白竜ヲ討伐セヨ-4
「やっぱり止めるか……」
「遅ぇっつてんだろ」
ガイムの顎めがけて放たれた白竜の拳は、ギリギリのところでガイムの白い手に止められていた。
「あなたのその純白のローブが、身体能力上昇の魔法をかけているようですね。」
「はっ、俺の歴戦の相棒だよ!」
ガイムの蹴りが白竜に放たれる。
「はっ!」
ビギンッ!と、ガイムの蹴りは白竜の体の前に発生した氷の盾に防がれてしまった。
「僕は魔法型の竜なのでね。」
「はっ!そうかよ!」
ガイムの巨大な右手が、白竜を押し潰さんと振りかぶられる。
「しっ!」
白竜は後ろに跳んでガイムの攻撃をかわす。
だがガイムは攻撃の手を緩めない。
即座に後ろに下がった白竜を追って跳躍する。
「そんな不用意に突っ込んで来ると、痛い目見ますよ!」
ガイムの足元の地面がバゴッと割れ、火柱がガイムに襲いかかる。
「!」
が、その火柱は、ガイムに届く前に消滅してしまった。
「!?は?」
(ボルグの爺さんか!)
「ふおっふお、水を指すようで悪いが…、老人のちょっとしたちょっかいだと思ってくれい」
「あの爺さん……、邪魔しよってからに!」
白竜の右手からビキビキビキッと巨大な氷柱が形成され、そのままボルグに向かって発射される。
(仲間が居たのか……、それも相当の手練れ……。やっぱりこいつ(ガイム)速く倒さねぇと不味いな)
「考え事か!?余裕だな!」
「あ?」
白竜は左手からガイムに向けて氷の盾を何重にも形成、ガイムの一撃を何とか防ぎきる。
「お前よりあっちの爺さんの方が厄介そうだ。決着を着けさせてもらう!」
白竜の両手に巨大な氷柱が現れ、その氷柱を炎が纏う。
「死ねぇ!!」
ズゴンッ!と白竜の両手から轟音と共に二つの炎氷柱がガイムに向けて発射される。
「ふぉ!まずいわい!」
ボルグは氷柱に邪魔され、ガイムの援護に入る事が出来ない。
「大きさだけは立派だが、結局は氷だ!」
ガイムは両手を炎氷柱にぶつけ、壊そうとする。
「ぐお!?案外硬ぇ!?」
「そう来ると思ったぜ!」
「!?」
白竜は炎氷柱を囮にして、再びガイムの懐に潜り込んでいた。
そして今度は確実に、白竜の拳がガイムをとらえた。
「おごっ!」
近距離から強烈なパンチを腹にもらったガイムは、思わずよろめく。
「あ、やべ」
そこに、よろめいたせいで止めていた炎氷柱が追撃。
「おぼっ!きっつ……」
ガイムはギリギリ炎氷柱を後ろに跳んで回避したものの、かなり体勢を崩してしまった。
その隙を、白竜は見逃さない。
「とどめだ!」
一気にガイムとの距離を詰めた白竜の右手には、氷で作られた鋭利な刃が握られていた。
「ちっ!」
ガイムはそれを両腕を前にだし、体をガードしようとする。
ギャインッと氷の刃と白く巨大な腕がぶつかる。
「ははっ!無駄ぁ!!」
「なに?」
ガイムの巨大な腕が、氷の刃が触れた場所から氷漬けにされていく。
「くそ!」
ガイムは即座に白鬼を腕から外し、新たな白鬼を「リクエイト」した。
「簡単に外せたのか……、くそ!」
「残念だったな!」
「ぐっあっ!!」
白鬼によるカウンターが白竜に当たり、白竜がぶっ飛ぶ。
「あっぶねぇ……、今のは危なかった。」
「ほっほ!ガイムゥ、援護したろうかぁ!?」
「いらね………あー、ああ、やっぱりくれ。……決着つけてやる」
「ほっほ!了解したぞい、「武器変化・白鬼」」
ボルグの杖から発生した光が、ガイムの白鬼に吸い込まれる。
光を吸収した白鬼の純白の表面に、ビキ、ビキと血管のような筋が浮かび、形状が変化していく。
白い大きな筒のようだった白鬼は、元のガイムの腕に吸い付くようにして細くなり、最終的にはガイムの腕と同じ太さになり、端から見るとガイムの両腕だけが、白い絵の具で塗り潰されたようになっていた。
(腕が細くなった……。「援護」と言うだけあって確実に何か能力が付与されているのだろうが……。くそ、速く決着つけたいって時に…
「白竜……残念ながらお前は俺を倒せねぇぜ。何故なら白鬼がこの状態になっちまったからだ」
「なにをふざけた事を……は?」
白竜の視界が逆さになった。
次に腹に重い衝撃。
(攻撃……!?)
「くそがっ……」
白竜はとにかく攻撃を防ごうと、氷の盾を生成しようと「した」
「魔法が……使えな……ぐふっ!」
顔面に横から拳が突き刺さり、白竜が横にぶっ飛ぶ。
「どうしたぁ!?白竜!!」
「ああ!?っかてめぇ何をした!」
「教えるかよ!」
「ごばっ!!」
白竜は受け身もとれずに地面にぶつかる。
(どうせ魔法妨害があいつの腕に付与されたんだろうが……。俺にとっちゃあ一番厄介だ!)
「んじゃ!死ねぇぇ!!」
(マジかよ!!)
白竜がガードするよりも速く、異様なスピードのガイムの拳が、白竜の胸に突き刺さった。
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