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JS・異世界転生して魔王と体をシェアする  作者: もちのすけ三郎
学園潜入ノ章
28/40

ニラニウス学園-9

三分ほど待っても、琴子の前を通る人の数は全く減らない。

「毎朝これなの……?」

(あー……こりゃあれか?よく言う「慣れろ」!!って言うやつなのか……?)

「え、ええ~……、嫌だよそんなの……」

「お、おーい!!琴子っちぃ!!!」

「?」

琴子とラーヴァが身動きが取れずにいると、人混みの中から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

見ると、人混みの真ん中辺りからブンブンと腕を横に振っている人物がいた。

その人物は琴子達の場所に人の波をかき分け、姿を現した。

「貴方は……ガゼルさん。」

「そう!!この寮の寮長!!ガゼルだ!!」

(朝からうるせーな。なんだこいつ。)

「俺が!!ガゼルだ!!!」

(おい、こいつ何かキャラ変わってねーか!?昨日会った時より何か暑苦しくなってるんだが……?)

「キャラが……何か変わってますね……?」

「あ……あ、ああ。この朝の「朝メシラッシュ」を乗りきるにはこのくらいのテンションを無理やり出すしかなくて……」

「……」

「ま、まぁ、琴子っちにはこんな事にならないようにこの人の波を乗りこなす方法を教えてあげよう!」

「ほ、本当ですか!?」

「本当だ!この人の波を乗りこなす方法…それは!!」

「それは?」

「流される事だ!!」

「?」

「おっと、中々きょとんとした顔をしているね、琴子っち。まぁ聞いてくれ。まず…この勢いの人の波に無理やり逆らっても全くの無意味だ……。下手をすればそのまま人にぶつかったりして怪我をしかねん……」

(おいまじでこの廊下改良して横幅大きくした方が良いって!何で朝飯食いに行くだけで怪我人が出るんだ!朝からテンションだだ下がりだよ!)

「と、言うわけで、まず人の波の隙間を見つけるんだ。そしてそこに体をねじ込んで、後は人の流れに逆らわず、他の人が進む勢いに任せて進めばいい。簡単だろう?」

「ん……んー。簡単そうな、簡単じゃ無さそうな……」

「そうか……。じゃあ、俺が手本を見せよう。……行くぞ、それっ!!」

そう言うとガゼルは人混みの中に飛び込んで行った。

「後は人の流れに任せて進んでいけ……あの、ちょっとすいません、結構速……」

ガゼルの声が途切れた。

「おい待て!!止まれ!そこ人が倒れてるぞ!!」

「え?あ!ホントだ!!ってこれガゼル君じゃん!」

「お?本当だ。こいつまだ朝メシラッシュに慣れてなかったのかよ……。おい誰か!!こいつ保健室に連れていってやってくれ!!」

「あ!じゃあ僕が……。ってええ!?ガゼルさんの腕何か変な方向に曲がってません!?」

「あ?いやそいつ前からそうだよ。ガゼルっていってんじゃん。四足歩行が一般的だろう?」

「ガゼルってそう言うことだったんですか!?」


「……」

(……行くか)

「え……!今の光景を見た後でよくそんな事言えるね……。」

(違う。奴は必要な犠牲だった。奴はこの「朝メシラッシュ」の危険性を身を持って教えてくれた……。奴の勇気ある行いを無駄にしない為にも……。俺達はこの人の波に飛び込まなくてはならない)

「……いまさらだけど何で朝御飯を食べに行くのに犠牲何て出るの……?」

(……それが……寮ってもんじゃ無いのか?)

琴子はもしまた元の世界に戻ったら、寮には入らないと決めた。



第一校舎八階の一室。水魔法やらなんやらで常に清潔に保たれた教室に、琴子はいた。

「よーし、全員よく聞けー。今日から一ヶ月の間このクラスに加わることになった三井琴子さんだー。みんな仲良くするように。」

「「「「はーい!」」」」

琴子が加わることになったクラスの担任、アオメの言葉に生徒達が元気よく返事をする。

琴子が入ることになった5(学年)-11クラスには横八列縦六列の合計四十二人が生徒として入っている。

(おーいい返事。こりゃあれだな。いきなりの転入生をいじめる輩はいなさそうだな)

(怖いこと言わないでよ……)

「じゃあ三井さん、自己紹介を」

「はい!三井琴子です!!みっ短い間ですがよろしくお願いします!!」

「よろしくー!」「ういぃぃぃーー!!」「女女女ぁ!!やっふぅぅぅ!!」

(おいおいやべーぞ。何なんだこの盛り上がり用は……。つーか特に反応がでかいのは男だな。琴子が美人だからか?)

(そんな事はないと思うけど……)

「よし、じゃあ三井さんは八列目の一番後ろの席に座ってくれ」

「あ、わかりました!」

「よし、じゃあ三井さんが座ったら授業を始めるぞ!!」


こうして、琴子の異世界での学園生活が始まったのだった。

読んでいただきありがとうございます!

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