ニラニウス学園-2
「さて、どうするかい?留学生の諸君。まず町を観光するか?それとも早速学園に行くかい」
スパーキーが琴子達に尋ねる。
「学園に行きましょう。」
「観光ー、観光しよう!」
「「あ?」」
「私はどっちでも……」
「はっは!見事に意見が別れたな。それでは……一旦別れるか。ユーノ、ギョウゴ君を頼む。町を案内してやってくれ。では、琴子君とムガイ君は俺と一緒に学園に行こう。ユース、一時間もしたら帰って来てくれよい」
「わかりました。それではギョウゴさん、行きたい場所は有りますか?」
「武器屋!」
「武器ですか……、たしか何個か有りましたね……」
そう言いながらギョウゴとユーノは琴子達から別れていった。
「それじゃ、俺らは学園に行こうか。着いてきてくれ」
スパーキーが歩きだし、それに付いて琴子達も歩き出した。
「ほれ、着いたぞ。ニラニウス学園だ。」
スパーキーが立ち止まり、琴子達に言う。
「見たことのない建造物だな」
ムガイがニラニウス学園を見ながら言う。
が、琴子にはよく見た建物だった。何故なら、地球の小学校とあまり形は変わらないからだ。
四角いブロック型の校舎が三つ、カタカナの「コ」の字型に置かれている。……だが、地球の校舎とは圧倒的に違う点が一つ。
高い。一つ一つの校舎の高さが地球の物と比べ物にならないほど高い。一、二階という物ではない。天高くそびえ立つそれは、何百階とある。
「おー、ナイスリアクション。まぁこれ見たらビックリするよなぁ。俺もビビったもん。初めてこれ見たとき。作ったやつ気違いだとおもったもんね」
うんうん、と満足そうにスパーキーが頷く。
「それじゃ、早速入ろうか」
スパーキーがニラニウス学園の校門をくぐり、ヒョイヒョイと琴子達を手招いた。
校門をくぐり、まず最初に入った場所は学園の庭園と思われる場所だ。
一面に芝生が敷き詰められ、所々椅子や机が置いてあり、談話スペースのようになっている。さらに背の高い木々が植えられており、なかにはピンクの花を付けた桜のような物もある。
「今日は休日だからな。あんまり人がいねーや」
周りを見ながらスパーキーが言う。
確かに、琴子の小学校の休日とは比べ物にならないほど人はいるが、この校舎の大きさ、琴子の小学校より何倍もの学生がいるに違いない。
「おーす学園長!なんだそいつら、こんな時期に新入生か?」
庭園を歩いていると、学生と思われる男が話しかけてきた。
「おいおいガイカ。俺学園長、一番偉い人。もっと敬意払えバカ。あとこの人達はフリュスからの留学生さん達だ。」
ガイカと呼ばれた赤いツンツンした髪の、どこかガイムと似た男は、スパーキーの言葉を聞いてムガイと琴子をまじまじと見つめた。
「おー、あー。こっちのちっちゃいのが初等部でこっちのメガネが高等部ってとこか……?何かこのメガネムカつくな。異様に叩き割りたい。」
「メガネじゃないムガイだ。お前知り合いに顔が似てると思ったら性格まで一緒かよ……」
「お?なんだその呆れた目は……?喧嘩か?喧嘩するんか?相手になってやんよ……」
「話を勝手に進めるな……」
「あー……こうなったガイカは自然と止まるのを待つのが一番だからな……。琴子ちゃんはなれてよう。」
呆れたような様子でガイカを見ていたスパーキーはそう言うと、琴子の肩に手を置いて、一緒にガイカとムガイから距離を取った。
「いや先生なら止めて下さいよ。何早々に安全地帯に逃げ込んでんだこら!」
「行くぜ!爆炎魔法、「双焔」ぁ!!」
「いやいやいや、嘘だろこいつ…!まじでやる気か!」
ガイカの両手から直径一メートル程の巨大な火球が二つ現れる。
「ムガイくーん!なるべく被害を出さない方向で頼むー!」
「無理ですよ流石に!自分でやれ!(こいつ…案外強いのか!?)」
「死ねぇ!」
ガイカが野球のピッチャーのように足を振り上げ、渾身の力で火球をムガイに投げつけた。
「殺しちゃダメだろ!くそっ」
ムガイは体勢を低くし、飛んでくる火球に向かって突撃。火球の下をくぐり抜けるようにして火球を交わし、そのままガイカに突撃する。
(一発で決める!)
ムガイの右手にズズズ…と黒い蛇のような影が絡み付く。
「うおっ!お前こんな近くまで……!おもしろくなってきたな!」
ガイカはニカッと笑い、左手に残っていた火球を消す。
そして、その左手に魔力が集まっていく。
(こいつ」……何かリクエイトする気か!?)
ムガイが一瞬それを警戒し、動きが止まる。
「もらった!」
その瞬間、ガイカの左手にリクエイトされた「何か」が、ガイムに勢いよく振り抜かれた。
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