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JS・異世界転生して魔王と体をシェアする  作者: もちのすけ三郎
白竜討伐ノ章
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プロローグ

ある、晴れた春の日。

小学3年生の、「三井琴子(みい・ことこ)」は、母親と共に、近所のコンビニに来ていた。

琴子の前には、大量に置かれた、雑誌の山がある。

琴子の身長は145センチ、ちょうど目の高さと同じ部分にあった雑誌を手に取る。表紙で髪の長いモデルが、優雅に、この春の流行を取り入れた服を着こなしているファッション雑誌だ。

ふん、ふん、と鼻息を荒くしながら、琴子がそれを開こうとしたとき、

ズザザザザッ!!と、ゴムとコンクリートが、激しく擦れる音がした。

琴子がその音に気付き、ファッション誌から顔を上げると、そこには、バランスを崩した1台の軽トラが、盛大に自分目掛けて突っ込んできていた……。


目の前が真っ暗になった。

琴子は、小学生ながら、どこか自分は死んだと言うことを、冷静に受け止めていた。

……だからこそ、驚いたのだ。

目を開けると、自分が、巨大なベッドに寝ていたことに、そして

(あーー!!くそっ!!あのやろう!!罰って、これのことかよ!?)

自分の心の中で、大声で喚く、低い男の声に。


(どうしてこうなったんだろう……。)

琴子は思った。だが、その問に答えるものはいない。

いや、1人いた。

(あー?それはな!お前が俺と勇者の「決戦」の、罰の1部に運悪くなっちまったからだよ!)

「……なにを言っているかわからない」

(あー、まぁそうだろうな、ちょっと長くなるけど、おとなしく聞けよ。……最初に言っとくが、俺は「魔王」だ。名前は、「ラーヴァ」)

「……魔王って…あの物語とかに出てくる?」

そう言ったものの、にわかに信じられない。

(あーそうだ。プリンセス拐って、勇者に倒される魔王だ。……まぁ、俺もご多分漏れず勇者に倒された口何だが・・・。ちなみに人さらいはやってないぞ!!……まぁ多少悪いことはしたけど…;)

「じゃあ、倒されて当然」

(うるせぇ!!……話続けるぞ!で、この世界の勇者さまは…優しいやつだったんだよ!!倒した魔王の俺ですら、生かしておくほどな!!)

(だがさすがにただでは無いわな、勇者の野郎は俺に2つ、罰をくれたんだよ。)

「それは……?」

琴子は続きを促す。

「1つ目は人間や他の種族に悪さしねーこと、んで、もう1つの罰ってのが…まぁ、もう少ししたら教えてやる。……で、そのオプションか何か知らねーが、俺の魔力を抑制するために、1番魔力の少ない「人間」の体を俺の体にしやがったんだよ!!で、その俺の体に選らばれちまったのが、おめーってわけだ)

わかるような、わからないような。そんな説明だった。

「1つ・・良い?私はもう死んでるの?」

(ああ、1回死んだ。それで俺の体に選ばれちまったんだよ)

確かに、魔王の体に偶然選ばれてしまうとは、全く運が悪い。

(ま、恨むんだったら勇者を恨みな!こんな事になったのは勇者のせい何だからよ!!)

「……勇者が倒さないと行けないような、悪いことした貴方も悪い……何したの?」

(いやいや!そんなたいしたことしてねーよ!!透視でおまけの当たり引きまくったり、大通りに風起こしてスカート一気にめくったり)

「十分だめ」

(……近くにいた男は結構喜んでたんだけどなぁ…。ウェーブしてたぜ。俺の事拝むやつもいたし)

「流石にそれには……何も言えない」

(まぁ・・・そうだな)

少し、ラーヴァの声が小さくなった……。

「後・・この姿、どうにかならないの?」

琴子は、自分の体を見て、言った。

(あー、その外見、俺の「魔族」としての要素が強く出てるな。……悪いが俺にはどうすることもできん!すまん!!)

「……(むすっ)」

琴子の外見は、日本人とは全くかけ離れた物になっていた。

健康的な肌色をしていた皮膚は、夜の闇のような真っ黒な色になっており、黒色だったロングヘアーの髪は白く、目は宝石のような緑。

頭からは小さな、ゴツゴツした、雄々しい角が生えている。

そして極めつけは服だ。

いや、これは服と言えるのか。

布だ。

胸や、股など、最低限見せてはいけない所は覆っているものの、それ以外は全くガード出来てない。ヒラヒラと風に揺れているだけだ。

これが「魔族」なのだろうか?琴子は人間との文化の違いに衝撃を受けていた。

その時、

コンコン、と小さく部屋のドアがノックされた。

(ちっ!もう来やがったのか……。おい嬢ちゃん、名前はなんて言うんだ?)

「三井琴子」

(じゃあことこ!!今部屋をノックしたやつは俺の部下の「ベルゼブブ」って奴だ!!説明すれば比較的話の通じるやつだから!!状況説明してやってくれ!!頼む!)

「丸投げ……?」

私まだ9歳なのだが。

「魔王様、入りますよ?」

ドアの外から、やや低めの女性の声が聞こえた。

「うう……自信ない……」

そして、そのドアが、開けられたのだった……。


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