王の城へ!?ー2
「……子様!琴子様!起きてください!」
「んにゃ……何ぃ……?」
「琴子様!もうそろそろ出ないと王との約束の時間に間に合いません!」
琴子が目を開けると、そこにはベルゼブブの整った顔が間近にあった。
「……あ!す、すまん!!つい寝てて……」
「いえ、今日は色々ゴタゴタしていてお疲れなのは分かります。ですが、あともう1踏ん張りお願いしますね」
そう言うとベルゼブブは顔を離し、寝室の出口のドアの前に立って、琴子が起き上がって出るのを待っているようだ。
「す、すまぬ!すぐ行くぞ!」
琴子はトタトタと着ていた衣を整え、寝室から出た。
「おっ!琴子様!お目覚めですか!」
「いやーよく寝ておられましたね!!」
大広間にベルゼブブと琴子がつくと、そこには服を着替えたガイムとスズナがすでに待っていた。
「あの……何で皆私が寝ていたのを知っているのだ?」
「……はっは!それじゃあ行きましょうか!」
(はぐらかされた……)
(どうせお前の様子を見に来た誰かが広めたんだろ。気にせず行くぞ)
「しかしガイム……それは戦闘服ではありませんか?万が一とはいえそこまで戦意をむき出しにするのは」
「ああー、そんな心配しなくてもこんぐらいでいいっつうの!」
ベルゼブブの言葉にガイムはブンブンと手を降って、ふん、と顔を背けた。
ガイムの服は現在、赤い下着の上に、純白の、それこそ魔王軍の大幹部が着そうにない、フード付きの全身を覆うローブを来ていた。
よく見ると、スズナの服もさっきまで来ていたメイド服とは少し違う。スカートの丈が短い、恐らく戦闘になっても戦える物に変えてきたのだろう。
「では、行きますよ。……皆さん気を引き締めて」
ベルゼブブの言葉に一同の空気が変わる。(琴子以外)
こうして琴子達は、ベルゼブブと琴子を先頭にして、王の城に向かったのだった。
「おっきい……」
「久々に来たが……やっぱり圧巻だな」
琴子達は、琴子とスズナが昼にいた大通りを通り、この国の1番北にドッシリと構える城の、城門の下に来ていた。
大量の石が積まれ出来た、城の外周を囲む巨大な壁には、大量の傷が残っていた。
(あーこれまだ直ってねぇのか)
「これ、何の傷痕ですか?」
ラーヴァの言葉に琴子が尋ねる。
(俺ら魔王軍がこの城を攻めたときに出来た傷だよ。あれからまだ3ヶ月程度だもんな……)
ラーヴァが1番大きな、城壁を抉り取るようにしてできた傷を見ながらそう言った。
「この門は、指定された物の魔力を感知して開きます。今回は琴子様の魔王の魔力です。どうぞ、扉に触れてみてください。」
ベルゼブブの言葉を聞いた琴子が、巨大な城門の扉に触れる。
すると、ゴゥン……。という重く低い音と共に、ズズズと、木製とは思えない音を立てながら、城門が開いた。
完全に門が開くと、門の後ろに1人の人間が立っていた。
「ようこそ魔王殿、王の城……「キュペリオン」へ。……って、げっ!」
門の後ろに立っていたら薄く青が混じった白い髪をおかっぱにした、黒い鎧を着た女性が、深々と下げた頭を上げ、そう言った。凛々しく洗練された雰囲気は最後のガイムを見て言った、「げっ!」で台無しになったが……。
「よぉ……ホオジロ、久しぶりじゃねぇか」
「ええ、久しぶりねガイム。出来れば一生会いたく無かったけど…でよりによってあんたが来てんのよ!」
「あ?そりゃ俺の魔王様への忠誠心の高さが認められたんだよ」
「はぁ!?あんたがぁ!?ないないない!それはない!…そう言えば、魔王はどこよ。」
「ここにいるだろ」
ガイムが琴子を指差して言う。
「……ちっこ!勇者様の罰がこんな形で出るとはねぇ!はははは!!」
ホオジロと呼ばれた女性は、机があればバンバン叩きそうな勢いで笑った。
(このやろ……バカにしやがって……!)
ラーヴァがギリギリと怒りに震える。
「……ホオジロ、王の所に案内してくれるのでは?」
ベルゼブブの言葉で、無理やり話が起動修正される。
「はっ!そうでした、すいません。……それでは皆様、こちらへ」
「ごっは!!ホオジロが皆様!!皆様!!」
「お前、後でぶっ殺したる……!!」
一触即発の空気を抱えながら、ホオジロの案内よって広い庭園を通り、琴子達は、王の城、「キュペリオン」の中に入った。
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