、楽しそうに言った。
「……んで、ヴァノウさんよぉ、今日は何のご用で俺達魔王軍をお呼びになったんで?……まぁ、俺達を呼ぶと言う事はただ事ではないという事なんでしょうが」
国王にも物怖じしないガイムが、大声でヴァノウに言う。
「ふぉ!ふぉ!その通り、ただ事では無いんじゃよ。…だから君達の所に仕事の「依頼」をしようと思ってのお!」
「ああ!?依頼?俺達は何でも屋じゃないつーの!」
「今は何でも屋ですよ」
ガイムの言葉にベルゼブブが冷静に突っ込む。
「……それで、なんのご用何でしょう……?」
琴子が小さく震えながら言うと、
「お!よく聞いてくれたのう、魔王!……実はちょくり面倒な魔物が北の山脈に現れてのう。それが中々危険と来たもんだ。だからお主達にそのモンスターを討伐してきてほしいんじゃよ!」
ヴァノウは豪快に笑って、そう言った。
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