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JS・異世界転生して魔王と体をシェアする  作者: もちのすけ三郎
学園潜入ノ章
20/40

ニラニウス学園-1

「学園長!今日ですよ!フリュスから留学生がいらっしゃるのは!」

かなり広い薄暗い部屋に、若い男の声が響く。

広い部屋の灯りとなっているのは、一定の間隔で置かれた太い柱のような筒。その中には水のような物でモンスターがホルマリン漬けのようになっており、それが青い光を放っている。

「ああ、わかってるよ。正門にお出迎えに行こうか。」

一つの柱の後ろから、ひょっこりと、小柄な男が現れた。

所々銀の髪が混じった黒髪に、目の下にある大きな隈。目付きもじとっ、としていて悪く、あまり話掛けやすい雰囲気ではない。

学園長と呼ばれた人物はパサッと「学園長」と背中に書かれたコートをはおり、部屋から出ようとドアの前に立つ。

「……学園長、外めっちゃ暑いっすよ」

「……」

「かっこつけようとしなくていいんで、ちゃんと出迎えて下さいね」

「……はい」



ニアホースを使った琴子達を乗せた馬車は、猛スピードで草原を突っ切り、既にニラニウスまで後五分程度のところまで来ていた。

「もうそろそろ着きますね。琴子様、心の準備はよろしいですか?」

「うむ、それはもちろん……」

「そういえば、琴子様は学生でしたね。もう慣れてますか」

(そういや、そうだったな。お前、経験者何だからヘマすんなよ)

ムガイとラーヴァが同時に言う。

「まぁ……一番心配なのはギョウゴなんですけど……」

「んー、このエリートギョウゴ様は初体験の任務でも決して失敗しな……痛い痛い!はい!調子乗りました!すいません、だから私のほっぺたを横に引っ張らないでくだふぁい!」

そんな事をしていると、ニアホースが止まり、馬車が少し揺れる。どうやら目的の場所に着いたらしい。

ガシュ!と丸い馬車の横に付けられた扉が開き、降りる。

「うぬぅ、巨大な壁……」

馬車から降り、まず目に入ったのは、高さ十メートル程ある灰色の巨大な壁だった。

「どうやらニラニウスを守る防壁のようですね。ニラニウスを囲むようにして円形の形をしています。」

「ほぁー、すごいですね」

どこか間の抜けたような声でギョウゴも驚いていた。

「あそこに入り口がありますね。行ってみましょう」

ムガイが指を指した場所には、防壁に扉が設置されていて、その前に警備の者と見られる男が二人立っている。

近づいていくと、向こうもこちらに気付いたようだ。

「あ、観光の方ですか?できれば身分を証明出来るものを出して頂けると……。」

「いや、俺達はフリュスから来た留学生だ。ニラニウス学園に連絡が行っているはずだが」

「わかりました。確認してみます。」

そう言って警備の男の一人が、自分の耳の辺りに手を当てる。

「……了解しました。」

小さな声でよく聞き取れなかったが、男は最後にそう言うと、琴子達の方を改めて見て、

「確かに連絡が行ってました……。お名前を伺っても?」

「ムガイだ」

「ギョウゴー」

「琴子です!」

「はい、了解しました!それでは、良い学園生活を」

そう男が言ったのと同時に、ギギギ、と門が開いた。


門をくぐると、ニラニウスの町が見えた。

真ん中に巨大な学校と思われる施設があり、それを中心として町が形成されている。

町の賑わいはすさまじく、人通りや店の数を見ても、フリュスと変わらぬ程だ。

よく見るとフリュスより若い人が多い。おそらく学生だろう。

「すごい人通り……」

琴子があっけに取られていると、人混みの中から、ふよふよと、何かが飛んできた。

コウモリのような細い羽を持ち、丸く黒い体の中心に大きな目を持ったそれは、琴子の目の前で止まり、

「ヨーヨー!!留学生の諸君!歓迎するぜぇ!俺の名前はスパーキー!ニラニウス学園の学園長だ!!」

それは、パタパタとせわしなく羽を動かしながら、甲高い声でそう言った。

「え……え!これが、学園長さんなんですか!?」

琴子がそれを聞いて驚きの声を上げる。

「そんなわけありませんよ。これは恐らく学園長とやらの使い魔のような物でしょう。」

「(ズガシャ!)つまりあたし達は舐められてるってことなの!?本当の私に会いたければこいつを倒してからにしろー!とか?」

「そう言うのは切る前に言ってくれ……」

「ギギ……ガガガ……」

いつの間にか琴子の目の前で飛んでいた「スパーキー」は、体を縦に真っ直ぐ切られ、地面に落ちていた。

「まぁ、これで出て来てくれるでしょ!ほら!」

スパーキーを切った当の本人はケラケラと笑っている。

そして、ギョウゴの言葉の直ぐ後、人混みの中から二人の男が現れた。

「ほら……学園長!やっぱり怒らせちゃったみたいじゃないですか!」

「いや今のは違うだろ。怒ってないだろ」

一人は男性にしては小柄……163センチ程度だろうか、目の下に大きな隈を付けた、所々銀が混じった黒髪の男性。

もう一人は長身の、肩辺りまである金髪を下ろした、静かそうな男性。

「あ、すいません。こんな出迎えになってしまって。留学生の方ですよね?私はニラニウス学園の副学園長のユーノ、そしてこちらが」

「スパーキーだ。よろしく!」

そう言ってスパーキーは手を上げた。

読んでいただきありがとうございます!500PV突破しました。皆さんのおかげです!こちらもありがとうございます!

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